2015-01-01から1年間の記事一覧

今日のうた56(12月)

[今日のうた] 12月 (写真は南原繁1889〜1974、政治学者で、東大法学部教授、東大総長を務めた。内村鑑三の弟子で、無教会主義のクリスチャン。アララギ派の歌人でもあった ) ・ あかんべのように師走のファクシミリ (小沢信男『昨日少年』1997、「いやぁ、…

今日のうた55(11月)

[今日のうた] 11月1日〜30日 (写真は、今野寿美1952〜、馬場あき子に師事、歌誌「かりん」の創刊に参加、『山川登美子歌集』(岩波文庫)の編者でもある) ・ 胸郭に棲むとふ鳥を思ひゐしあまり笑はぬ少女期を持つ (今野寿美1981、作者はちょっと変わった少女…

今日のうた54(10月)

[今日のうた] 10月1日〜31日 (室生犀星1889〜1962、1919年頃の写真、小説家としてデビューした頃) ・ 夜のあかりとどかぬ畝(うね)やきりぎりす (室生犀星1932、庭の土の一部が畝になっているのだろう、「家の明かりが届かない畝の陰あたりから、キリギリス…

野田秀樹演出『フィガロの結婚』

[オペラ] 野田秀樹演出:『フィガロの結婚』東京芸術劇場 2015.10.25 (写真右はポスター、下はフィガロとスザンナ) 20世紀イギリスの哲学者バーナード・ウィリアムズは、「フィガロの結婚? どんな田舎芝居だって、僕は観たいよ」と言った。初めて「フィガロ…

ラドゥ・スタンカ劇場『オイディプス』

[演劇] ラドゥ・スタンカ劇場『オイディプス』 東京芸術劇場 2015.10.22 (写真、右はオイディプス役のコンスタンティン・キリアック、金色の人物は取り憑いている亡霊のようなものか、下は松本公演のポスター、6つの小さな写真の上段右は予言者テイレシアス(…

ワーグナー『ラインの黄金』

[オペラ] ワーグナー『ラインの黄金』 新国立劇場 2015.10.4 (写真右は、冒頭、黄金を守るラインの娘たち、下は、二人の巨人族(建設労働者の姿)に連れ去られる女神フライア、左端は神の王ヴォータン、右端は火の神ローゲ) ワーグナーの演出に大きな足跡を残…

今日のうた53(9月)

[今日のうた] 9月 (写真は野口あや子1987〜、第49回短歌研究新人賞を受賞、歌集に『くびすじの欠片(かけら)』2009年がある) ・ 「その時になにをしたの?」と言われたものその場で全部やってみせたわ (野口あや子『くびすじの欠片(かけら)』2009、作者の高…

今日のうた52(8月)

[今日のうた] 8月1日〜31日 (写真は、与謝蕪村1716〜84が描いた絵、画家でもあった蕪村は、ユーモラスで楽しい画を描いた、俳句にも絵画性があり、「凧いかのぼり・・」「菜の花や・・」「涼しさや鐘を・・」「月天心・・」など、空間の伸びやかな広がりを感…

今日のうた51(7月)

[今日のうた] 7月 (写真は川崎展宏1927〜2009、繊細で優美な句を詠む人、「朝日俳壇」選者をつとめた、選句された俳句にも美しい句が多かった) ・ はまひるがほ空が帽子におりて来て (川崎展宏『葛の葉』1973、浜辺に咲くハマヒルガオの花は、薄い紫色が多い…

今日のうた50(6月)

[今日のうた] 6月 (写真は小林一茶像、東京都足立区の炎天寺の境内にある) ・ 足元へいつ来(きた)りしよ蝸牛(かたつぶり) (小林一茶1801『父の終焉日記』、臨終の父を看病している作者、父の「足元」なのか作者の「足元」なのか、いずれにせよ、「父を心配…

今日のうた49(5月)

[今日のうた] 5月1日〜31日 (写真は若き日の岡井隆1928〜、塚本邦雄らとともに前衛短歌を領導した) ・ 乳房(ちちふさ)のあひだのたにとたれかいふ奈落もはるの香にみちながら (岡井隆『禁忌と好色』1982、彼女の胸に顔をうずめているのか、でもそこは「谷」…

ヴェルディ『椿姫』

[オペラ] ヴェルディ『椿姫』 新国立劇場 2015.5.16 (写真右はポスター、一緒に写っているのは勤務先の大学の卒業生です、写真下は舞台写真、床や壁が巨大な鏡になっており、印象的な照明の使い方と相まって、抽象的な空間が斬新に感じられる、ヴィオレッタ…

今日のうた48(4月)

[今日のうた] 4月1日〜30日 (写真は米川千嘉子1959〜、馬場あき子に師事、歌誌「かりん」編集委員、毎日歌壇選者、思索的で深みのある歌を詠む人、夫は歌人の坂井修一) ・ さくら花散りかひくもれ老いらくの来むといふなる道まがふがに (在原業平『古今集』…

R.ブレッソン『やさしい女』

[映画] ロベール・ブレッソン『やさしい女』 新宿・武蔵野館 2015.4.24(写真はすべて、主演のドミニク・サンダ) この映画は、ドストエフスキー後期の短編小説(1876)をもとに、1969年、ロベール・ブレッソンが映画化したもの。モデルであった20歳のドミニク・…

マーク・ロスコの絵(川村記念美術館)

[美術館] マーク・ロスコの壁画 川村記念美術館 2015.4.19 (写真右は、ロスコの壁画の一つ、下は、美術館のロスコ・ルーム、実際は照明を落としてずっと暗い) 千葉県佐倉市の川村記念美術館に行きました。マーク・ロスコで修士論文を書いたばかりのTさんに案…

哲学って何だろう? 学科のFBに

勤務先の大学の学科フェイスブックに、下記を投稿しました。学生向けの記事です。ーーーーーーーーーーーーーーーーー 哲学って何だろう? 植村恒一郎 総合教養学科の植村です。私は哲学が専門です。哲学のイメージって分かりにくいですね。自己紹介に替えて…

ヴェルディ『運命の力』

[オペラ] ヴェルディ『運命の力』 新国立劇場大ホール 2015.4.11(写真右は、修道院がレオノーラを受入れるシーン、教会が大きな箱で示されているが、この教会は幕が変るごとに縮んでゆき荒廃してゆく、写真下は、冒頭、ピストルが暴発して侯爵[左]が死ぬとこ…

今日のうた47(3月)

[今日のうた] 3月1日〜31日 (写真は寺山修司1935〜83、1957年に病院の屋上での撮影したもの、早大に入学したがネフローゼで長期入院していた、俳句は高校時代のみの作だが、瑞々しい詩情を大胆な技法で詠む句は天才的なものを感じさせる、短歌も作り、劇作…

今日のうた46(2月)

[今日のうた] 2月1日〜28日(写真は小島ゆかり1956〜、宮柊二に師事し、現在「コスモス」編集委員、一瞬を切り取る力に優れ、やさしい愛情を詠んだ歌が多い) ・ 明けぼのや白魚(しらうを)しろきこと一寸 (芭蕉1684、「まだほの暗い夜明けの海辺、網にすくわれ…

今日のうた45(1月)

[今日のうた] 1月1日〜31日 (写真は小野茂樹と妻の雅子、現在も彼と住んだ公団住宅に住む、2013年7月31日「東京新聞」の記事より↓、 代表作「あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ」の由来も書かれている貴重な記事です) http://www.tokyo-…