2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

山口二郎『若者のための政治マニュアル』(3)

[読書] 山口二郎『若者のための政治マニュアル』(講談社現代新書 08年11月刊) (下記は、非正規雇用者の割合。全体で3分の1強、男性で2割に達した) 前回見たように、「リスクへの対応」という視点に立つと、現代の政治の数多くの争点の必然性がよく分かる。…

山口二郎『若者のための政治マニュアル』(2)

[読書] 山口二郎『若者のための政治マニュアル』(講談社現代新書 08年11月刊) 今日は第3章の、リスク論を見てみよう。山口氏によれば、人間には、多くの人々に共通する苦労、必ず遭遇しなければならない試練や難題が存在する。これが「リスク」の基本である。…

山口二郎『若者のための政治マニュアル』(1)

[読書] 山口二郎『若者のための政治マニュアル』 (講談社現代新書 08年11月刊) 北海道大学の山口二郎氏の近著。読みやすく、分かりやすく、重要なことが書かれているので、その論点を紹介したい。私は今、勤務先の大学で、来年の4月に開設する総合教養学科の…

安部公房『友達』

[演劇] 安部公房作/岡田利規演出『友達』 三軒茶屋・シアタートラム (写真右は練習風景、下は俳優たち。なかなかの豪華陣) 1967年作の戯曲を、劇団チェルフィッチュを主宰する若手の劇作家、岡田利規が演出。戯曲を読んだときは、こんなつまらない作品がな…

宮城聰『ハムレット』

[演劇] 宮城聰演出『ハムレット』 静岡芸術劇場(写真右はポスター、写真下は2008年夏のRSC公演におけるハムレットとガートルード) 劇団クナウカを主宰する演出家の宮城聰の新演出。通常なら上演に5時間を要する『ハムレット』を、1時間40分に再構成した。人…

スパイアーズ『エミリ・ディキンスン家のネズミ』

[読書] エリザベス・スパイアーズ『エミリ・ディキンスン家のネズミ』(長田弘訳、みすず書房、07年9月)(写真右は、ディキンソンの、残っているたった一枚の写真。下は彼女の生家) 勤務先のディキンソン専攻の大学院生に薦められて読んだ。著者はアメリカのデ…

内田樹・鷲田清一『大人のいない国』

[読書] 内田樹・鷲田清一『大人のいない国』(プレジデント社、08年10月刊)(写真は、韓非子)なかなか面白い本だ。内田氏と鷲田氏の対談と、それぞれの論考からなる。私には、序論にあたる二氏の対談(第1章)と、ネット言論を「呪いの言葉」という人類学的視点か…

本谷有希子『幸せ最高ありがとうマジで!』

[演劇] 本谷有希子作・演出『幸せ最高ありがとうマジで!』 渋谷・パルコ劇場 本谷有希子(もとやゆきこ)は1979年生まれの若い劇作家。私は今回初めて見たが、なかなか良くできた面白い舞台だった。本谷は、自ら劇団を主宰して、2000年に自作『腑抜けども、悲…