2014-01-01から1年間の記事一覧
[今日のうた] 12月1日〜31日 (写真は井原西鶴、西鶴1642〜93は浮世草子『好色五人女』などで名高い作家だが、もともとは俳諧師であった) ・ ししししし若子(わこ)の寝覚(ねざめ)の時雨(しぐれ)かな (井原西鶴、母親が、起きたばかりで寝ぼけ顔の赤ちゃんを抱…
[ミュージカル] シェイクスピア原作『ヴェローナの二紳士』 日生劇場 2014.12.27夜 (写真右は、最後の大団円、中央の白い三人は左からシルヴィア姫(霧矢大夢)、ヴァレンタイン(堂珍嘉那)、プロテュース(西川貴教)、写真下はジュリア嬢(島袋寛子)とプロテュー…
[オペラ] ヴェルディ『ドン・カルロ』 新国立劇場 2014.11.30 (写真右は、第2幕「異端者の火刑」、写真下は、左から王妃エリザベッタを歌うセレーナ・ファルノッキアと、王子の親友ロドリーゴを歌うマルクス・ウェルバ) マレッリ演出の本公演は、2006年初演…
[今日のうた] 11月1日〜30日ぶん (写真は水原秋櫻子1892〜1981、「ホトトギス」虚子門下の4Sの一人であったが、詠み手の感情を重視する秋櫻子は、やがて「馬酔木」を創刊・主宰、優美な俳句を詠んだ人、医師でもあった) ・ 釣瓶(つるべ)落しといへど光芒し…
[今日のうた] 10月1日〜31日ぶん (写真は種田山頭火1882〜1940、自由律俳句を作りながら、最後の十数年は雲水となって各地を放浪した) ・ 濁れる水の流れつつ澄む (種田山頭火、作者の死の一か月前の句、この句は実景であると同時に、自分の人生そのものを見…
[演劇] 永井愛『鴎外の怪談』 10月25日 池袋・東京芸術劇場小ホール(写真右は、鴎外(金田明夫)と美人妻のしげ子(水崎綾女)、写真下は「スバル」編集長にして大逆事件弁護人を務めた平出修(内田朝陽)との相談、そして山縣有朋に直訴しようと書簡を書く鴎外) …
[オペラ] ワーグナー『パルジファル』 新国立劇場 10月5日 (写真右は、聖杯城のシーン、右側からナイフのようにせり出した板の上に横たわっているのが、傷ついたアムフォルタス王。写真下は、順に、パルジファルとクンドリー、パルジファルを色仕掛けで誘惑…
[今日のうた] 9月1日〜30日 (写真は僧正遍昭816〜890、平安時代の歌人で六歌仙、紀貫之は「歌のさま得たれどもまことすくなし(=上手いけれど真実味がちょっとね)」と評した、冗談っぽい楽しい歌が持ち味) ・ 名にめでて折れる許(ばかり)ぞ女郎花われ落ちに…
[文楽] 不破留寿之太夫(ふぁるすのたいふ) 9月13日、国立劇場・小劇場 (写真右はポスター、下は、2013年ザルツグルグ音楽祭のヴェルディ『ファルスタッフ』と、今回のふぁるすのたいふ) NHKで動画もありました。http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/news…
[今日のうた] 8月1日〜31日 (写真は葛飾北斎1760?〜1848、約90歳まで生きた浮世絵師、肖像の横に書かれているのが有名な辞世の句[7日参照]) ・ 年ごとに逢ふとはすれどたなばたの寝(ぬ)る夜の数ぞすくなかりける (凡河内 躬恒(おほしかふちのみつね)『古今…
[映画] 『大いなる沈黙へ(原題 Die Grosse Stille)』 8月7日 岩波ホール (写真右は、グランド・シャルトルーズ修道院、フランスのスイス国境に近い山中にある、写真下は院内の光景、修道士たちは会話を禁じられており、週一回の昼食後だけ右側のように会話を…
[演劇] シェイクスピア『十二夜』、東京芸術劇場・小ホール (写真右は、オリヴィアを演じたフローラ・ザッコン、フランス語と哲学を専攻。写真下はヴァイオラ役のレベッカ・バナトヴァーラ、フランス語とアラビア語を専攻、ともにオックスフォード大学生) オ…
[今日のうた] 7月1日〜31日(写真は阿波野青畝1899〜1992、ユーモアがあり、飄々として自由な境地の句を作った人) ・ 谷風や花百合そ向きま向きして (阿波野青畝、「谷に咲いている一群のユリの花が、風を受けて、あちらを向いたりこちらを向いたりしている」…
式子内親王の歌(写真は式子内親王[狩野探幽画])私が「今日のうた」を初めてツイッターに投稿したのが2011年8月16日なので、もうすぐ三年になる。かつて愛読した、朝日新聞夕刊連載の大岡信『折々のうた』を真似しているのだが、歌集や句集を読みながら良い歌…
