[今日の絵] 2月前半

[今日の絵] 2月前半

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1 Velazquez : A Young Lady, 1635

人物画の中でも、少女や少年はとりわけ美しく、どの画家も描いている主題といえる、今月は少年と少女の画のみを見比べてみたい、まずベラスケス、名門の家柄の令嬢だと思われるが、彼女が「お嬢様」であることが、完璧に描き尽くされている

 

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2 Rubens : Portrait of a Young Woman, 1635

日本では安井曾太郎のデッサン力が有名だが、ルーベンスのデッサンも卓越しており、画学生がよく模写をするという。線で形を表現し、黒く塗る部分の薄さ濃さと空白で面を表現する、その両者の組み合わせで立体感を造形、この少女の気品が見事に伝わってくる

 

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3 Degas : The Savoy Girl, 1873

見た瞬間には視線ゆえにやや「きつい」表情にも見えるが、顔を見詰めているうちに、静かに微笑んでいる顔のようにも見える、サヴォアとはフランス東部でスイスのレマン湖に接する地方、少し日焼けした顔と服装から、日光の強い山岳地方の娘らしい雰囲気が伝わる

 

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4 Boldini : Girl with Black Cat, 1885

黒猫を抱えている少女にも、抱えられている黒猫にも動性があり、動画の中の一瞬を切り取ったような趣がある、絵の左上から右下へ向かって、頭部の茶髪、首に巻いた灰色の布、黒猫、首の白い部分へと、大きく横切る線的な構図と、背景の赤を含めた色の調和が絶妙

 

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5 Morisot : Young Girl and the Budgie, 1888

ベルト・モリゾ(1841~95)はマネの義妹で、自分も画家、家族や少女の絵をたくさん描いた、この絵は、セキセイインコが輝くように浮かび出ており、見詰める少女の表情がいい、「さあ、この手にお乗り」と呼びかけているのか

 

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6 Renoir : Seated Young Woman, 1890

この絵は、指先など未完成に見えるが、右上に署名がある、顔がくっきりと浮かび上がっており、何よりもルノアールでなければ描けない美しさ、そして気品が感じられる

 

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7 Benson : Katharine Gray Dodge, 1910

ベンソンには三人の娘がいたが、キャサリン・グレイ・ドッジは娘たちのシッターらしい、しっかり者という感じだが、ベンソン家では家族のように愛されていたのだろう、スカートの広がり、手に持つ花など、よい構図だが、簡略な背景はベンソンの他の絵と違う

 

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8 Gustav Klimt : Mäda Primavesi (1903–20), 1913

タイトルは17歳で死んだ少女の名前らしい、彼女の10歳の姿が描かれている、足元に敷いてあるのは動物園の地図だろうか、足の広げ方や、リボンや服装を含めて、全体に子どもっぽいが、端正な顔をもつ美少女だ

 

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9 Makovsky : Girl dressed as Flora, 1915

コンスタンチン・マコフスキ(1839~1915)はロシアの画家、タイトルは「花の女神フローラに扮した少女」という意味だろう、どちらかといえばフランスの新古典主義に近い画風か

 

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10 Modigliani : Young Girl Seated, 1918

モディリアーニは、カフェで臨席した客の似顔絵を描き、それを売りつけていたとも言われる、この絵がそうかどうかは分らないが、こんなに素敵に描いてもらったら、買いたくなるのではないか、モディリアーニの女性画には彼しか描けない美しさがある

 

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11 Belsky : Girl, 1920

ニコライ・ベルスキー(1868~1945)はロシアの画家、農村の子供たち、学校などを生き生きと描いた、この絵は、都会のひ弱な少女ではなく、農村の元気で逞しい女の子、強い目をしているリーダー格の少女かもしれない

 

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12 Serebriakova : 野菜とタタ 1923

ジナイーダ・セレブリャコワ(1884~1967)はロシアの画家、家族をたくさん描いた、4人の子供がいたから、タタはたぶん13歳の長女だろう、顔も母に似ている、ロシア革命後の生活苦で1924年にパリに移住、その1年前、食材も決して豪華ではないが、とても生き生きしている

 

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13 Grethe Jürgens, Blumenmädchen, 1931.

グレーテ・ユルゲンス(1899~1981)は新即物主義に属するドイツの女性画家、ベルリン工科大学で建築を学び、広告などのイラストも描いた、この絵は「花を持つ少女」だが、少女は花栽培に携っているのか、それとも花売り娘か、いずれにせよ花は彼女の仕事という顔をしている