2013-01-01から1年間の記事一覧

今日のうた32(12月)

[今日のうた] 12月1日〜31日 (写真は正木ゆう子1952〜、伸び伸びとした自由感に満ちた俳句を作る人、読売俳壇選者) ・ 乳房ふたつかかはりもなし冬霞 (正木ゆう子『静かな水』2002、二つの乳房が自分によそよそしく感じられるのか、それとも、二つの乳房がそ…

映画『ハンナ・アーレント』

[映画] 『ハンナ・アーレント』 12月28日、新宿・シネマカリテ (写真右は、イスラエルにおけるアイヒマン裁判、プレスルームでテレビモニターに映し出される裁判映像を追うアーレント、ヘビースモーカーだった彼女は喫煙が許されたプレスルームで仕事をした…

新国『ホフマン物語』

[オペラ] オッフェンバック『ホフマン物語』 12月1日、新国立劇場 (写真右は、ロボット令嬢のオランピア(幸田浩子)、写真下は、右がホフマン(チャコン=クルス)、中央の白服がホフマンの友人ニコラウスに扮したミューズ(ブラウアー)、男装のミューズはずっと…

今日のうた31(11月)

[今日のうた] 11月 (写真は井辻朱美1955〜、歌誌「かばん」発行人、白百合女子大教授) ・ 銀の尻の象のごとくに浮かびいる飛行船など 秋の教室 (井辻朱美『水族』1986、作者はファンタジー作家でもある、「教室の窓からふと外を見ると、空に飛行船が浮かんで…

ピーター・ブルック『ザ・スーツ』

[演劇] ピーター・ブルック『ザ・スーツ』 渋谷・パルコ劇場 (写真右は、ヒロインの美しい妻マチルダを演じるノンランラ・ケズワNonhlanhla Kheswa、彼女は南アフリカ出身のシンガーで、張りのある美しい声と可愛らしい笑顔が印象的だ、これは、逃げた恋人が…

今日のうた30(10月)

[今日のうた] 10月1日〜31日 (写真は近藤芳美1913〜2006、アララギから出発し、戦後「未来」短歌会主宰、一貫して平和主義の立場で行動した、東京工大出身の設計技師、長らく「朝日歌壇」選者) ・ 君とわがたゞ身二つのかくれ里かくれはつべき里もなきかな (…

Dステ公演『十二夜』

[演劇] シェイクスピア『十二夜』 Dステ公演 紀伊国屋ホール (写真下は、前列の左から、オリヴィア姫、オーシーノ公爵、ヴァイオラ、サー・トービー、執事マルヴォーリオ、セバスチャン[ヴァイオラの双子の兄妹]、後列右から三番目が女中のマライア、トービ…

ヴェルディ『リゴレット』

[オペラ] クリーゲンブルク演出:ヴェルディ『リゴレット』 10月6日、新国立劇場(写真右は開幕、ホテルでの舞踏会。写真下は、道化師リゴレットと娘のジルダ、もう一つは、ホテルの屋上、リゴレットたち下層階級が貧しい小屋に住む、遠くに東京の夜景が広が…

今日のうた29(9月)

[今日のうた] 9月(写真は佐佐木幸綱、祖父は佐々木信綱、スポーツマンで味わいのある男歌(おとこうた)を詠む人、朝日歌壇選者、植村が投稿した短歌の中では、結果として、佐佐木幸綱選になったものが一番多かった) ・ ひとびとの見尽くしたりし虹をみる (山…

今日のうた28(8月)

[今日のうた] 8月1日〜31日(挿し絵は清少納言、4日の歌のように、冴えていて湿っぽくないのが彼女の歌) ・ 炎天をいだいて乞ひ歩く (種田山頭火1926、句集に、「大正十五年四月、解くすべもない惑ひを背負うて、行乞流転の旅に出た」とあり、「分け入つても…

オッフェンバック『ホフマン物語』

[オペラ] オッフェンバック『ホフマン物語』 二期会・新国立劇場 (写真下は、上から第2幕「オランピア」、右側の筒の中にいるのがオランピア、手前はその「父」の物理学者、というのも、彼女は人間ではなく、人間の姿をした機械人形だから。その下の写真は…

今日のうた27(7月)

[今日のうた27] 7月1日〜31日 (写真は松平盟子、彼女は与謝野晶子の研究家でもある、その歌は、女性の強い自意識を謳うという点で晶子と共通点があるかもしれない) ・ 鎌倉や御仏(みほとけ)なれど釈迦牟尼(しゃかむに)は美男(びなん)におはす夏木立かな (与…

