[折々の言葉] 11月

[折々の言葉] 11月

 

私は誰も愛しませんが、そのかわり人を憎むこともありません。(セルバンテスドン・キホーテ』) 11.1

 

ねえ、あなた、心には性別があるものでしょうか。実のところ私は自分の心に性の意識をほとんど持たないのです。かりそめの愛なら感じることができますけれど、恋を感じることはほとんどできないのです。(ルソー『新エロイーズ』) 4

 

君が落ち付けないのは贅沢だからさ。しかし落ち付けないのは、現代人の一般の特色だからね。(漱石『明暗』) 8

 

彼女に対する彼らの態度には、どことなく馴れ馴れしさが見えてきた。それは、彼女がもはやしっかりした後ろ盾もなく、ほとんど正式といっていい結婚で護られてもいないことを示すものだった。(コンスタン『アドルフ』) 11

 

彼女は、自分が綺麗に見えるのだという意識が加わったせいか、よりいっそう綺麗に見えた。(オースティン『マンスフィールド・パーク』) 15

 

まもなく、世界中が彼女に恋をするだろう! (映画『ローマの休日』の監督ウィリアム・ワイラーは、撮影カメラのファインダーの向こうに、当時まだ無名の女優オードリー・ヘプバーンを凝視しながら、こう呟いた) 18

 

坊さんになるのは簡単、人間になるのは困難 (ペルシアの諺、「坊さん[=モッラー]」は、ペルシア語で「知識が一杯の人」の意味もある、学はあるが人格に問題のある聖職者がかなりいたのか、あるいは、勉強しただけでは立派な人間になれないという意味か) 22

 

ペンが敵の手にある (ペルシアの諺、「自分が失敗した理由がよく分らなかったが、あいつが嫉妬や悪意で自分を悪く言ったからだと、やっと分かった」、面白い諺、日本には似たようなのがあるだろうか) 25

 

パンのことを考えよ、メロンは水だけ (ペルシアの諺、「まず基本的なことを考え、次に副次的なことを考えよ、ものごとには優先順位がある」、「最初にパン、その後にお酒」という諺もある [折々の言葉、少し休みます]) 29