2023-01-01から1年間の記事一覧

[演劇] 木ノ下歌舞伎『摂州合邦辻』

[演劇] 木ノ下歌舞伎『摂州合邦辻』 横浜KAAT 5月31日 (写真↓は舞台、糸井幸之介作曲の音楽はまるでミュージカルなのだが、ギリシア悲劇のコロスであるよりは、私には、皆が讃美歌を歌いながら踊っているように感じられ、涙が止まらなかった) 数年前に、木ノ…

[オペラ] ケルビーニ《メデア》

[オペラ] ケルビーニ《メデア》 日生劇場 5月27日 (写真↓は舞台、ゲネプロから、中央はクレオン王の王女グラウケー) 日本初演!こんな凄いオペラがあったのかと驚いた。ケルビーニはモーツァルトより4年後の生れだから、かなり古い。エウリピデスの『メディ…

[今日の絵] 5月後半

[今日の絵] 5月後半 15 children riding a dromedary (Arabian camel) 今日から「子どもたち」の絵を、まずイスタンブールの大宮殿モザイク博物館にある、6世紀のモザイク画、アラブのラクダに乗っている子どもたち、子どもは黒い鳥を抱えているし、どこかこ…

今日のうた(145) 5月ぶん

今日のうた(145) 5月ぶん 佐保姫が俳句の種を播いてゐる (森木道典「朝日俳壇」4月30日、大串章選、「「俳句の種」を播くが言い得て妙。さすがは春をつかさどる女神」と選者評) 5.1 野球部の声出し係風光る (今泉準一「東京新聞俳壇」4月30日、小澤實選、「…

[オペラ] R.シュトラウス ≪エレクトラ≫ サントリーH

[オペラ] R.シュトラウス ≪エレクトラ≫ サントリーホール 5月14日 (写真[12日]↓は、正面緑のドレスがエレクトラ[クリスティーン・ガーキー]、左へピンクがクリソテミス[シネイド・キャンベル=ウォレス]、その左クリテムネストラ[ハンナ・シュバルツ]、左端が…

[今日の絵] 5月前半

[今日の絵] 5月前半 1 Chassériau : Portrait of sister Aline 1835 シャセリオ―1819~56はフランスのロマン主義の画家、この絵は妹のアリーヌ13歳で、画家は16歳、彼の人物画は、体や顔の角度が絶妙で、それによって、当たる光が身体全体の美しい表情を作り…

[演劇] 大池容子『あたらしい朝』 うさスト

[演劇] 大池容子『あたらしい朝』 うさぎストライプ公演 駒場・アゴラ 5月9日 (写真↓は、旅行する若者たち、ほとんどが、うさストの俳優で、何度も見ている私は、親しみを感じる) 大池容子の作品はすべて、不条理劇の形式の中に美しい純愛がスーッと光る。こ…

今日のうた(144) 4月ぶん

今日のうた(144) 4月ぶん 雪山に春の夕焼滝をなす (飯田龍太1951『百戸の谿』、30歳の作者は、故郷の山梨県境川村で妻子と貧乏な暮らし、「ある夕方、夕焼けが春の雪山に映って輝いている、まるで滝のように見える」、「滝をなす」という結句がいい) 1 春の…

[演劇] トニー・クシュナー『エンジェルス・イン・アメリカ』

[演劇] ニー・クシュナー『エンジェルス・イン・アメリカ』 新国 4月25日26日 (写真↓は、エイズに苦しむ若者たち、下の右端がプライアー[岩永達也]) 上村聡史演出、二日間でⅠ部Ⅱ部合わせて合計7時間の大作。小田島創志の翻訳がよく、科白の言葉に耀きと深み…

折々の言葉(8) 3、4月ぶん

[折々の言葉] 3、4月ぶん 長い間たがいに口に出さずに胸に畳んでおける事柄がある。だが、ひとたび口に出されたが最後、それはたえず繰り返されるのだ。(コンスタン『アドルフ』) 3.3 人間の心、地震計のように美しいもの。(ブルトン『ナジャ』) 6 彼女が美…

