[今日の絵] 9月前半

1 François Boucher : La Petite Laitière 1769
タイトルは「ミルク運びの少女」。今日から「立ち姿」を見てゆく。重いものを運んでいる時、身体の各部分に重力の複雑な均衡が割り当てられるが、そうでない時でも、身体は自分の各部分という重いものを運んでいる、それが立ち姿の均衡の美しさ

2 Alberto Pla y Rubio : 海辺のニーナ
かなり重いバケツを手にした少女だが、身体は絶妙な均衡にあり、万物が重力によって地球の中心に強く引かれる中で、身体の動性と安定性の均衡が「美しい立ち姿」になる。ルビオ1867-1937はスペインの画家で、少女や海の絵が多い

3ウィンスロー・ホーマー : 食事のラッパ1870
少女がラッパを吹いて、牧人たちに食事の合図。遠くを眺め、腰に手を当てて大きく息を吸い込むと、全身が力感のある体勢になり、「スックと立つ」姿勢が美しい

4 Charles Courtney Curran : September Breeze 1916
タイトルは「9月の微風」、前方からの「微風」を全身で大きく受けて、体全体が美しく反り返っている、Curranはこの体勢の女性をたくさん描いている

5 Filippo Palizzi : Over The Wall 1865
塀の向こうを眺めている立ち姿、どこにも掴まらず、右足も浮いて、全体重が左足に掛かっている。パリッツィ1818-99はイタリアの画家、美しい体勢の女性を描く

6 Charles Courtney Curran : The Goldfish 1911
一昨日と同じカラン1861-1942の絵だが、こちらは室内、スカートをつまんでいる右手と、やや延ばした左手、そして金魚鉢と支える細い台、この全体の均衡が非常に美しい立ち姿になっている

7 Vicente Romero Redondo
これは現代の絵だが、やや神話的、両手を左右に大きく開いて均衡を保ち、岩頭に「スックと立つ」、レドンド1956~はスペインの画家で、幻想的な少女の絵を描く人

8 Carl Fredrik Sundt-Hansen : La esposa del capitán
タイトルは「船長の妻」、上下にゆっくりと揺れる船上で、足の重心を意識して全身のバランスを保ち、遠方を見ている、美しい立ち姿。スント=ハンセン1841-1907はノルウェー人で、北欧の「ナショナル・ロマンティシズム(民族的ロマン主義)」の画家の一人

9 William Henry Margetson : Taking The Poison
タイトルは「毒を飲む」、一種の神話絵なのか、姿勢はコントラポストだが、流れ落ちる水流に逆らって「スックと立つ」凛々しさが美しい。マーゲットソン1861-1940は英国の画家で、女性の美的肖像画で知られる

10 George Sheridan Knowles
ごく普通の娘だが、コントラポストの立ち姿が美しく、彼女は、後方の青年たちから自分が見られていることを意識している。ノウルズ1863-1931英国の画家で戸外の女性をたくさん描いた

11 Daniel Ridgway Knight : The Shepherdess of Rolleboise 1896
ロルボワーズは北フランスの川べりの村、そこの羊飼いの娘、彼女が持っている棒は先が小さなシャベルのようになっている、この棒に少し支えられた彼女の立ち姿は安定して美しい。ナイト1839-1924は米国の画家だが、33歳でフランスに移住、ミレーの影響を受けた

12 David Adolph Artz : A fisherman's wife 1891
漁師の妻が子供たちと海辺にただ立っている、身体の軸が水平線と直交し、力強い安定した立ち姿になっている。アドルフ・アルツ1837-90はオランダの画家、海の絵が多い

13 Nikolái Aleksándrovich Yaroshenko : Una estudiante 1883
タイトルは「女学生」、雨の通りをやや早足で歩いているが、今日は試験なのだろうか。でも、前傾にも後傾にもならず、美しい歩行姿勢になっている。ヤロシェンコ1846-98はウクライナ出身でロシア・リアリズムの画家

14 Megan Gibbons
両脚は揃っているのに両手は位置も向きもやや不揃いで、全身の重心軸は体の中心よりわずかに左側で、影を含む不揃いの幾何学模様的な背景が絶妙な空間のバランスになっている。ミーガン・ギボンズは現代イギリスの女性画家、美しい体勢の女性を描く

15 Daniel Gerhartz : モクレンの木の脇に立つ少女
女性はうつむいてはいるが、モクレンの花を付けた枝のしなりと、斜めに落ちる服の一部とがクロスする均衡が、身体に張りと力感を生み出している。ゲァハルツ1965~は現代アメリカの画家、存在感のある女性を描く