2024-01-01から1年間の記事一覧
[折々のモーツァルト] 11,12月 11.2《フィガロ》第2幕、「恋とはどんなものかしら」、スロバキアの歌手パトリツィア・ヤネツィコヴァ1998~2023が歌う、なんて可愛いケルビーノ、あぁ、でも彼女は今はもういない www.youtube.com 9《フィガロ》映画「高慢と…
[今日の絵] 12月後半 14 Jean-Marc Nattier : Portrait of a lady 1750 フランス革命以前のロココ時代の絵、ナティエ1685-1766はルイ15世時代の肖像画第一人者、この顔はほとんど真正面で、描くのが難しいのだが、ナティエは真正面の画が多く、どの表情も凛…
[今日のうた] 12月 何となく汽車に乗りたく思ひしのみ/汽車を下(お)りしに/ゆくところなし (啄木『一握の砂』1910、この寂しさ。啄木は人一倍寂しがり屋だったにせよ、誰にでもこういう気持ちになるときは多少ともあるのではないか、だから共感できる) 12.…
[演劇] マキノノゾミ『北斎マンガ』わらび座 亀有リリオホール 12.20 (写真↑は、前列左から、北斎の娘・お栄、北斎、妻・おこと、滝沢馬琴、全員が個性的で、素晴らしい喜劇キャラ) アリストテレスは演劇を「ある人間の生きざまを必然性のある可能態としてミ…
[文楽] 『壇浦兜軍記』「阿古屋琴責の段」、井上ひさし『金壺親父恋達引』他 江東区文化センター 12.10 (写真↓は、文楽でも屈指の名場面の一つ、「阿古屋琴責(ことぜめ)の段」で胡弓を弾く遊女阿古屋[左]、あまりに音色が美しいので、阿古屋を拷問せよと言っ…
[今日の絵] 12月前半 1 Anton Einsle : 鏡の前の女性 1841 「鏡」の絵が面白いのは、描かれている人の体を二方向から見られるだけでなく、鏡で自分を見ている当の人の自己反射の表情は、普通は他人に見せない顔だからである。アインスレ1801–1871はオースト…
[折々の写真] 11.12月 11.6 吉田喜重『エロス+虐殺』1970は、私は東大入学直後、新宿のATGで見た。一柳慧の音楽、現代の若い男女との重複等、1968年革命とオーバーラップする前衛映画の傑作。細川俊之の大杉栄、岡田茉莉子の伊藤野枝が素晴らしく、神近市子…
[折々の言葉] 11月 私は誰も愛しませんが、そのかわり人を憎むこともありません。(セルバンテス『ドン・キホーテ』) 11.1 ねえ、あなた、心には性別があるものでしょうか。実のところ私は自分の心に性の意識をほとんど持たないのです。かりそめの愛なら感じ…
[今日のうた] 11月 時雨(しぐれ)降るごとき音して 木傳(こづた)ひぬ 人によく似し森の猿ども (啄木『一握の砂』1910、「森の猿ども」が「人によく似ている」ことに対する複雑な感情を詠んでいる、猿「ども」や「時雨降るごとき」音など、ニュアンスは否定的)…
[演劇] チャペック『ロボット』 シアタートラム 11.20 (↓最初に登場する人間の一番美しい女ヘレネ[朝夏まなと]、後半、彼女はロボットに生れ変わる。そして終幕、やはりロボットのプリムス[内田健司]と二人で、最後に生き残ったロボットから、新たに生まれる…
[今日の絵] 11月後半 16 Cesare Saccaggi : Preludes 1914 「男と女」は、絵画のみならず文学・芸術一般の人気テーマ、この絵、曲だけでなく恋も「プレリュード」なのか、ハープの女性は、楽譜を見ながらも二人の気配をうかがっており、男と女はつねにデリケ…
[今日の絵] 11月前半 1 Michiel van Musscher :Young girl at a table 「手紙は、人間の交わりの一つの手段、最も美しく最もみのりのある手段の一つである(リルケ『若き女性への手紙』)」、この娘の真剣な表情が印象的だ、返事を待つ使いの者、ムスヘル1645…
[演劇] 松原俊太郎『光の中のアリス』 シアター・トラム 11.1 (↓左から東出昌大[バニー]、古賀友樹[ナイト]、伊東沙保[ミニー]、荒木知佳[ヒカリ]) 小野彩加/中澤陽演出。初めて見るタイプの演劇で、かなり尖がった前衛的な寓話劇。とても面白かった。精神…
[今日の絵] 10月後半 19 Pieter Saenredam : Interior of Saint Bavo, Haarlem 1631 「教会」は西洋絵画で多く描かれた建築の一つ、「教会」は神社仏閣と同様、人々が「超越界」と繋がる特別な空間で、思い入れの多い場所、高い天井が超越界を感じさせ、人々…
[今日のうた] 10月 ねえあんた来るの来ないの台風さん (おおまま「東京新聞・俳壇」9.29、小澤實選、「ゆっくりと自転車並のスピードで移動する台風に向かって、呼びかけている。作者は台風並に巨大な存在のよう」と選評) 1 かなしくはしやぎ蜻蛉(とんぼ)と…
