[今日の絵] 4月前半

[今日の絵] 4月前半

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1 カリアティードの乙女 アクロポリス神殿

「カリアティードCaryatid」とは建築の支えとなる柱の彫刻のこと、頭にはバスケットがあり、アテナやアルテミスの神聖な饗宴に供するものを容れたとされる、カリアティードはやはり、アクロポリス神殿のように天に近い高所にこそ似合う

 

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2 Praxiteles : Apollo the Python-Slayer, c. 350 BC

「トカゲを殺すアポロン」というタイトルはプリニウスに由来するらしい、銅と石の象眼細工が施されたブロンズ像、プラクシテレスの大理石の「トカゲのアポロン」も腰を傾けた動性があるが、こちらはさらに躍動的な身体の傾きが美しい

 

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3 The head from a bronze statue of Apollo AD2~3ce

アポロンは、アフロディーテ(ヴィーナス)やアテナと同様、たくさんの彫刻が作られた。ギリシア人にとって、男性の肉体は女性と同様に美しいと感じられたのだろう、顔だけのこのアポロンも高貴な美青年だ。ブルガリアのソフィア考古博物館蔵

 

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4 Aphrodite, 400-200 BC

このアフロディーテ像は、全身の動性、そして上半身の流れるような傾きが美しく、顔の表情もある、粘土を素焼きしたテラコッタ製、アメリカのクリーブラント博物館蔵

 

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5 Mourning Athena

「歎きのアテナ」として有名なレリーフ、BC470年頃の作、高さ50cm強の大きさ、アテネ考古博物館蔵、アテナは知性、芸術、織物など多くのものの女神、哲学の神でもある、そのアテナがコリント式の兜を付け、深い歎きの中にある、何を嘆いているのか

 

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6 Bellini and Titian : The Feast of the Gods, 1514/29

たくさんの画家が「眠る女」を描いている、魅力ある主題なのか、文学でも『失われた時を求めて』はアルベルチーヌの寝姿を詳細に記述している。この絵はベッリーニの原画にティツィアーノが加筆した「神々の祝宴」の一部、ニンフであるロティスが、酒を飲み過ぎがのか、眠ってしまった、男の神の手が彼女の裾へ

 

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7 Henry Nelson ONeil : Pleasant Dreams, 1852

ヘンリー・ネルソン・オニール(1817~80)は、イギリスの画家で風俗をたくさん描いた、この少女はただ寝ているではなく「楽しい夢」というタイトル、きっと物語を読んでいるうちに寝込んでしまい、その夢を見ている、「眠る女」を描いた絵には「夢」というタイトルが多い

 

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8 Boldini : The Countess de Rasty Lying 1880

ラスティ伯爵夫人、横たわってはいるが、顔の表情や両手の感じからして眠り込んではいないようだ、片胸ははだけているが、首に巻かれたショールなど、身体の全体にどこか上品な感じがある

 

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9 Serebriakova : Sleeping Nude with a red shawl, 1930

セレブリャコワは女性のヌードをたくさん描いている、モデルはたぶん娘たち、これは1912年生まれの長女タチアナだろう、彼女はバレリーナとして活躍した人、しどけない姿だけれど、安心しきった寝姿は、母の娘への愛情を感じる

 

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10 Matisse : The Dream, 1935

これも「夢」と題されている、かなりアップの姿だが、両腕、上半身、顔が逆三角形を作る建築的均衡は、まさにマティスならではのもの、マティスの描く女性は他のどの画家にもない美しさがあるが、構図と色彩のバランスがその美しさの源泉であることが分る

 

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11 Suchitra Bhosle : Going to dream ...

こちらは現代インドの女性画家と思われる、眠っているのは20世紀の普通のOLか、一日の勤務を終えて疲れたのだろう、ベッドで一服したあと、その着衣のまま眠ってしまった、こういう「眠る女」は比較的新しいかも。  [明日から少し「今日の絵」を休みます]