2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧
[読書] モンテーニュとお酒 久しぶりに『エセー』を流し読みしていたら、お酒の話が出てきた。我が敬愛するモンテーニュ先生は「私は、普通の体格の人間としてはかなりよく飲む」(五、p188)と言っているから、酒好きだったのだろう。通ぶらない、率直なもの…
[演劇] 土田英生作『橋を渡ったら泣け』 渋谷コクーン 土田英生は劇団MONOを主宰する若手の劇作家。この作品は2002年にMONOで上演されたものの再演。演出は生瀬勝久、俳優は、大倉孝二、奥菜恵、八嶋智人、小松和重など、それぞれに個性的なメンバーだ(写真…
[読書] 長野順子『オペラのイコロジー3・魔笛』(ありな書房、2007年1月刊) (以下は、『図書新聞』第2814号、3月17日に私が書いた書評です。図書新聞社の了解を得て、以下に転載します。写真は表紙より。1815年、フリードリッヒ・シンケル演出の舞台スケッチ…
[読書] A.ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』(市川恵理訳、白水社、2006年9月刊) 本書は我々に「文学と現実の関係」という重い問いを投げかけている。ナフィーシーは、読書会で選んだ作品の作者はいずれも「文学の決定的な力を信じている」(p33)と述…
[読書] A.ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』(市川恵理訳、白水社、2006年9月刊) (写真は、本書の中国語訳、イタリア語訳、そして著者近影) 本書には、ナフィーシーの教え子たちがたくさん登場する。男子学生はほとんどがイスラム主義の活動家だが、…
[読書] A.ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』(市川恵理訳、白水社、2006年9月刊) 優れた本なのでコメントしたい。1995年のある日、イラン人の女性英文学者である著者アーザル・ナフィーシーは、テヘランの自宅に優秀な女子学生だった教え子たちを集め…
[読書] 永井均『西田幾多郎』(NHK出版)[写真は、文学座が演劇化した「おーい幾多郎」(2004)のポスター] 私にとって永井氏のたまらない魅力は、その醒め切ったニヒリズムにある。『倫理とはなにか』は氏のそうした資質が遺憾なく発揮された名著であるが、…
[読書] 永井均『西田幾多郎』(NHK出版) 永井氏によれば、西田はウィトゲンシュタインとは逆に、経験は言語とは独立にそれだけで意味を持ちうると考えていた。西田が「純粋経験」を語る言語は、経験の外部から手に入れたのではない。「純粋経験それ自体が…