今日の絵(13) 7月後半

今日の絵(13) 7月後半

 18 Picasso : Olga Picasso, 1923

ピカソは1917年にロシア・バレエ団の踊り子オルガ・コクローヴァと出会い、翌年に結婚、21年には息子パウロ誕生、オルガとの関係は1935年まで続いた、ピカソは1908~15年のキュビズムから離れ、その後しばらく古典的・具象的様式の絵を描いた、このオルガも静謐で美しい

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19 Max Pechstein, 休憩中のモデル 1925

ペヒシュタイン(1881~1955)はドイツの画家、表現主義だが豊かな色彩の絵をたくさん描いた、この絵も配色のバランスがよくて、色彩がとても美しい

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20 Yablonska :  自画像 1945

タチアナ・ヤブロンスカ(1917~2005)はウクライナの画家、仕事をするウクライナの人々をたくさん描いた、この自我像も、画家らしい逞しい腕、鋭い視線、凛とした姿勢、体の輪郭の美しさなど、誇り高い画家その人がよく描かれている

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21 Degas : 年若い帽子屋さん1882

今日からは、働いている姿を描いた絵を、ドガの人物画はどれも何かをしている人物を描いている、この絵はおそらく、左側が帽子屋の新人で、右側がベテラン、商品のチェックの仕方を教えている、新人のややおぼつかない手つきに、ベテランは厳しい視線を

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22 Morisot : 休んでいる羊飼いの少女, 1891

羊飼いの少年ではなく、これは少女、寝そべってはいても、少女の身体は健康的でとても美しい、遠方の青い大きな樹木や、黒く小さくみえる人間たち、そして少女の頭の横の白い子ヤギなど、すべての要素が呼応し合って、全体が見事な構図に

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23 Giovanni Boldini : La cantante mondana,1884

イタリア語のタイトルは「世俗の享楽の歌手」といった意味らしいが、後姿なので顔は分らない、教会ではなく街のカフェかキャバレーで歌っている歌姫だろう、Boldiniがよく通った店なのかもしれない

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24 Renoir : the page, 1877

服装からして、貴族などに仕える少年「小姓」だろうが、ヴァイオラ(『十二夜』)やケルビーノ(『フィガロの結婚』)の時代ではないので、これは演劇で「小姓」を演じる役者か、舞台の脇に立つ姿は、少女のような少年のような、優美で美しく、そして知的な顔が印象的

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25 Sorolla : Fisherwoman from Valencia, 1916

ホアキン・ソローリャ1863~1923は、バレンシア出身のスペインの画家、タイトルは「バレンシア出身の女漁師」だから、ここはどこか別の海岸だろう、同郷なので親しみを感じたか、夕日に照らされた彼女は、若くはないが、その細い強靭な身体、日焼けした顔が美しい

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26 Anders Zorn : A Kitchen Maid, 1919

アンデシュ・ソーン1860~1920はスウェーデンの画家、パリでも絵を学んだ、大きな屋敷の台所で働く若いメイドだろう、逞しい肩、がっしりした太い腕、大きな腰、豊かな胸、重い鍋でも軽々と扱える力持ち、そして主人に媚びてほほ笑んだりしなさそうな無骨なところがいい

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27 Rubens : Self Portrait, 1623

45歳のルーベンス、画家が人の顔を描く時は、その人の内面も一緒に描かれる、たとえば悲しみに沈んでいれば、それが表情に出る、しかし自画像はそこが微妙だ、一流の画家なら、自己の熟知している内面を、その通り表現しないこともできるだろう、だから自画像は面白い

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28 Rembrandt : Self-portrait as a Young Man, 1634

17歳のレンブラント、彼の描く人物はどれも、その人格性に由来する深い美しさがある、この絵も少年のようでいて大人の顔だ、デューラーは自分がイケメンであることが自慢で、若い時の自画像はそのように描いているが、レンブラントの自分の顔についての自己意識はたぶん違う

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29 Frans Hals, Self-Portrait,1650s

70歳代のハルス、ハルスの描く人物の多くは、生き生きとして、表情が豊かで、充実した生を送っている顔だ、たいがいは幸福そうに見える、しかしこの自分の顔はどうだろうか、悲しげで、あまり幸福そうには見えないのだが、年齢のせいなのか

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30 Degas : Self Portrait,1855

21歳のドガドガは、何かをしている人物を描き、身体や表情の動きがよく分かる絵が多い、これは自己を描いた肖像画だが、表情も十分にあるように感じられる、首から下は顔の向きとずれており、顔は正面を向いているが、襟や、影など、全体に対称性がない

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31 Manet : Self Portrait with a Palette, 1879

47歳のマネ、ふつう画家は画を描く時にはフォーマルスーツは着ないが、マネは着ている、また彼は左利きではないので、これは鏡像ということになる、画家の自画像は他者を描くのとは違った面白さがある、この絵は2010年にサザビーズで約3000万ドルで売られたとか

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