アラン・ロブ=グリエ 『快楽の漸進的横滑り』

charis2019-01-03

[映画]  アラン・ロブ=グリエ 『快楽の漸進的横滑り』  渋谷・イメージフォーラム 1月3日


(写真右は、ヒロインのアリスを演じるアニセー・アルヴィナ、映画『フレンズ』(1970)のヒロインとして有名だが、この映画(1974)でもとても可愛い少女顔、写真下は、彼女が監禁されている女子修道院の監獄、ぜんぜん監獄らしくない美的な部屋、彼女の輝くように美しい肉体の暴力性がこの映画の主題)

アラン・レネの映画『去年マリエンバートで』のシナリオを書いたアラン・ロブ=グリエの映画をようやく見ることができた。不条理性の唯美主義というのだろうか、オブジェとなった肉体の視覚的暴力性と美しさに衝撃を受けた。少女の美しい肉体が、それを見る人を打ちのめす暴力性として炸裂する。<見る性愛>というのは、こうした衝撃そのものを楽しむ快楽なのだろうか。物語そのものはまったくの不条理劇。二人の若いレズビアンの女性が(お金がなくなると娼婦をする)、ベッドに縛って体を傷つける遊びをしているうちに、うっかり殺してしまい、殺した少女アリスは修道院の監獄に収容される。彼女をいじめる修道女たち。捜査の警部や神父たちもアリスの肉体の魅力に打ちのめされて狂ってしまう。最後、美しい女弁護士と最初の殺害を「再現」するごっこゲームをするうちに、アリスはその女弁護士を殺してしまい、話は「最初にもどる」。ミシュレ『魔女』も素材に生かされているのか、修道院の地下室には拷問器具が並び、アリスは相手の喉に小さな傷を残して血を吸うので、魔女のアレゴリーなのかもしれない。写真(どれも左がアリス)↓



それにしても、視覚された肉体の暴力性をここまで美しい映像美に昇華させたロブ=グリエの手腕には驚かされる。修道院でアリスが着ている囚人服は、ものすごく可愛いミニワンピースだ(写真↓)。そして、海岸で転落した少女の周りに集まる少女たちは、まるで日本の女子高校生のよう↓。




全裸のアリスが赤い液体を体に塗り、白壁にプリントしてゆくシーンの色彩美は凄い。白い肉体に黒いヘアが美しく、壁に赤をプリントしてゆく裸体と壁がまっ白に輝く。↓

このシーン、3分弱の動画もありました。
https://www.youtube.com/watch?v=rZ6SK4ba3zs&list=PLOgijXIbP2jWUdyUX9NCCqA3LnmlfmamQ&has_verified=1
また、今回上映の6作の短い動画紹介もありました。
https://www.youtube.com/watch?v=aIVl4x-cEcY