2024-01-01から1年間の記事一覧

[舞踊] ピナ・バウシュ 《春の祭典》他

[舞踊] ピナ・バウシュ 《春の祭典》他 有楽町・国際フォーラム 9.12 ピナ・バウシュは7年前に《カーネーション》を観て以来二度目だが、野性味溢れる爽快な舞台を堪能した。今回は、全員がアフリカ人ダンサーで、土ぼこりをあげながら走り回り、乱舞する姿…

[今日の絵]  9 月前半

[今日の絵] 9 月前半 1アダム・ウィラーツ:パラティーノ選帝侯とエリザベス王女のマーゲイトでの乗船 1623 人類は約12万年前にアフリカを出て世界に散らばり始めた、おそらく当時から舟が活躍したに違いない。舟は人間の生存に不可欠で、「家」と並んで絵に…

[オペラ] モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》 ロラン・ペリー演出

[オペラ] モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》 二期会 新国 9.05 (オペラ《コジ》のレコード録音から始まるが、演技だったはずが次第に本当の恋になってしまう[写真下]) 演出・衣装はロラン・ぺリー、フランスのシャンゼリゼ劇場と提携。素晴らしい舞台…

[今日の絵] 8月後半

[今日の絵] 8月後半 14 Hans Holbein : Self-Portrait 1543 ホルバインはこのとき45歳、小さな細密画だが精悍な画家本人が見事に描けている、眼は細いが鋭い 15 Artemisia Gentileschi : 殉教者聖カテリーナに擬した自画像1616 罵倒に耐えながら画家として成…

[今日のうた] 8月  

[今日のうた] 8月 何事も人に従ひ老い涼し (高濱虚子1942、虚子はこのとき68歳だが、当時の感覚では「老い」なのか) 8.1 炎天や僧形遠くより来たる (山口誓子1944、炎天で地面の空気がゆらゆらと揺れている、そのためか、道を歩いてこちらにやってくる僧が…

[折々の言葉] 7,8月

[折々の言葉] 7,8月 恋愛はあらゆる感情を象徴で表現するから、その言葉はつねに比喩なのだ。愛する者にとって、書いているものはもはや手紙ではない、賛歌なのだ。(ルソー『新エロイーズ』) 7.1 抗(あらが)いの中にいのちの最後の輝きを楽しもうとするの…

[折々の写真]  7,8月

[折々の写真] 7,8月 7.3『俺たちに明日はないBonnie and Clyde』1967 1932~34に実際にあったボニーとクライドの銀行強盗事件を映画化、アメリカン・ニューシネマの記念碑的作品、元気娘ボニー役のフェイ・ダナウェイ1941~が可愛いくてカッコいい、彼女は当…

[今日の絵] 8月前半

[今日の絵・8月前半] 1 Andrey Dareev : July. Ribes タイトルは「7月、スグリの実」、ロシアの7月は夏だけれど、涼しそう、子どもたちも若い母と一緒にスグリの実を集めている、これがロシアの夏、アンドレイ・ダレエフは現代ロシアの画家 2 Jean Frédéric …

[演劇] 永井愛『僕の東京日記』文学座

[演劇] 永井愛『僕の東京日記』 文学座アトリエ 8月3日 (↑写真右端は満男の母の淑子[大木惟吏杏]、本作はある意味で「母と息子」の物語、彼女と下宿屋のオバさん[中央、木下綾夏]は、実質的な主人公、二人は決してブレずに、一貫して「主体=母」として行動…

加藤陽子氏 朝日新聞インタビュー

歴史家でフェミニストの加藤陽子東大教授、8月1日の朝日新聞インタビューがすばらしいので、私のブログに貼りました。73歳のヘタレ・リベサヨの私ですが、彼女に学んで、もっともっと戦わなければ(!笑)。 ーーーーーーーー 「今の学生は『女性だから』の…

