[バレエ] J.バランシン/メンデルスゾーン『夏の夜の夢』

[バレエ] J.バランシン/メンデルスゾーン『夏の夜の夢』(パリ・オペラ座) 東劇6月8日

(写真↓は、妖精の国の女王ティターニア、まるで王女様のように可愛い、その横は王であるオベロン、まるで優美な王子様だ、その下は妖精と女官たち)

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2017年のパリ・オペラ座上演を映画化したもの。バレエという表現様式を生かした構成で、非常に美しい。第1部はシェイクスピア『夏の夜の夢』をほぼ踏襲するが、その後に第2部が続き、人間の国の3組のカップルの結婚式と、妖精の女王夫妻の和解の式から成っている。つまり『夏の夜の夢』を劇中劇にしたメタ・シアター(メタ・バレエ?)構成なのだ。そもそも演劇『夏の夜の夢』自体が、人間の国と妖精の国が触れ合うファンタジーなので、第1部は全体が夢で、表現は演劇的。第2部はその枠となる現実界で、バレエの踊りそのものを前景化するダンス的。人も衣裳も音楽も美しいので、それでも我々は現実ならぬ夢を見ているかのようだ。通常、演劇では、王オベロンも女王ティターニアも、中年のがっつりしたオジサンとオバサン(だからインドの美少年を二人で取り合って大喧嘩する)、それをイケメンの若い王子様と、可憐な少女の王女様にしたのがナイス!(写真下は、ハーミア(青)とヘレナ(赤))。

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 第2部はメンデルスゾーン『夏の夜の夢』の「結婚行進曲」で始まる。バレエそのものを見せるのが主旨で、ディベルティスマン(本筋にはない余興的人物)も登場し、オペラ座の花形プリマたちが活躍。第1 部でもヒポリタを踊ったアリス・ルナヴァンと、第2部のディベルティスマンを踊った韓国人のパク・セウンが特に美しかった。二人はトップスターなのだろうか、観客の拍手も大きい。バレエというのは、身体が地面と接触する小さな一点を重心として、そこを中心軸に身体全体がスピンして絶妙なバランスが実現するので、身体の動きが、このうえなく優美で調和的なものになる。プリマの体がふわっと宙に浮きあがるとき、その瞬間、地上のエロスが天上の美に昇華して、時間が止まるような錯覚を覚える。写真下は↓、第2部の冒頭、そしてディベルティスマンを踊るパク・セウンとカール・パケット。

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この作品の昔のバージョン、1986年のニューヨーク上演、105分間全部の動画が↓。

https://www.youtube.com/watch?v=tYz5GKkH_4s&feature=youtu.be