[今日の絵] 4月後半

[今日の絵] 4月後半 17 Walter Granville-Smith:A cup of tea 1904 ウォルター・グランビル・スミス1870~1938はアメリカの画家、西洋はカップル社会だが、複数の女性が一緒にいる絵も多い、男性を含むよりは女性だけの方がくつろげるのか、この絵は、左の…

[今日の絵] 4月前半

[今日の絵] 4月前半 1 Pissaro : Spring Morning, Pontoise 1874 今日から、少し「春」の光景を、中央の樹の形がよく、全体の構図と色のバランスがとてもいい、ポントアーズはフランス中央部のヴァル=ドワーズ県にある、朝から人々は働いている 2 Monet : S…

[オペラ] R.シュトラウス≪平和の日≫

[オペラ] R.シュトラウス≪平和の日≫ 渋谷・オーチャドホール 4月8日 日本(アジア?)初演と聞いて驚いたが、その主な理由は、戦後、この作品はシュトラウスのナチス協力とみなされて、ほとんど上演されなかったかららしい。この作品は、ミュンヘン講和が成立…

[映画]  ケイコ 目を澄ませて

[映画] ケイコ 目を澄ませて 田端・Cinema Chupki 4月3日 (写真↓はケイコ[岸井ゆきの]とジムの会長[三浦友和]) 見ながら、私は、ロベール・ブレッソンの映画を思い出した。人間が真剣に生きている姿は、ただそれだけで、何と美しいのだろう! 映画という媒体…

[演劇] P.ハントケ『カスパー』 東京芸術劇場

[演劇] P.ハントケ『カスパー』 池袋・東京芸術劇場イースト 3月31日 (写真↓は、寛一郎演じるカスパー) ハントケの戯曲は、カスパー・ハウザーの史実とは違うし、この舞台も、ハントケの戯曲の忠実な上演ではない。バレー・ダンサー出身のウィル・タケット演…

[今日の絵] 3月後半

[今日の絵] 3月後半 17 Vermeer : Lady with Her Maidservant Holding a Letter 1667 「手紙」は絵に多く描かれる主題、その理由は、手紙を読んだり書いたりする人の表情に独特なものがあり、そこに他者との関係が如実に顕れるからだろう、画家はその表情を…

今日のうた(143)  3月ぶん

[今日のうた] 3月ぶん 「樹木葬がいいわ」とママは助手席でパラソルチョコを剥きながら言う (芍薬「東京新聞歌壇」2月26日、東直子選、「埋葬方法を問題にする「ママ」は高齢なのだろう。樹木葬とパラソルチョコを剥くというカジュアルな行為との取り合わせ…

[今日の絵] 3月前半

[今日の絵] 3月前半 1 Boldini : The Laundry 1874 アイロンや乾燥まで含めて、「洗濯」は女性の労働の中で大きな比重を占めているので、19世紀後半以降、繰り返し描かれた、この絵は、主に上流階級の人々を描いたボルディーニには珍しい絵、しかしいかいに…

[演劇] 宮本研『ブルーストッキングの女たち』

[演劇] 宮本研『ブルーストッキングの女たち』 新国立劇場 3月1日 (写真↑は、終幕、左から、虐殺される直前の大杉栄[安森尚]、野枝[伊海実紗]と、甘粕憲兵大尉[宮津侑生]) 新国立劇場演劇研修所第16期生終了公演、俳優は22歳~25歳くらいが中心、とても瑞…

[オペラ] プッチーニ≪トゥーランドット≫ 二期会

[オペラ] プッチーニ≪トゥーランドット≫ 二期会 文化会館 2月26日 (写真↓は舞台、レーザー光線?が交錯する舞台が美しい、下の写真の中央の金色円形の中がトゥーランドット姫、その下がカラフ王子) ダニエル・クレーマー演出で、音楽は、アルファーノ版では…