[今日の絵] 7月後半

[今日の絵] 7月後半 17 Élisabeth Vigée-Lebrun : Lady Hamilton as the Persian Sibyl 1792 ルブランはマリー・アントワネット付きの宮廷女性画家、この絵はフランス革命後、描かれているのは貴族ハミルトン卿の妻エマ1765-1815、「古代ペルシャの巫女」の…

[今日のうた] 7月

[今日のうた] 7月 硝子戸(がらすど)に硝子戸うつり明けやすし (柴田白葉女、夏至の前後は「短夜」だ、今朝も早くから室内が明るく、硝子戸に別の硝子戸が映ってみえる、作者1906-84は飯田蛇笏に師事、『雲母』同人) 1 啼く鳩のところさだめて梅雨の日々 (飯…

[今日の絵] 7月前半

[今日の絵] 7月前半 1 Jules Breton : 崖 1874 ブルトン1827-1906はフランスの写実主義の画家。彼女はこの姿勢からして、海の何かに「あこがれて」いるのだろう。「海に来れば海の向こうに恋人がいるようにみな海をみている(五島諭)」、海の前に来ると人は心…

[演劇] キェシロフスキ 『デカローグ9・10』 新国

[演劇] キェシロフスキ 『デカローグ9・10』 新国 7.11 (写真↑は9話「ある孤独に関する物語」の外科医ロマン[伊達暁]と妻のハンカ[万里紗]、妻の愛人の大学生マリウシュ[宮崎秋人]) 40才の敏腕な心臓外科医ロマンは、医学的な理由で性的不能になってしまっ…

[演劇] キェシロフスキ 『デカローグ7・8』 新国

[演劇] キェシロフスキ 『デカローグ7・8』 新国 7.5 (写真↑は「デカローグ7、ある告白に関する物語」、マイカ[中央]は16歳のとき若い高校の国語教師[右]との間に子供ができてしまった、でも校長であった彼女の母はスキャンダルを恐れ、「自分の子」と偽って…

[演劇] シェイクスピア『オセロー』 文学座

[演劇] シェイクスピア『オセロー』 文学座 紀伊国屋サザン 7.3 (写真↓は舞台、シンプルでスタイリッシュで美しい、最初から空間がコスモロジーになっている) 非常に驚くべき、そして素晴らしい『オセロー』だった。7年前のヴァン・ホーヴェ演出と並ぶ、上…

[折々の写真] 5,6月

[折々の写真] 5,6月 5.1ルネ・ファルコネッティ1892-1946は、ドライヤー『裁かるるジャンヌ』1928で主演、端正な美女で、もともとは喜劇系映画や舞台の人、1927年に描かれた絵が、日本のポーラ美術館にある。4分の動画、裁判中のジャンヌがすばらしい The Pa…

[折々の言葉] 5,6月

[折々の言葉] 5,6月 ぼくはデーミアンの顔を見る。少年の顔じゃない。一人前の男の顔。しかも男の顔にとどまらないなにかが見えたような気がした。女の顔らしきものがそこに見えたのだ。つまり、彼の顔はほんの一瞬、男っぽくもなければ、幼くもなく、年齢を…

[今日の絵] 6月後半

[今日の絵] 6月後半 17 Pieter Bruegel : 収穫する人たち1565 今日からは「働く人」を、16世紀にはまだ工業は未発達だから、労働といえば農業だ、ブリューゲルは農民をたくさん描いた 18 Gustave Courbet : The Stone Breakers 1850 19世紀には「働く人」が…

[今日のうた] 6月

[今日のうた] 6月 うち竝び鏡にむかふ衣替 (高濱虚子1897、衣替えの日、昨日までとは違うので、出かける前に鏡に向かう時間がどうしても長くなってしまう、二人一緒になってしまった) 1 扇風器大き翼をやすめたり (山口誓子1929、扇風機と扇風器は違うのかど…

