[今日の絵] 11月前半

[今日の絵] 11月前半

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1 Degas : ヴァルピンソンのホルテンス嬢の肖像 1871

ドガは生涯を通じて、幼馴染のポール・ヴァルピンソンのノルマンディーにある田舎の邸宅をよく訪れた、これは、ポールの長女で唯一の娘ホルテンス、彼女のテーブルなのだろう、可愛い小物をたくさん掛けている

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2 Manet : ネグリジェ姿の若い女性 1882

こういうタイトルだが、この顔はマネの絵によく出てくるような気もする、起きたばかりのぼんやりした眼差し、乳首が片方見えているのか、全体のフワッとした感じが美しい、「ネグリジェnégligé」はフランス語で「だらしない」という意、ズボン式のパジャマよりずっと歴史は古い

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3 William Merritt Chase : マイベイビー(居心地がよい) 1888

ウィリアム・メリット・チェイス(1849~1916)はアメリカの画家、日本の着物を着た絵も描いている、この絵は自分の息子か、「居心地がよい」となっているが、帯でぐっと結んであるように見える、本人にはこの服、はたして「居心地がよい」のかどうか

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4 Lautrec : In Bed, The Kiss, 1892

ロートレック(1864~1901)はフランスの画家、この絵は二人の女性が抱き合ってキスをしている、同性愛がまだ禁忌だった時代、この絵はかなりの衝撃を与えたのではないだろうか、ロートレック自身も28歳

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5 Cassatt : The Barefoot Child, 1897

メアリー・カサット(1844~1926)はアメリカの画家、若い時フランスに行き、ピサロに師事、ドガも友人、後半生に母と子の絵をたくさん描いた、どの絵も、子どもが生き生きとして生命感に溢れている

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6 Benson : 太陽の光の中にいる子ども 1899

F.W.ベンソン(1862~1951)はアメリカの画家、家族の絵をたくさん描いた、多くの場合、女性や子どもは白い服を着て、太陽光のもとにいる、ふんわりとした感じがとても美しく、この子もそうだ

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7 Jacob Jordaens : 画家と家族の肖像1622

ヤーコブ・ヨルダーンス(1593~1678)はバロック期のフランドルの画家、ギリシア神話や聖書の絵が多いが、これは自分と妻と娘が描いた、ぶとうの蔓、果物、花々、オウム、犬など、古くからの伝統である「愛の庭園 (Jardin d'amour)」の寓意も描かれている

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8 Louis Le Nein : 幸福な家族 1642

ルイ・ル・ナン(1593~1648)はバロック期のフランスの画家、「ル・ナン三兄弟」と言われ、アントワヌ、ルイ、マウチの三人とも画家、農民の絵をたくさん描いたことで名高い、この絵は別名「洗礼からの帰宅」、割と裕福な農民なのか、一人一人の表情がよく描かれている

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9 Hals : 風景の中の家族グループ 1647

フランス・ハルス(1582~1666)は、たくさん家族を描いている、これは遠足に行った一家か、一人一人がとても生き生きしており、全体が幸福感に溢れている、当時のオランダは西洋でもっとも先進国で、豊かな市民階級がたくさん生み出されたことが、この絵からも分る

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10 Monet : 庭の女たち 1866

225cm×205cmの大きな絵、25才のモネのこの絵は、「主題と物語が弱い」としてパリサロンから拒否された、たしかに三人の女性は無関係に見えるが、右側の女性は滑るように歩いている、何か物語がありそうではないか、まだ印象派的ではないが、光が溢れ、白い服が美しい

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11 Frédéric Bazille : 家族の集い 1867

フレデリック・バジール(1841~70)は、フランス印象派の画家、若くして死んだ、この絵の左端が画家本人、手前が両親、残りもみな家族がモデルで、モンペリエの名門バジール家の人々だ、郊外の母の実家を別荘として、夏には一家が集まった、明るい光に溢れた幸福な家族

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12 Ludwig Knauss : 子どもたちのパーティー 1868

ルードヴィッヒ・クナウス(1829~1910)はドイツの画家、子どもを含む多人数が集まっている家族の絵をいくつも描いている、これは「子どもたちのパーティー」、大人は給仕だけ、本当にこういう会があったのだろう、とても楽しそうだ、動物もいる

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13 Mary Cassatt : 5時のお茶 1880

メアリー・カサット(1844~1926)はアメリカの画家、母と子をたくさん描いた、これは母と娘だろうか、それとも姉妹か、5時のお茶ということは、夕食はゆっくりめなのだろう、カップは同じだが、お茶を入れる銀のポットは形が違う

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14 Renoir : 画家の家族 1896

中央の女性が妻アリーヌ、左端が長男のピエール、白い服の子供は二男のジャン(映画監督で名高い)、ジャンを支えているのは子守のガブリエルで、アリーヌのいとこ、そして、ルノワールは非嫡出の娘が二人いるので、右端はたぶんその一人ではないか、全体の色彩バランスがいい

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15 Gauguin : 食事(バナナ) 1891

ポール・ゴーギャン(1848~1903)は、1891年に最初のタヒチ島滞在、そのとき描いたのだろう、生活はバナナが主食ということでもないだろうが、この「食事」はバナナが中心であるように見える、何よりもゴーギャンの絵は色彩がすばらしい

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16 Balthus : 三人の姉妹 1964

バルテュス(本名クロソウスキー1908~2001)はフランスの画家で、独学で絵を学んだが、ピカソに評価された、兄のピエール・クロソウスキーは作家、1967年に日本人女性と結婚、少女の絵を多く描き、批判もされているが、この絵は三姉妹、家族だが何となくよそよそいしい、画家とどのような関係なのか