今日のうた(142) 2月ぶん

[今日のうた] 2月ぶん 山眠る命あるもの眠らしめ (大谷和三「朝日俳壇」1月29日、大串章選、「「眠らしめ」が大らかで佳い。冬になるとさまざまな生き物が冬眠する」と選者評) 1 カーテンの波しずかなり冬日和 (山田知明「東京新聞俳壇」1月29日、石田郷子…

折々の言葉(7)  1、2月ぶん

[折々の言葉] 1月2月ぶん いつも自分たちのことしか考えていない二人か三人の恋人や友達のちっぽけな世界から、何か教わることがあるのかね? いえ、人類を愛することを教わります。大きな社会では人間を憎むことしか教わりませんから。(ルソー『新エロイー…

[今日の絵] 2月後半

[今日の絵] 2月後半 15 Rembrandt Peale : 自画像 1828 レンブラント・ピール1778–1860はアメリカの画家、ワシントンやジェファーソンの肖像画が有名、奇妙な名前だが、父が画家だったので子供をそう名付けた、子供も画家になったのだから、この名前は負担だ…

[文楽] 近松門左衛門『心中天網島』

[文楽] 近松門左衛門『心中天網島』 国立劇場 2月21日 (写真↓は「河庄の段」、小春[豊松清十郎]と孫右衛門[吉田玉也]) 『心中天網島』は2019年9月以来だが、あらためて超傑作なのだと感嘆した。前回あまり強い印象を受けなかった箇所が、今回は、よく理解で…

[オペラ] 三木稔≪源氏物語≫

[オペラ] 三木稔≪源氏物語≫ 渋谷オーチャド・ホール 2月19日 (写真↑は舞台、中央の舞の白装束は源氏、緑は頭中将) 三木稔作曲、2000年にセントルイス歌劇場で初演された英語版を日本語版にして上演した。田中祐子指揮、東フィル。歌手は藤原歌劇団が多い。…

[演劇] シェイクスピア『ジョン王』

[演劇] シェイクスピア『ジョン王』 埼玉会館 2月17日 (写真↑は、私生児フィリップ[小栗旬]とジョン王[吉田鋼太郎]、後方は貴族たち) 吉田鋼太郎演出。『ジョン王』はシェイクスピア劇でも特に不人気で、イギリスでもめったに上演されない。日本ではおそら…

[映画] 濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』

[映画] 濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』 DVD (写真は左から高槻[岡田将生]、家福[西島英俊]、みさき[三浦透子]) 村上春樹の原作「ドライブ・マイ・カー」は、文学としては二流の作品だが、それを、やはり村上春樹の「シェエラザード」と重ね、さらにチェー…

[演劇] 木ノ下歌舞伎『桜姫東文章』

[演劇] 木ノ下歌舞伎『桜姫東文章』 池袋あうるすぽっと 2月8日 (写真は舞台↓、全体が劇中劇のような廃屋仕立てで、不良っぽい今風の若者が素早く動き回るポップな感じは、悪くないのだが・・) 木ノ下歌舞伎が現代劇化した『心中天の網島』は、ものすごく感…

[今日の絵] 2月前半

[今日の絵] 2月前半 1 Lorenzo di Credi : Portrait of a Young Woman 1490–1500 ロレンツォ・ディ・クレディ1459~1537はイタリアの画家、ダヴィンチと影響を与え合った、彼の「カタリーナ・スフォルツァ」はダヴィンチの「モナリザ」にそっくり、この絵は…

[オペラ] K.プッツ ≪めぐりあう時間たち≫ Metライブ

[オペラ] ケヴィン・プッツ≪めぐりあう時間たち≫ Metライブ Movixさいたま 2月6日 (写真は↓、左から三人の女性たち、主婦ローラ、編集者クラリッサ、作家ヴァージニア・ウルフ、異なる時間に生きる彼女たちだが、舞台のうえでは「時間がめぐりあい」、それぞ…