[今日の絵3] 2月後半
2.17 Quentin Matsys : Portrait of Erasmus, 1517
エラスムスの研ぎ澄まされた知性が感じられる、クエンティン・マサイス(1466–1530)はフランドル地方の画家
18 Lucas Cranach : Martin Luther, 1526
これは“恐れを知らぬ革命家の顔”ではないだろうか、エラスムスと対照的に、ルターはかなり“攻撃的な”人なのかもしれない、クラナッハはルターの「盟友」
19 Diego Velázquez : Philip IV in Armor, 1628
スペイン王フィリペ四世(22歳)、優しい性格のインテリだったが、統治者としては、イギリスの台頭を許しスペインを没落に向かわせた、ベラスケスは24歳でスペイン宮廷画家に抜擢
20 Peter Paul Rubens : Galileo Galilei, 1630
ガリレオは困惑しているようだ、手にしている紙らしきものには字が書いてあるみたいだが、異端宣告なのか?
21 Frans Hals : Portrait of Rene Descartes, 1649
ルターと同じく“恐れを知らぬたくましい革命家の顔”を感じる、デカルトは西洋哲学における筆頭の革命家、フランス・ハルス(1582~1666)はレンブラントとほぼ同時代のオランダの画家、オランダ在住のデカルト(1596~1650)と会ったのだろう
22 Rembrandt van Rijn : Aristotle with a Bust of Homer, 1653
ホメロスの胸像を見詰めるアリストテレス、宝石や衣服などチャラい感じなのは、ディオゲネス・ラエルティウス『哲学者列伝』の影響か、「派手な衣服をまとい、指輪をはめ・・・」(岩波文庫p13)とある
23 Anthony van Dyck : Portrait of Prince Charles Louis and his brother, 1637
ファン・ダイクはオランダ出身でイギリスの宮廷画家を務めた、王子たちは若く、左が兄、右が弟
24 Giorgione : Sleeping Venus, 1510
ジョルジオーネ(1478~1510)は若死で確実な真作が6点しか分っていない、このヴィーナスは鄙びた農村に寝ているが、「眠れるヴィーナス」の構図は、その後たくさんの画家のテーマになり、シャセリオーやマネでは、横たわっているのは地上の女になった、今日からはそのテーマ
25 Vecellio Tiziano : Venus of Urbino, 1538
ジョルジオーネと体の姿勢は同じだが、眼がぱっちり開いて誘うように微笑むヴィーナス、左手の位置はジョルジオーネを踏襲、300年後にマネはヴィーナスを娼婦に替えた、足元の犬は、マネの「オランピア」では黒猫、さらにセザンヌ「モデルネ・オランピア」では黒犬に替った
26 Tiziano : Venus with organist and Cupid,1555
昨日と同じティツィアーノだが、こちらはヴィーナスの向きが左右逆で、オルガニストとキューピッドがいる、オルガニストの姿勢と視線が可笑しい、画家は笑いを取ろうとして描いたに違いない
27 Manet : Olympia, 1863
ティツィアーノ「ウルビノのヴィーナス」の構図をパクッたが、ヴィーナスが娼婦「オランピア」に替った、彼女のモデルは「草上の昼食」と同じヴィクトリーヌ・ムーラン、足元の子犬も黒猫に替り、召使が白人から黒人に替った、黒猫は発情しているのか
28 Cezanne : A Modern Olympia, 1870
ユーモア画だろう、直接には先輩マネの「オランピア」のパロディだが、長い歴史をもつ「横たわるヴィーナス」全体へのパロディなのかも、右下でのうのうと見上げているオッサンはセザンヌ自身、ティツィアーノのオルガニストのパロディか、そして黒犬もいる