歌舞伎・勘三郎襲名公演

[歌舞伎座] 4.14昼の部  『源太勘当』『京鹿子娘道成寺』『与話情浮名横櫛』


学科のオリ旅行なので、新入生をつれて歌舞伎鑑賞。『京鹿子娘道成寺』『与話情浮名横櫛』の二作は、中村勘三郎襲名披露で、華やいでいる。それにしてもこの三作の組み合わせは良く出来ている。『源太勘当』は、宇治川の合戦で先陣争いに敗れた梶原源太を母が切腹から救い、恋人の腰元千鳥とともに落ち延びさせる物語。人物の感情の起伏が複雑微妙で、非常に奥行きのある作品だ。勘三郎の息子の勘太郎が演じた源太は、なかなか難しい役だと思う。「母」の存在感が凄い。江戸時代の武家は、母親の力が強かったと言われるが、それが反映しているのかもしれない。千鳥を演じた女形の中村芝のぶは、たしか野村萬斎ハムレットの時にオフィリアをやったが、その女らしい声と仕草の見事さには驚く。


京鹿子娘道成寺』は、踊りを中心にした視覚的に美しい作品。白拍子花子を演じる勘三郎の独演。団十郎の他、花見を楽しむ多数の僧侶役に大物俳優が多数ご祝儀出演。『与話情浮名横櫛』は、「死んだはずだよお富さん」で有名な喜劇。1853年作というから、明治維新直前。言葉も分りやすく、普通の演劇に近い。玉三郎演じるお富は、さっぱりとして粋というか、切れ味の良い科白が快い。千鳥とは違ったタイプの「女らしさ」がよく出ており、歌舞伎の女形の芸の奥深さに驚かされる。女がやったら、ここまで「女らしい」仕草はできないだろう。


翌15日は西洋美術館で「ラ・トゥール展」他を鑑賞。今年のオリ旅行は成果満点だ。