[今日の絵] 5月前半

[今日の絵] 5月前半

 

1 Caravaggio : トランプ詐欺師 1594

「トランプ」は西洋絵画でたくさん描かれている主題、ゲームを楽しむだけではなく、占い、賭けなどもある、カラヴァッジオのこの絵では、右側の男が詐欺師らしいが、中央の男も仲間かもしれない

 

2 Jan Steen : The Card Players, 1665

ヤン・ステーンは、庶民の生活を生き生きと描いた画家、この絵でも、トランプをしている人、見ている人、全員がとても楽しそう、でも見ている人はカードの情報を教えている?  おそらく家族なのだろう

 

3 Jean van de Kerckhove:The Card Reader 1874

ヤン・バン・デ・ケルクホーフェ(1822-1881)はベルギーの画家、 占いの老婆がカードで姉妹に何かを告げている、姉妹の真剣な表情からすると、「結婚運」についてだろうか、足元にトランプやバッグが落ちているのが気になる

 

4 Gustave Caillebotte : Game of Bezique 1880

ギュスターヴ・カイユボット(1848~94)はフランスの画家、写実的だが印象派展にも積極的に出品、タイトルは「ベジークのゲーム」、ベジークは19世紀のフランスで生れ、山札から引いた点数が高く、麻雀の役を作るような楽しみがあるとされる、この絵では皆が真剣で緊張している

 

5 Gogh : The Brothel (Le Lupanar) 1888

タイトルは「売春宿」、ゴッホゴーギャンと一緒に、絵の形象的な主題を見つけるために南仏の売春宿に行ったらしい、この部屋はなかなか社交的に見える、向こうの男女は踊っており、中央のテーブルの男女は白いカードを持っているように見える

 

6 Eva Bonnier : 1890

エヴァ・ボニエ(1857~1909)はスウェーデンの画家、主に人物画を描いた、この絵はタイトルは分らないが、老女がトランプの札から何かを読み取ろうとしている、その表情は真剣そのもの、西洋人は、他者とゲームをやるばかりではなく、一人でトランプに向き合うことも多いのか、右側のランプもいい

 

7 Paul Rink : The Fortune Teller 1898

パウル・リンク(1865-1903)はオランダの画家、タイトルは「予言者」だが、二人は家族だろう、カードは雑然と置かれているが、お婆さんは中央の裏になったカードを指さして何か言っている、真剣な表情で聞いているのは孫娘だろうか

 

8 Pablo Picasso : L'Homme aux cartes, Paris, winter 1913-14  

タイトルは「カードをする人」、単数だから一人なのだろう、ピカソだからキュビズム的な表現だが、トランプカードはやはり平面なのか、孤独な感じが漂っている

 

9 Vera Rockline : The Card Players, 1919

ベラ・ロックライン(1896-1934)は、ロシア出身だがフランスに移住した、彼女はキュビズムルノアールの影響があると言われている、この絵は三人がトランプをしており、多数の三角形から成る幾何学的構成が美しい、テーブルも椅子も身体もトランプカードも三角形だ

 

10 Serebriakova : House of Cards 1919

子どもたちは、ゲームではなくトランプのカードで家を作っている、セレブリャコワの4人の子供たちで、右側は長女のタチアナだろう、この年、セレブリャコワの夫ボリスはチフスで急逝、4人の子にとって父のいない悲しい家になった、左下の人形が父か、子どもたちの表情は暗い

 

11茅野市 : 縄文のヴィーナス

1986年に棚畑遺跡から発掘された土偶で、国宝に指定された、縄文期のBC2000~3000年頃といわれる非常に古いもので、似てはいるが古墳時代の埴輪ではない。高さ27cm、腰が大きいのは出産を象徴しているのだろう、切れ長の目とおちょぼ口の取り合わせがいい

 

12ルーマニア出土、7000年前の新石器時代の像 : 「考える人と座る女The thinker and the sitting woman」

「考える人」が男か女かは不明だが、それにしてもまるで現代彫刻のように洗練されている、見事な芸術作品

 

13 Kore Holding a Dove, 525-500 BC

「コレー」とは、古代ギリシア・アルカイック時代における、若い女性の着衣立像、この女性は鳩を手に持っている、丸みをおびた顔と体、微笑んでいるのかもしれない

 

14 Athena, 660-650 BC. clay figurine.

クレタ島のゴルテュス遺跡で見つかった粘土製のアテナ像、像とは別に作ったヘルメットを被っているのが珍しい、素朴な像だが、このアテナ、豊かな表情をもっている

 

15 Pablo Picasso, Standing Woman, 1947

ピカソのこの彫像はなんとなく古代彫刻に似ている、たとえば昨日のアテナ像や一昨日のコレー像など、このブロンズ像は高さは24.1cmと小さい、ピカソは両手を前に丸くまわしている姿を他にも創っており、キキュラデス文明の彫像に模したのかもしれない

 

16 Rodin : The Three Shades, 1886

「三つの影shade」とは、ダンテ『神曲』の「地獄の入口」に「影(=呪われた者の魂)」が立っており、「希望を捨てて、ここに入るすべての人」を意味するらしい、ロダンがそれを彫像に。まず石膏像を作りそれをブロンズ像にした、パリのロダン美術館他に同型が幾つかある