[今日の絵] 3月前半
1王朝以前のエジプト、ナカダ時代の女性の像、今から5500年前頃
「今日の絵」は人間の美しさを探究しているので、彫刻も加えたい。これは踊っている女性だろう、何という美しさ、ブルックリン・ミュージアム所蔵
2 笑う埴輪 : 群馬県・藤岡歴史館蔵
6世紀のものといわれる、なんともこの笑顔が素敵ではないか!人型の埴輪は、祭祀や葬送の儀礼に使われたと想定されるが、正確には分っていないようだ、でもこの笑顔には、古代人も癒されたに違いない
プラクシテレスはBC4世紀のギリシアの彫刻家、このアポロン像は、前から見ると少年、後から見ると少女のように見える、マッチョではなく、やや中性的な男性像、私はルーブル美術館で1回見たが、東京芸大美術館にも来たので3回も行き、その美しさに感嘆した
ミケランジェロの最晩年の作で、未完成の作品、ダヴィデのようにもアポロンのようにも見えるのでこう呼ばれている、私は上野の西洋美術館で見たが、身体の柔らかな線が美しかった
7世紀の作とされるが、朝鮮半島由来か日本の作かは分かっていない、現在ではほとんど木の地になっているが、最初は金箔だった、思索的で深みのある表情は、世界の彫刻でも特筆すべきものがある
6 Joseph Caraud : La déclaration 1877
ジョセフ・カロー(1821~1905)はフランスの画家、タイトルは「告白」、「恋」は絵の主題としてたくさん描かれているが、恋愛にはルールがあることが分る、この絵では、彼の愛の告白を彼女は受け入れなさそう、二人は上流階級だと思われるが、18世紀の光景だろう
7 Eduard Quitton: First Love Letter 1884
エドゥアルド・クイットン(1842-1934)はベルギーの画家、娘の部屋に勝手に入った両親が、棚から「初恋の手紙」を見つけてしまった、怒っている両親それぞれの顔が面白い、でも娘はもう大人の女性で、反発、両親は見合結婚させるつもりか、しかし娘には、もう好きな彼氏がいる
8 Tissot : Bad News, 1872
ジェームズ・ティソ(1836~1902)はフランスの画家、「悪い知らせ」というタイトルが面白い、右側の二人はたぶん恋人だろうが、左側の女性は、二人とどのような関係にあるのだろうか、窓の外は大きな河のようだ、三人の手も含めて、物語のある絵
9 Anders Zorn : The cousins 1882
アンデシュ・ソーン(1860~1920)はスエーデンの画家、彼は22才だから、この二人はたぶん彼の従姉妹たちなのだろう、椅子は一つ、姉の膝の上に妹が抱きかかえられるように乗っているのか、とても仲のよい姉妹
10 Lautrec : The Sofa, 1896
当時、パリのカフェコンセール(音楽喫茶)では、女性同士の恋愛が盛んだったらしい、ロートレックはレズビアンを「何にもまして素晴らしい。これほど単純なものに匹敵するものは考えられない」と言ったそうだ。だが、彼の描くレズビアン女性たちの表情は暗く、憂鬱だ。
11 Picasso: L'amitié (Friendship, Two Nudes) 1908
「友情」というタイトルだが、描かれているのは二人の裸婦、女性同士の恋愛だ、「アヴィニヨンの娘たち」が1907年だから、この絵もキュビズム的に描かれ、幾何学的な強い線の構成が美しく、肉体の立体性が鮮明に描かれている
12 Oskar Kokoschka : Two Nudes (Lovers), 1913
オスカー・ココシュカ(1886~1980)はオーストリアの画家、描かれたゴツゴツした肉体や幽霊のような表情に特色があり、これは若い時の作だが、恋人たちは悲しげだ、「タンゴを裸で練習しているようだ」と言った人がいるが、手足の動きなど、なるほどそんな感じがする
13 Munch: Towards the Forest II, 1915
ムンクには、暗い大きな森に向かって立つ恋人たちを描いた絵が何枚かある、この絵の森も不気味だ、恋には何か大きな不安が内蔵しているのだろう、この森は、その形からして、不安というよりは恐怖を感じるくらい嫌な森だ
14 Chagall : Lovers in pink, 1916
シャガールは恋人たちをたくさん描いているが、この絵は「ピンクの恋人たち」、ピンクは背景の色だが、恋人たちの心の色なのだろう、彼女は首をしっかりと抱きしめられ、下を向いているが、同時に彼の腕をしっかり抱き返している、その掌は彼の掌よりも大きい
15 Paul Thurlby : Red Embrace
ポール・サールビ1971~はイギリスのイラストレーター、ガーディアン紙などに挿絵を描いている、この絵は、「赤い抱擁」というタイトルにふさわしく、シンプルで美しい