2017-01-01から1年間の記事一覧

今日のうた80(12月)

[今日のうた] 12月ぶん (写真は坂口弘1946〜、逮捕の瞬間、連合赤軍事件で逮捕され、死刑判決を受ける、獄中でたくさんの短歌を詠み朝日歌壇に投稿) ・ ふくろふのふくらめばおほきさがよい (佐藤文香『君に目があり見平かれ』、梟だけではないのかもしれな…

J.ジャームッシュ『パターソン』

[映画] ジム・ジャームッシュ『パターソン』 渋谷/アップリンク(写真右は、ローラ[ゴルシフテ・ファラハニ]とパターソン[アダム・ドライバー]、二人は一緒に暮らしている恋人同士、パターソンは詩を読んでいる、美しい白黒のデザインはローラのもの、写真下…

穂村弘・藤田貴大他『マームと誰かさん』

[演劇] マームとジプシー/穂村弘/名久井直子『マームと誰かさん』 原宿・Vacant 12月21日 (写真右はポスター、下は、左から、穂村弘、藤田貴大、青柳いづみ、名久井直子、右手に椅子が並ぶ小さな部屋で、観客は100人弱?) 私は穂村弘の短歌が大好きで、彼…

M.ヘックマンス『山歩き』

[演劇] M.ヘックマンス作『山歩き』 赤坂エノキスタジオ 12月14日 (写真右はポスター、他の写真は、長田紫乃氏のブログより、下は、娘のパソコンにあった動画を観てショックを受ける親たち、子どもたちの王様ゲームで、息子がズボンを脱がされており、娘たち…

チェルフィッチュ『三月の5日間 レクリエーション版』

[演劇] チェルフィッチュ『三月の5日間 レクリエーション版』 横浜・KAAT(写真は、いずれも舞台より) チェルフィッチュ『三月の5日間 レクリエーション』をKAATで観た。2004年に初演したものを、少し修正したバージョン。手足を小刻みにゆさぶる身体表現に独…

NTL、イプセン『ヘッダ・ガーブレル』

[演劇] イプセン『ヘッダ・ガーブレル』NTライブ TOHOシネマズ日本橋 12月1日 (写真右は、ヘッダ(ルース・ウィルソン)を誘惑するブラック判事(レイフ・スポール)、ブラック判事にはきわめてセクシーな男優を使った、下は舞台写真、ぶち切れて花束を部屋中に…

今日のうた79(11月)

[今日のうた] 11月ぶん (写真は西行1118〜1190、『新古今集』には、もっとも多い94首が採られている。) ・ 秋の田の穂の上に霧(き)らふ朝霞いつへの方に我が恋ひやまむ (『万葉集』巻2、磐姫の歌とされるが、後世の作、磐姫は5世紀の仁徳天皇の妻とされる伝…

木ノ下歌舞伎『心中天の網島』

[演劇] 木ノ下歌舞伎『心中天の網島』 横浜にぎわい座のげシャーレ 11月15日 (写真右は、最後の心中直前の治兵衛(日高啓介)と小春(伊東茄那)、原作でも28歳と19歳の若者、写真下は舞台、大きな網目のような模様で、床も壁も統一したのがいい、「網島あみじま…

J.ハリソン『プライムたちの夜』

[演劇] ジョーダン・ハリソン『プライムたちの夜』 新国・小劇場 11月7日 (写真右は、主演の浅丘ルリ子(77歳)、気が強くプライドの高い老母をうまく演じている、下は舞台) いい劇だった。「人工知能は人を幸福にするか?」というのは、表層的な主題であって…

ヴァン・ホーヴェ演出『オセロー』

[演劇] シェイクスピア『オセロー』 池袋 東京芸術劇場・プレイハウス (写真右は、ポスター、残りの写真はアムステルダム上演のもの、下は、最後の場面、イアーゴに騙されたことが分かり、締め殺した妻デズデモーナの死体を抱いて泣くオセロ、アムステルダム…

今日のうた78(10月)

[今日のうた] 10月ぶん (写真は西東山鬼1900〜1962、歯科医をしながら、戦前は新興俳句運動に関わり、戦後も、やや前衛的なユニークな俳句を詠んだ) ・ ひと夜寝て女役者の肌にふれ巴里(パリイ)の秋の薔薇の香を嗅ぐ (九鬼周造「巴里心景」1925、パリ留学中…

V.ウルフ原作、演劇版『オーランドー』

[演劇] ヴァージニア・ウルフ原作、サラ・ルール台本『オーランドー』 新国立 10月27日 (写真右は、エリザベス一世(小日向文世)とオーランドー(田部未華子)、後の黒子たちは物語るコーラス、写真下は、オーランドーとロシアのサーシャ姫(小芝風花)、第一幕は…

文学座、別役実『鼻』

[演劇] 別役実『鼻』 文学座公演 紀伊國屋サザンシアター 10月26日 (写真右は、自称「将軍」の老人を演じる江守徹と、付き沿いの女を演じる栗田桃子、写真下は舞台) 別役実の劇は、『マッチ売りの少女』と『象』しか観ていないが、どちらも非常な傑作だった…

ジロドゥ『トロイ戦争は起こらない』

[演劇] ジロドゥ『トロイ戦争は起こらない』 新国立・中劇場 10月21日 (写真右はポスター、中央はヘクトルの鈴木亮平、後方はオデュッセウスの谷田歩、写真下は終幕近く、トロイ王宮に現れたオデュッセウス(後方)は、王プリアモス(中央)にヘレネを返すよう要…

NTL『お気に召すまま』

[演劇] NTライブ シェイクスピア『お気に召すまま』 TOHOシネマズ日本橋 10月17日 (写真右は、左がシーリア(パッツィー・フェラン)、右がロザリンド(ロザリー・クレイグ)、写真下は、シュールな「アーデンの森」、そして第一幕、レスリングの試合で勝ってし…

