古代ギリシア展

charis2016-08-30

[展覧会] 古代ギリシャ特別展  国立博物館 2016年8月30日


(写真右は、アルテミス、下は、アレクサンダー大王頭部と、競技者)


古代ギリシア関係の展覧会に行くのは久しぶりで、ゆっくりと鑑賞、堪能することができた。古代ギリシア人は、人間の肉体を(恥ずかしいものではなく)美しいものとして表現した初めての民族で、何度見てもその美しさに打たれる。アテネ国立考古学博物館の「アルテミス」「競技者」や、アテネアクロポリス博物館の「アレクサンダー大王頭部」は、それぞれ有名な像だが、今回初めて見る「女性頭部像」(アテネ考古学監督局)も非常によかった(下)。紀元前4世紀の作だが、解説によると、神々と人間が区別して表現されるようになった時期で、人間の像は、それぞれの個人的特徴を備えているという。この女性も、実在のギリシア人の誰かだったのだと思うと、親しみがわく。

さらに、ギリシア初期のキュクラデス期の像が幾つか見られたのがよかった。キュクラデス期の像は、小さいが、現代芸術のように抽象的で、とても美しい。大英博物館を入ってすぐの左側の廊下に、さりげなく展示してあるのが、もったいないと思ったこともある。写真下は、キュクラデス博物館所蔵の「スぺドス型女性像」で高さ74cmで割と大きい。BC2800〜2300の頃の作だから、アリストテレスよりもさらに2000年以上前なのだ。今回はまた、それよりずっと古い、エーゲ海文明・初期新石器時代の像も見ることができた。写真下は、アテネ水中考古学監督局所蔵の「女性像」で、制作年代はBC6500〜5300という。正面と背面の写真だが、高さは8.7cm、幅は5cmととても小さく可愛らしい。だが、この丸みを帯びた女性の体の何と美しいことだろう! この像を作った製作者にとって、「彼女」の肉体は、一体どれほど美しいものに映っていたのだろうか。