[オペラ] ヴェルディ《シチリアの晩鐘》 アーリドラーテ歌劇団

[オペラ] ヴェルディ《シチリアの晩鐘》 アーリドラーテ歌劇団 新国 6.22 初見だが、素晴らしい作品だ。ヴェルディには珍しく、戯曲や文学からではなく、「シチリア島民の蜂起」という13世紀の史実から直接に作られた作品。主人公のエレーヌ公女が、敵国の貴…

[今日の絵] 6月前半

[今日の絵] 6月前半 1 Rembrandt : A Man in a Room, 1630 窓はよく絵の対象になる。その理由は、窓の外は明るく、その明るさの落差が人間の心の開かれ方に作用して、それが様々な外観の差になるからだろう、「窓」は、その画家にしか見えていないものを描け…

[オペラ] プッチーニ ≪つばめ≫ Metライブ

[オペラ] プッチーニ ≪つばめ≫ Metライブ Movixさいたま 6.6 (写真は↓、第2幕終り頃、パリの宴会で踊る客たち、ヴェルディ『椿姫』の「乾杯の歌」と似た雰囲気で、愛を讃え祝福する軽やかなダンスと音楽が快い) プッチーニの、あまり上演されない作品だが、…

[オペラ] ヘンデル《デイダミーア》二期会

[オペラ] ヘンデル《デイダミーア》二期会 目黒パーシモンホール 5.26 (写真は舞台、中村蓉演出・振付で、バロックダンスの代りに全篇コンテンポラリーダンス、下は美少年のアキレウス) 二期会公演、鈴木秀美指揮。珍しい作品が上演された。ヘンデルの最後の…

[演劇] キェシロフスキ『デカローグ5・6』

[演劇] キェシロフスキ『デカローグ5・6』 新国(小) 5.23 (写真は、第6話「ある愛に関する物語」練習風景、ワルシャワの巨大団地だが、空間の使い方が上手い) 今回は「デカローグ」5と6、それぞれ1時間。5は「ある殺人に関する物語」で深刻な内容だが、…

[今日の絵] 5月後半

[今日の絵] 5月後半 12 Matthias Stom : Young Man Reading by Candlelight 1630 マティアス・ストーム1600-1650はオランダの画家、カラヴァッジオの影響を受けた。ロシアの心理学者ヴィゴツキーは「読書しているとき、人は自分と対話している」と述べた、「…

[今日のうた] 5月

[今日のうた] 5月ぶん フラスコに指がうつりて涅槃なり (永田耕衣『加古・傲霜』1934、「涅槃」は釈迦入滅の春の季語、「ねはん」という響きが美しい、「フラスコに映った自分の指」が「涅槃」という奇抜な取り合わせが、いかにも耕衣らしい) 5.1 美しきネオ…

[演劇] 木下順二『オットーと呼ばれる日本人』 

[演劇] 木下順二『オットーと呼ばれる日本人』 民藝 紀伊国屋サザン 5.17 (写真↓は、舞台中央が尾崎秀実、右へアグネス・スメドレー、ゾルゲ。そして本人たち、毛沢東、朱徳、スメドレーの貴重な画像も、延安か) 初演が1962年、本上演が4回目で、丹野郁弓演…

[演劇] シェイクスピア『ハムレットQ1』

[演劇] シェイクスピア『ハムレットQ1』 渋谷PARCO劇場 5.14 (写真↓は、オフィーリア[飯豊まりえ]、ハムレット[吉田羊]、王クローディアス[吉田栄作]、そしてホレーシヨ[牧島輝]、吉田が演じるハムレットは美しい、飯豊まりえはオフィーリアの他にフォーテ…

[今日の絵] 5月前半

[今日の絵] 5月前半 1 ヘンドリック・ステーンウェイク : アーヘンの市場広場 街には人がただ存在するのではなく、街で人は生きている、街の絵には必ずその生きざまが描かれ、画家がたくさん「街」を描くのは、そこにいる「人」を描きたいからだ、作者は17世…