モンテーニュとお酒

charis2007-03-30

[読書] モンテーニュとお酒


久しぶりに『エセー』を流し読みしていたら、お酒の話が出てきた。我が敬愛するモンテーニュ先生は「私は、普通の体格の人間としてはかなりよく飲む」(五、p188)と言っているから、酒好きだったのだろう。通ぶらない、率直なもの言いが楽しい。気に入った二箇所ほど引用。


>よい酒飲みであるためにはあまり敏感な舌をもってはならない。ドイツ人はどんな酒でもほとんど同じに喜んで飲む。彼らの目的は酒を味わうことよりも飲むことにある。それで彼らはずっと得をしている。彼らの楽しみはずっと豊富で手近にある。(二、p237)


>飲酒の能力は、寄る年波に奪われる最後の快楽と言ってもよい。愉快な連中はこう言っている。自然の熱はまず足に生じる。これは子供たちのものだ。そこから熱は身体の中程の部分に上って、そこに長い期間、根を下ろし、私の考えによると、肉体的生命の唯一の真の快楽を生み出す。他の快楽はこれに比べると、眠っているようなものだ。最後に、立ちのぼって発散する蒸気のように、喉に達して、そこを最後の潤いの場所とする。(二、p239)


なーるほど。人間の人生は、足→身体の中程(?)→喉と「熱の場所」が上昇するから、オヤジたちは酒を好むといっているわけですね。でも酒好きの若い女の子なんか、モンテーニュ先生はどう説明するのかな? 先生のことだからもちろん女房も酔わせた? [数字は、岩波文庫の分冊と頁数]