[今日のうた] 6月1日〜30日ぶん (写真は、夏目漱石1867〜1916と鏡子夫人の見合い写真、漱石は生涯に約2600の俳句を詠んだが、味わいのある秀句も多い) ・ 麦の穂の高さに朝の風はあり (長谷川素逝、麦の穂が黄金色に熟する麦秋の季節、風を受けて、ゆっくり…
[オペラ] 池辺晋一郎『鹿鳴館』 新国立劇場・中ホール (写真右は、右側に立つのが景山伯爵、中央の和服は妻の朝子、写真下は同じく舞台から) 2010年初演の再演だが、私は初見。三島由紀夫の戯曲をもとに、鵜山仁が科白を削って上演台本を作り、池辺が作曲し…
[今日のうた] 5月1日〜31日 (写真は水原紫苑1959〜、現実のようでもあり幻想のようでもあり、不思議な感覚の前衛的な歌を詠む人) ・ 水槽の魚(うを)運ばるるしづけさを車中におもへばたれも裸体なり (水原紫苑『びあんか』1989、「静かな電車の車内、そうい…
[オペラ] マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』/レオンカヴァッロ『道化師』 新国立劇場 (写真右は『道化師』、左から、道化を演じるトニオ、アルレッキーノを演じるペッペ、コロンビーナを演じるネッダ、写真下は二枚とも『カヴァレリア』、シチリ…
[今日のうた] 4月1日〜30日 (写真は山口青邨1892〜1988、虚子門下、色彩感のある美しい句を詠んだ人、東大工学部教授を務めた) ・ ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり (穂村弘『シンジケート』1990、恋人と二人だけの春の夜…
[演劇] シェイクスピア『から騒ぎ』(河合祥一郎 訳・演出) 東大駒場キャンパス (写真は、ビアトリス[荘田由紀]とベネディック[高橋洋介]) 河合氏が新訳・演出し、役者は、荘田由紀(文学座)、小田豊(元早稲田小劇場、レオナート役)などの中堅を除き、新…
[オペラ] アルバン・ベルク『ヴォツェック』 新国立劇場 4月13日 (写真右は、舞台の床に張った水が部屋に反射して美しい模様を描き出している、手前右手の人物はグロテスクに太った大尉、奥に並ぶのは失業者たち、写真下は兵士ヴォツェックとマリー、人形を…
[今日のうた] 3月1日〜31日(写真は清水哲男1938〜、詩人でもあり、新しい感覚のユーモラスな句を作る人) ・ だるまさんがころんだ春もやってきた (清水哲男『打つや太鼓』2003、季語でもない「だるまさんがころんだ」は、どういうわけか春が似合うのが不思…
[オペラ] コルンゴルト『死の都』 新国立劇場大ホール 3月21日 (写真右は、マリエッタがマリーの亡霊の金髪を切り取るシーン、写真下は、ブリュージュの街を見おろすパウルの部屋と、生者と快楽を象徴するマリエッタの仲間の芸人たち) 観るのは初めて。それ…
[読書] 平野啓一郎『空白を満たしなさい』(講談社、2012年11月刊) 死を定められた人間が、死と向き合い、死と和解することによって、死への恐怖と苦悩から解放される物語。非常な力作で、次の二点が優れていると思った。 (1) 平野は明らかに生に力点を置き、…
[今日のうた] 2月 (写真は若き日の飯田蛇笏1885〜1962、高濱虚子と並んで近代俳句を領導した、虚子が「軽み」を身上とするのに対して、蛇笏は重厚で格調高い句を詠んだ ) ・ 冬滝のきけば相つぐこだまかな (飯田蛇笏1942、凍らずに水が落下している冬の滝、…
[演劇] シェイクスピア『尺には尺を』 文学座公演(鵜山仁演出)、2月22日、池袋アウルスポット(写真は、左からイザベラ、マリアナ、エスカラス、アンジェロ、修道士に化けた公爵)『尺には尺を』はイギリスでは人気らしいが、日本ではそれほど上演されないよう…
[演劇] シェイクスピア『お気に召すまま』 文学座公演(高瀬久男演出)、2月21日、池袋アウルスポット(写真右はポスター、下はロザリンド役の前東美菜子、24歳の新人) 『お気に召すまま』の実演を観るのはこれで4回目だが、この作品の難しさと独特の魅力をあ…
[今日のうた] 1月 (写真は上島鬼貫1661〜1738、兵庫県伊丹市出身、伸び伸びとして親しみ深い句を詠んだ人、芭蕉とも親交があり、当時は「東の芭蕉、西の鬼貫」とも言われた) ・ 元日やくらきより人あらはるゝ (上島鬼貫、「元日の早朝、八坂神社に初詣に行く…