[今日の絵] 4月後半

[今日の絵] 4月後半

 

21 Mosaic detailing a Roman slave (ルーブル美術館)

人間を描いた絵の中でも、「労働」や「働く姿」は、描くに値する重要な主題だ、近代以降の絵に多いが、しかし古い絵にももちろんある、これはローマの奴隷、モザイクの大きな絵の一部、逞しい若者が食事?を運んでいる様子がよく分る

 

22 Peter Bruegel : The Peasant and the Nestrobber, 1568

「農夫と鳥の巣どろぼう」、鳥の巣は誰でも見つけられるわけではなく、専門知識が必要らしい、樹にも登れなければならないし、「鳥の巣どろぼう」はなかなかの専門職だ、農夫もしっかり鎌を携えており、二人とも一日中勤勉に働くのだろう

 

23 Sisley : Forge at Marly le Roi 1875

印象派シスレー(1839~99)は街や郊外の絵が多いが、これは珍しく室内、「マルリ=ル=ロワ」はパリ郊外の小さな町、いわゆる「村の鍛冶屋」だろう、古ぼけて薄暗い、小さな鍛冶場だが、懸命に働いている、三人はそれぞれ違った作業を分担しているが連携のタイミングが重要なのだろう

 

24 Max Liebermann : Spinning Workshop in Laren 1889

マックス・リーバーマン(1847~1935)はドイツ印象派の画家で、「ベルリン分離派」を創設指導した、この絵はリアリズム的だ、ラーレンはオランダの古い町、1889年だが「紡績」といってもほとんど手作業だ、糸車も人力で回すのか、富岡製糸場よりも旧式のシステムに見える

 

25 Degas : Women ironing 1885

19世紀のパリは洗濯屋が大繁盛し、女性労働力の雇用の25%が洗濯関連の仕事だそうだ、ドガも洗濯やアイロンの女性をたくさん描いているが、重労働であることがよく分る、アイロンがけは力仕事で、彼女たちは疲れている

 

26 Cézanne : The Well Driller 1873

まだ機械がない時代、地面に穴をあけるドリル仕事は、もっぱらそれを行う職人がいたのだろう、この絵はまだ途中かもしれないが、セザンヌの人間の肉体の造形力は凄い、小柄な人物のようだが、がっしりとして、顔も含めて体じゅうに力がみなぎっている

 

27 Léon Lhermitte : The little goose girl of Mézy 1892

レオン・レルミット(1844–1925)はフランスの写実主義の画家で、農民の生活をたくさん描いた、メジーは北フランスの小さな村、この少女は険しい表情をしているが、10歳過ぎくらいか、ガチョウ飼いの仕事はきつく、服は貧しい、当時の農村では子どもは労働力だったのだろう

 

28 Sorolla : Valencian Fishwives 1903

ホアキン・ソローリャ(1863~1923)はスペインのバレンシア出身の画家、この「バレンシアの漁師の妻たち」は地元だ、漁師の妻たちは、足元に並んだ大量の魚を漁師から買っているのだろう、それをまた売るわけで、彼女たちはたんに消費者なのではなく逞しい労働者でもある

 

29 Diego Rivera : Exit from the Mine 1923

ディエゴ・リベラ(1886~1957)はメキシコの画家、フリーダ・カーロの夫、この絵は壁画で「鉱山からの退出」、労働者が金鉱石?など隠していないか身体検査されている、労働者たちの疲れた表情からも、苛酷な環境と労働条件で採鉱に従事させられていることが分る

 

30 Yablonska : Cucumber Harvesting 1966

「キュウリの収穫」、旧ソ連コルホーズだろうか、若い女性が多いようで、家族ではなく農業労働者として働いているのだろう、農産物価格の国家統制は需給の調整が難しく、中国の人民公社などと同様、コルホーズやソホーズはソ連崩壊後に解体されたが、現在のロシアの地方の一部には共同農場的な要素も残るとされる