今日のうた26(6月)

[今日のうた26] 6月1日〜30日 (写真は、安藤美保1967〜91、「心の花」所属、お茶の水女子大大学院在学中、藤原良経について修論執筆のために調査旅行した京都で、不慮の事故により逝去、みずみずしい歌が遺歌集『水の粒子』に残された) ・ 衣更(ころもかへ)…

今日のうた25(5月)

[今日のうた25] 5月1日〜31日 (写真は木下利玄、短歌を佐々木信綱に師事、また武者小路実篤や志賀直哉とともに『白樺』の創刊にたずさわり、短歌や散文を寄稿した) ・ 牡丹花(ぼたんくわ)は咲き定まりて静かなり花の占めたる位置(ゐち)のたしかさ (木下利玄…

コンヴィチュニー演出『マクベス』

[オペラ] コンヴィチュニー演出 ヴェルディ『マクベス』 東京文化会館 (写真右と下は、陽気な魔女たち、原作のような森ではなくカラフルな下着も干してある台所だ、人数も三人ではなくうじゃうじゃいる。その下の写真は、踊るマクベス夫人、宴会に現れたバン…

今日のうた24(4月)

[今日のうた24] 4月1日〜30日(写真は穂村弘1962〜、新しい感覚の歌を作り、短歌の表現の可能性をまた一つ広げた) ・ 春は曙そろそろ帰つてくれないか (櫂未知子2000、「ノリでうっかり男を自室に泊めてしまった私、ああん、バカよねぇ、明け方になってこんな…

ロボットを恋人にできるか(西條玲奈氏論考)

「ロボットを恋人にできるか―性的パートナーとしてのロボットと性産業―」(西條玲奈)(写真はピグマリオンのパロディ、デルヴォーの作)若手哲学者の西條玲奈氏が、応用哲学会で発表予定だった論考(パワポ)を、アップされました(↓)。私自身も以前、ロボットの…

今日のうた23(3月)

[今日のうた23] 3月 (写真は正岡子規1867〜1902、短歌の大胆な革新を行い、俳誌『ホトトギス』を創刊した、写真のように、日本でもっとも早く野球を行った一人で、「打者」「走者」「四球」「直球」「飛球」等は彼が造った訳語) ・ かくしつつ立ちわたりたる…

ラドゥ・スタンカ劇場『ルル』

[演劇] ラドゥ・スタンカ劇場『ルル』 3月1日池袋・東京芸術劇場 (写真右は日本公演のポスター、舞台写真はルーマニア上演だが東京公演も同一、下は、ルルを演じるオフィリア・ポピ、舞台冒頭のシーン、大きな鏡の前で踊り子を象徴的に表象する、黒く狭い空…

今日のうた22(2月)

[今日のうた22] 2月 (写真は宮内卿、17歳より活躍し天才少女と言われて、やや年上の俊成卿女と並び称されたが、二十歳頃に夭折、『新古今』など勅撰集に歌があるが、家集はない、歌は明快で直截、例えば1日の引用歌など) ・ 聞くやいかに 初句切れつよき宮内…

『ロックオペラ モーツァルト』

[オペラ] 『ロックオペラ モーツァルト』 渋谷・東急シアターオーブ (写真はすべて原作のフランス公演より、日本公演はまったく同じではない。写真下の一番上は、左から(たぶん)レオポルト・モーツァルト(父)、ナンネル・モーツアルト(姉)、サリエリ、コン…

ドニゼッティ『愛の妙薬』

[オペラ] ドニゼッティ『愛の妙薬』 新国立劇場大ホール (写真右は、第二幕の結婚披露宴、下は、怪しい薬売りドゥルカマーラが飛行機でやってくる、赤い服の女性二人は、媚薬売りのキャンペーンガール、そしてその下は、『トリスタンとイゾルデ』を読むアデ…

今日のうた21(1月)

[今日のうた21] 1月 (写真は芥川竜之介、古俳句を好み、凡兆や丈草の句を高く評価していた、やはり感覚的にシャープなものが好きなのだろう) ・ 新しき年の始の初春の今日降る雪のいや重(し)け寿詞(よごと) (大伴家持『万葉集』巻20、「新年の始めの初春の今…

ワーグナー『タンホイザー』

[オペラ] ワーグナー『タンホイザー』 新国立劇場大ホール (写真右は、タンホイザー役のS.アナセンとヴィーナス役のツィトコーワ、下は、第一幕のバレーと、第二幕のエリーザベト姫(M.ミラー)、第三幕最後のタンホイザーの死、記事の最下部は第二幕の歌合戦)…