2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

今日のうた(106)

[今日のうた] 2月ぶん (写真は香川ヒサ1947~、角川短歌賞、若山牧水賞などを受賞、思索的でヒネリの効いた歌を詠む人) 恋人をみつけたような足取りであなたは川へ向かってあるく (梶山志緒里『角川短歌』2019年11月佳作、前後の歌からすると、作者1993~は…

METライブ フィリップ・グラス 《アクナーテン》

[オペラ] フィリップ・グラス《アクナーテン》 METライブ Movixさいたま 2月27日 (写真↓は舞台、非常に美しい、上はジャグリングjugglingの小さな玉が素晴らしい、手前で祈るのはアメンホテプ3世(アクナーテンの父)) アメリカの作曲家フィリップ・グラス1937…

美と愛について(9) ― 恋に陥る瞬間、トーマス・マン『魔の山』

美と愛について(9) ― 恋に陥る瞬間、トーマス・マン『魔の山』 (↑2018年ミュンヘンで上演された演劇版『魔の山』、ショーシャ夫人が髪の後に両手を回す仕草をし、彼女の肩と腕に触れるカストルプ青年。彼女はダボスのサナトリウムで治療を受けている(たぶん…

イプセン 『亡霊たち』

[演劇] イプセン『亡霊たち』 駒場・アゴラ劇場 2月22日 翻訳・演出は毛利三彌。この新訳では、従来は『Gengangere幽霊』と訳されていたのが『亡霊たち』と変った。役者たちが非常に上手い。舞台表現の水準は高く、BGMにシャンソンが掛かる以外はリアリズム…

平田オリザ 『東京ノート』

[演劇] 平田オリザ『東京ノート』 青年団公演 吉祥寺シアター 2月20日 (写真↑は舞台、終幕近く、中央は長女の由美(松田弘子)、右は次男の妻である好恵(能島瑞穂)、平田の劇には主役的人物はいないのだが、本作では二人は準主役的、『東京ノート』は小津の『…

美と愛について(8) ― 恋に陥る瞬間、トーマス・マン『すげかえられた首』

美と愛について(8) ― 恋に陥る瞬間、トーマス・マン『すげかえられた首』 『魔の山』で知られるトーマス・マンに、『すげかられた首Die vertauschten Köpfe』(1940)というインドの古伝説に取材した小説がある。ナンダとシュリーダマンという二人の若い青年と…

近松半二:新版歌祭文/近松門左衛門:傾城反魂香

[文楽] 近松半二:新版歌祭文/近松門左衛門:傾城反魂香 国立劇場 2月17日 (写真は↓、新版歌祭文のお染と久松) 「新版歌祭文」野埼村の段と、「傾城反魂香」土佐将監閑居の段の二つを見た。前者は悲劇、後者は喜劇で対照的だが、どちらも非常によくできた作…

美と愛について(7) ― 恋に陥る瞬間、ゲーテ『若きヴェルテルの悩み』

美と愛について(7) ― 恋に陥る瞬間、ゲーテ『若きヴェルテルの悩み』 (本の表紙↑、二人はどちらも手先を触れ合っている) ゲーテ『若きヴェㇽテルの悩み』は23歳のゲーテの実体験をもとに書かれている。「純愛小説」として名高いが、青年ヴェㇽテルがロッテと…

美と愛について(6) ― 恋に陥る瞬間、川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』

美と愛について(6) ― 恋に陥る瞬間、川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』 前回の『ロミ・ジュリ』では、and palm to palm is holy palmers’ kissと恋人たちが手を合わせる仕草が美しかった。人は恋に陥る瞬間に手が動くのかもしれない。だが、ロミオもジュ…

シラー 『メアリー・スチュアート』

[演劇] シラー『メアリー・スチュアート』 世田谷パブリック劇場 2月4日 (写真は↓、メアリー[長谷川京子]とエリザベス[シルビア・グラブ]、そして舞台、舞台には椅子くらいしかないが、光線の使い方がとても上手く、闇の中に人が光るのが美しい) 原作はシラ…