新国立劇場『神々の黄昏』

[オペラ] ワーグナー『神々の黄昏』 新国立劇場 10月14日 (写真右は、ブリュンヒルデ(P.ラング)とジークフリート(S.グールド)、二人の歌唱は本当に素晴らしかった、写真下は、終幕、ギービヒの館とヴァルハラ城に火を放つブリュンヒルデ、そして彼女は愛馬グ…

オペラ『Four Nights of Dream(漱石『夢十夜』より)』

[オペラ] 長田原『Four Nights of Dream(漱石『夢十夜』より)』 東京文化会館・小ホール 9月30日 (写真右はポスター、下は、原作の第十夜、左から、女、庄太郎、健さん、そして原作にはないナレーターの女) 在米の作曲家、長田原(おさだ・もと)が、漱石の『…

今日のうた77(9月)

[今日のうた] 9月ぶん (写真は川端茅舎1897〜1941、はじめ画家を志したが、病のため断念、俳句を虚子に師事した、鋭く繊細な感覚の句を詠む人) ・ うつくしき巴里(パリイ)女の手判断(てはんだん)つつむ戀にも言ひ及ぶかな (九鬼周造「巴里心景」1925、パリで…

チェホフ『ワーニャ伯父さん』

[演劇] チェホフ『ワーニャ伯父さん』 新国・小劇場 9月10日 (写真右はポスター、下は、左からエレーナ(宮沢りえ)、ワーニャ(段田安則)、ソーニャ(黒木華)、落ち着いた舞台装置と衣装、光と闇の配合、ギターの生演奏など、全体が美しい) ケラ演出は、長々し…

今日のうた76(8月)

[今日のうた] 8月ぶん (写真は坪野哲久1906〜88、妻の山田あきと長男と、1938年ごろか、アララギ派から出発しプロレタリア歌人となる、初歌集『九月一日』(1930)は発禁となり、戦前は何度か投獄された、戦後も一貫して人民短歌の立場にたち、「赤旗」短歌選…

オペラ『ミカド』

[オペラ] A.サリヴァン『ミカド(The Mikado)』 びわ湖ホール制作 新国立劇場 8月27日 (写真右は、中心キャラのひとつである三人娘、現代のキャピキャピした女子高校生という設定、写真下は、中央がミカド、とても楽しいキャラのミカドだ、終幕ではジョギング…

ヘルンドルフ原作『チック』

[演劇] ヘルンドルフ原作『チック』 シアタートラム 8月23日 (写真右は舞台、車で旅する二人の少年の前には、いろいろと不思議な人が現れる、写真下も同様、舞台横から同時にカメラでスクリーンに映すので、ファンタジックな雰囲気が倍加する) ドイツで今、…

ミューズよ![Jeanne Moreau追悼]

ミューズよ、戦さ(いくさ)を退け、友なる我らと踊れよかし! (アリストファネス『平和』)[Jeanne Moreau 1928-2017]

今日のうた75(7月)

[今日のうた] 7月ぶん (写真は哲学者の九鬼周造1888〜1941、九鬼はパリ留学中、たくさんの女性と恋をして、それを詠んだ短歌を匿名で詩歌誌『明星』に投稿した、帰国後、京大教授になって迎えた二度目の妻は祇園の芸妓、九鬼の人生は「いき」そのものであっ…

シュトラウス『ばらの騎士』

[オペラ] シュトラウス『ばらの騎士』 二期会 東京文化会館、7月30日 (写真右は、一緒に観た私の教え子たち。卒論に仕事に頑張っています。写真下は、終幕の三重唱と、第一幕の元帥夫人の部屋、あやしげな人達がたくさん出入りする) グラインドボーン音楽祭…

木下順二『子午線の祀り』

[演劇] 木下順二『子午線の祀り』 世田谷パブリックシアター 7月11日 (写真右は、舞いの中心に立つ平知盛(野村萬斎)、写真下は、最後の壇ノ浦の戦い、左端が知盛、右端は義経(成河)) この作品は初演(1979)以来、すでに7回も上演されているという。私は初見だ…

今日のうた74(6月)

[今日のうた] 6月1日〜30日ぶん (写真は西田幾多郎1870〜1945、詠んだ200首近い歌が『西田幾多郎歌集』(岩波文庫)に収められている、西田の歌は概して説明的で上手いとはいえないが、心情を詠んだ歌に味わい深いものがある) ・ 御手討(おてうち)の夫婦(めを…

青年団『さよならだけが人生か』

[演劇] 平田オリザ『さよならだけが人生か』 青年団 吉祥寺シアター 6月29日 (写真右は、舞台全景、かなり大きな住宅地造成の工事現場に作られた飯場(はんば)、たまたま遺跡が発見されたので工事が一時ストップし、考古学の調査に大学院生たちや、建設会社本…

チェルフィッチュ『部屋に流れる時間の旅』

[演劇] チェルフィッチュ『部屋に流れる時間の旅』 シアタートラム 6月22日 (写真右は、左から順に、新しい彼女ありさ[安藤真理]、夫かずき[吉田庸]、その妻ほのかの幽霊[青柳いづみ]、ゆっくりと点滅する小さな電燈の光が夢のように美しい、夫は、ずっと観…

新国立劇場『ジークフリート』

[オペラ] ワーグナー『ジークフリート』 新国立劇場 6月1日 (写真右は、終幕におけるブリュンヒルデ(R.メルベート)とジークフリート(S.グールド)、二人の絶唱は筆舌に尽くしがたい、下は舞台写真、色彩の美しさと光の調和が印象的) 一昨年から始まったゲッツ…