2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

永井愛『歌わせたい男たち』

[演劇] 永井愛 作・演出『歌わせたい男たち』 二兎社公演 ベニサン・ピット 永井愛は現代のアリストパネスだ。演劇の力と可能性をあらためて感じさせる傑作。彼女の作品は幾つも観たが、これは代表作の一つになるだろう。場面は東京のある都立高校。都教委に…

福井健策 『著作権とは何か』

[読書] 福井健策 『著作権とは何か ――文化と創造のゆくえ』(集英社新書、05年5月) (挿絵は、イギリスのアン女王(1665-1714)。著作権が最初に認められたのは「アン女王法」といわれる。p113) 小冊子ながら優れた本だ。本書は、著作権法の条文の解説ではなく、…

永井均『私・今・そして神』(11)

[ゼミナール] 永井均 『私・今・そして神』 (04年10月、講談社現代新書) (挿絵は、永井氏の本の冒頭にある「絵日記」。子供のとき永井氏が描いたものとされている。この「絵日記」の意味は、下記参照。) 本書の最後、p204−223へのコメント。本書を真剣に…

小林よしのり『靖国論』(14)

[読書] 小林よしのり『靖国論』(幻冬舎 05.8.1) (写真は、1945年1月、「軍人勅諭」を奉読する熊谷陸軍飛行学校の少年兵。同学校からは多数の特攻隊員が生まれた。天皇の名の下に戦い、死んだ少年兵たち。『戦争と子供たち④』日本図書センターより) 小林よし…

小林よしのり『靖国論』(13)

[読書] 小林よしのり『靖国論』(幻冬舎 05.8.1) (写真は、「昭和天皇独白録」を製作した中心人物である、寺崎英成。その下は「独白録」原本。右は、1996年にアメリカで発見された、英語版「独白録」。東野真『昭和天皇二つの独白録』NHK出版、1998より) …

小林よしのり『靖国論』(12)

[読書] 小林よしのり『靖国論』(幻冬舎 05.8.1) (写真は、1945年9月27日、米国大使館にマッカーサーを訪問した昭和天皇。腰に両手を回したマッカーサーと、直立不動に近い天皇の姿勢は、日本人に衝撃を与えた。) 小林氏の『靖国論』は、『戦争論』3巻からの…

芸大オペラ『皇帝ティート』

[オペラ] モーツァルト「皇帝ティートの慈悲」 芸大オペラ第51回公演 東京芸大・奏楽堂 [挿絵は、14歳のモーツァルト。1770年、ヴェローナ。Saverio Della Rosaによる。] モーツァルトの死の年、『魔笛』作曲中に大急ぎで作ったいわくつきの作品。ボヘミヤ王…

シェ・シアター『十二夜』

[演劇] シェイクスピア・シアター公演『十二夜』 出口典雄演出 俳優座劇場 [挿絵は、カナダの絵本『十二夜』。8歳の女の子が描いた絵。オリヴィアを中心に、片思いの三角形が良く分る。ヴァイオラ(セザーリオ)は右下。Twelfth Night for Kids, 1994 より。今…

永井均『私・今・そして神』(10)

[ゼミナール] 永井均 『私・今・そして神』(04年10月、講談社現代新書) (写真は、「瞑想する修道士」1650年頃、フランスの画家? パリ、Collection Galerie Jean-Marie Le Fell蔵) 非常勤の大学院の演習、後期が今日から再開。院生の皆さんと久しぶりに会う…

小林よしのり『靖国論』(11)

[読書] 小林よしのり『靖国論』(幻冬舎 05.8.1) (写真は、ピカソの「虚栄」1946。ピカソ美術館蔵。彼は戦後、戦争をテーマにした絵を何枚も描いている。) 小林よしのり氏は、サンフランシスコ講和条約第11条は、日本の戦争責任を認めたものでもないし、東京…