[今日の絵] 9月後半
16 Kristian Zahrtmann : ユバルとその家族
今日から「音楽」の絵。旧約『創世記』に登場する「ユバル」は音楽の発明者とされている人物。音楽には、弾く、歌う/聴く(さらには踊る)という人と人との関係が含まれ、人と人とのよい関係性が生まれる、だから音楽は美しい絵になる。ザールトマン1843-1917はデンマークの画家
17 Antonina Leonardovna Rzhevskaya : A Merry Moment 1897
自分も一緒に歌ったり踊ったりリズムを取ったり、自然に体が動いてしまうのが音楽の喜び。ジェフスカヤ1861-1934はロシアの女性画家、家族や子どもをたくさん描いた、この絵は彼女の代表作の一つ
18 Alexander E. Kosnichev : FELIZ DOMINGO!
タイトルは「ハッピー・サンデー!」、自分たちが鐘を突いて鳴らし、その音を聴くことはとても嬉しい、修道士たちの全身は音楽の喜びに溢れている、コスニチェフ1970~は現代ロシアの画
19 Arcangiolo Birelli : 魅せられる聴衆の子どもたち1890
子どもたちの嬉しそうな表情が素晴らしい、ビレリ1858-1928はイタリアの画家
20 François-Joseph Navez:音楽家の家族 1828
リアリズムというよりやや神話的象徴的だが、タイトルは、音楽は家族に調和をもたらす、という意味だろう。ナヴェス1787-1869はフランスの新古典派の画家
21 Henry Bacon : The Musician's Rest 1897
プロの「音楽家」なのかアマチュアなのかは分からないが、寝てしまっても楽器が手から離れない、バイオリンは彼女にとって<愛しい友>なのだ。ヘンリー・べーコン1839-1912はアメリカの画家
22 Federico Andreotti : An Interlude (19th century)
タイトルは「幕間の出し物」、レッスンの合間に先生が教え子を口説いているのだろう、これも、音楽はよい人間関係を生み出すゆえか。アンドレオッティ1847-1930はイタリアの画家、ロココ風の貴族を描いた
23 Julius Schmid : ウィーンのサロンにおける「シューベルトの夕べ」1897
上流階級の人たちのサロンだろう、ピアニストが何となくシューベルトっぽく見えるのが面白い。シュミット1854–1935はオーストリアの画家
24 Albert Edelfelt : Au piano
19世紀後半は、ヨーロッパの中産階級の家庭に楽器が普及し、家族で音楽を楽しんだ時代、レコードの発明とともに家庭での音楽演奏は減った。この絵はグランドピアノだから、それなりに裕福な家庭か、エーデルフェルト1854-1905はフィンランドの画家、有名人の肖像も描いた
25 Grigory Petrovich Svetlitsky : The Musicians 1912
田舎廻りの貧乏な楽団なのか、チェロはむき出しで、やや寂しそうな表情だ。スヴェトリツキー1872-1948はウクライナの画家、生活する庶民を描いた
26 Orazio Gentileschi : the lute player, c. 1615
リュートを弾いているこの女性は、眼付きが異様に鋭い、楽譜というより遠くを見詰めているかのようだ。ジェンティレスキ1563-1639は、女性画家アルテミジア・ジェンティレスキの父
27 Károly Ferenczy: Birdsong 1893
タイトルは「鳥の歌」だが、体勢からして、この女性も一緒に「歌って」いる、歌が歌を誘うのが音楽であり、モーツアルトのオペラでは、アリア→二重唱→三重唱→・・と声に声が次々に加わり増えていくところが最も美しい。カーロイ1861-1917はハンガリーの画家
28 Maria Wiik : Ballad 1898
聴き手に向けた演奏者の顔はどれもいい表情になる、聴き手を見る眼差しが<共感する眼差し>になるからだろう。マリア・ヴィーク1853-1928はフィンランドの女性画家、表情豊かな人物画を描いた
29 Repin : Portrait of the Artist V.S. Svarog
ロシアの画家イリヤ・レーピン1844-1930は、おそらく西洋近現代の最も卓越した画家の一人だろう、とくに人物画が素晴らしく、それぞれの個人の個性がしっかり描かれている、この絵のSvarogも、聴き手を見るその表情がいい
30 Karl Harald Alfred Broge : Interior with a woman playing the guitar
ギターなど弦楽器を抱える体勢は、どこか「愛しいものを抱いている」ような姿になる、この絵の女性は体勢も優しいが、心静かな表情がいい。ブロージュ1870-1955はデンマークの画家、室内の静かな女性をたくさん描いた