[折々の写真] 9,10月 9.4 『ディア・ハンター』1978はアメリカ映画の最高傑作の一つ、アメリカの若者たちがベトナム戦争でいかに深く傷ついたか、一人一人の人間がかくも深い表情を持つとは! デ・ニーロもM.ストリープもこれが代表作だろう、鎮魂の音楽の天…
[折々の言葉] 9,10月 僕は再び僕自身です。他の人なら道端にころがっていても拾い上げそうもないこの「自己」を、再び僕は手に入れました。(キルケゴール『反復』) 9.2 沈黙が言葉に優ることもあれば、言葉が沈黙に優ることもある。(エウリピデス『オレステ…
[折々のモーツァルト] 9.10月 9.28《フィガロの結婚》第2幕「恋とはどんなものかしら」、ボーイッシュなケルビーノの美しさ、伯爵夫人とスザンナはどちらもケルビーノが大好きで、このすぐ後の着せ替えシーンでは、彼を取り合います。リナ・シャハムが歌う2…
[今日の絵] 10月前半 1 Gauguin : Breton Eve 1889 西洋絵画には、実在ではなく「神話の人物」が多く描かれている、神話に擬するのは、画家が実在のモデルに自分のイメージを重ね描きする楽しみがあるからだろう、この「ブルターニュのイヴ」は苦悩しており…
[演劇] エウリピデス原作『へカベ 、海を渡る』 清流劇場 上野ストアハウス 10.12 (↓開幕冒頭、右はへカベの侍女[八田麻住]、原作にはないが、最初から最後までへカベに付き添う重要な役、へカベ[日永貴子]とこの侍女だけは、他の俳優と違って一人一役を通す)…
[演劇] シェイクスピア『リア王の悲劇』 藤田俊太郎演出 KAAT 10.2 (写真↓ 左端リーガン、中央コーディリアとリア、右端ゴネリル) フォリオ版1623のみからの河合祥一郎訳に基づく上演。通常『リア王』の戯曲テクストは、クオート版1608とフォリオ版を合わせ…
[今日の絵] 9月後半 15 Botticelli : Portrait of Dante 1495 ボッティチェリ1445-1510は、ダンテ1265-1321の熱烈な崇拝者だが、ダンテを直接知らないから、例えばダンテと同時代のジョット1267-1337のダンテ肖像画(右)などを元に描いたのか、どちらの表情も…
[今日のうた] 9月 夏山にもたれてあるじ何を読む (子規1895、「あるじ」とは、子規の句友の竹村鍛、神戸市の彼の家を子規が見舞った時の句、彼は六甲山を背に「夏山にもたれて何か読んでいる」感じだった) 9.1 青空よ赤く染まらないで戦争で (久間木カウエ(…
[オペラ] シェイクスピア《リア王》 こんにゃく座 吉祥寺シアター 9.18 (写真上↑は、リーガン、リア、ゴネリル。写真下は、左が道化に扮したケント拍) こんにゃく座を観るのは久しぶりだが、なかなか味のある《リア王》だった。作曲は萩京子、台本は実質、文…
[舞踊] ピナ・バウシュ 《春の祭典》他 有楽町・国際フォーラム 9.12 ピナ・バウシュは7年前に《カーネーション》を観て以来二度目だが、野性味溢れる爽快な舞台を堪能した。今回は、全員がアフリカ人ダンサーで、土ぼこりをあげながら走り回り、乱舞する姿…
[今日の絵] 9 月前半 1アダム・ウィラーツ:パラティーノ選帝侯とエリザベス王女のマーゲイトでの乗船 1623 人類は約12万年前にアフリカを出て世界に散らばり始めた、おそらく当時から舟が活躍したに違いない。舟は人間の生存に不可欠で、「家」と並んで絵に…
[オペラ] モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》 二期会 新国 9.05 (オペラ《コジ》のレコード録音から始まるが、演技だったはずが次第に本当の恋になってしまう[写真下]) 演出・衣装はロラン・ぺリー、フランスのシャンゼリゼ劇場と提携。素晴らしい舞台…
[今日の絵] 8月後半 14 Hans Holbein : Self-Portrait 1543 ホルバインはこのとき45歳、小さな細密画だが精悍な画家本人が見事に描けている、眼は細いが鋭い 15 Artemisia Gentileschi : 殉教者聖カテリーナに擬した自画像1616 罵倒に耐えながら画家として成…
[今日のうた] 8月 何事も人に従ひ老い涼し (高濱虚子1942、虚子はこのとき68歳だが、当時の感覚では「老い」なのか) 8.1 炎天や僧形遠くより来たる (山口誓子1944、炎天で地面の空気がゆらゆらと揺れている、そのためか、道を歩いてこちらにやってくる僧が…
[折々の言葉] 7,8月 恋愛はあらゆる感情を象徴で表現するから、その言葉はつねに比喩なのだ。愛する者にとって、書いているものはもはや手紙ではない、賛歌なのだ。(ルソー『新エロイーズ』) 7.1 抗(あらが)いの中にいのちの最後の輝きを楽しもうとするの…