2016-01-01から1年間の記事一覧
[今日のうた] 12月1日〜31日 (写真は前田夕暮1883 〜1951、若山牧水や北原白秋と親しかった歌人、自然主義から出発したが、昭和初期には自由律短歌運動の先頭に立ったこともある) ・ 君ねむるあはれ女の魂のなげいだされしうつくしさかな (前田夕暮『収穫』1…
[美術館] 篠山紀信ヌード写真展「快楽の館」 品川・原美術館 原美術館で、篠山紀信ヌード写真展「快楽の館」を観た。すべて原美術館という「館」の一部になった身体の写真。光の当て方(方向、強さ、翳の濃淡、環境への身体の置き方など)が工夫されていて、…
[演劇] イプセン『ヘッダ・ガブラー』マジャール劇場公演 12月11日シアタートラム (写真右は、ブラック判事と主人公ヘッダ、写真下はヘッダと夫のテスマン、そしてヘッダの元カレであるレェーヴボルグとその恋人テア、テアはヘッダの学校の後輩、テスマン以…
[オペラ] デフォート作『眠れる美女』 12月10日 東京文化会館 (写真右はポスター、下は舞台より、老人役の長塚京三と女将役の原田美枝子) ベルギーの作曲家クリス・デフォートと台本・演出ギー・カシアスの共作で、2009年初演のオペラ『眠れる美女』を観た。…
[演劇] 二つの劇団によるイプセン『人民の敵』 12月3日シアターΧ、7日シアタートラム (写真右は、雷ストレンジャーズの上演、ストックマン博士を演じる寺十吾、下の写真は劇団tgSTANの舞台、2014年9月オスロ公演のもの、今回と配役は同じ、右端がストックマ…
[今日のうた]11月1日〜30日 (写真は藤原良経1169〜1206、感覚的にシャープな歌を詠んだ人で、『新古今集』の入選歌は79首、西行の94首、慈円の92首に次いで多い) ・ おしなべて思ひしことのかずかずになほ色まさる秋の夕暮 (藤原良経『新古今』巻4、「それに…
[オペラ] ウィーン国立歌劇場『ワルキューレ』 東京文化会館 2016.11.9 (写真右は、ワルキューレたち、下は、第1幕、フンディングの家のジークリンデとジークムント、そして第2幕、二人を残して去るブリュンヒルデ) 3時開演の直前、トランプ当選の報を聞いた…
[演劇] チェホフ『かもめ』 熊林弘高演出 東京芸術劇場 2016.11.6 (写真右は、ニーナ(満島ひかり)とコースチャ(坂口健太郎)、下はアルカージナ(佐藤オリエ)とトリゴーリン(田中圭)、そしてポスター) 私はこれまで『かもめ』の実演は、蜷川幸雄、岩松了、マキ…
(写真は永井陽子1951〜2000、短大卒業後、図書館に勤務しながら短歌を詠み続けた、1995年に愛知文教女子短大助教授、2000年死去、その歌には、生きる寂しさと孤独を詠んだものが多い) ・木犀の香を距(へだ)たれる木に求む (山口誓子『激浪』1944、モクセイの…
[オペラ] ゲッツ・フリードリヒ演出『ワルキューレ』 新国立劇場・ 2016.10.15 (写真右は、終幕、愛娘ブリュンヒルデを火の防護の中で眠らせるヴォータン、下は、第1幕(右下にいるのがジークリンデ)と第3幕(ヴォータンからブリュンヒルデを守る妹ワルキュー…
(写真は石田波郷1913〜69、水原秋桜子に師事したが、のち俳誌「鶴」を創刊・主催、独特の美しい句を詠んだ、俳句の切れ字を重視) ・ 夕立の一粒源氏物語 (佐藤文香2002、作者1985〜は高校2年生、俳句甲子園で最優秀賞に選ばれた句、「作者は源氏物語を読ん…
[オペラ] ヴィリー・デッカー演出『トリスタンとイゾルデ』 二期会公演 東京文化会館 2016.9.11 (写真右は、第二幕より、トリスタンの福井敬とイゾルデの池田香織、第二幕は陸上だが小舟に乗っている、この小舟と二本の櫂は全幕を通じて登場し、二人の愛の世…
(写真は黛まどか1962〜、1994年に句集『B面の夏』でデビュー) ・ 別のこと考へてゐる遠花火 (黛まどか『B面の夏』1994、遠くに花火を見ながら、横にいる大好きな彼氏とのいろいろなこと(たとえば花火終了後のこと等)を想像しているのか、それとも、横にいる…
[展覧会] 古代ギリシャ特別展 国立博物館 2016年8月30日 (写真右は、アルテミス、下は、アレクサンダー大王頭部と、競技者) 古代ギリシア関係の展覧会に行くのは久しぶりで、ゆっくりと鑑賞、堪能することができた。古代ギリシア人は、人間の肉体を(恥ずかし…
[読書] 河野裕子歌集『あなた』 岩波書店、8月4日刊 6年前の8月、ガンで亡くなった河野裕子の歌集、『あなた』が出たので読みました。夫や子供が選歌している、つまり、彼女の相聞の当事者たちが選んだ歌なのです。新たに書かれた家族による想い出がとてもい…
[演劇] ジョン・バートン編『グリークス』 (サイスタジオ大山) 2016年7月31日公演 (右はポスター、劇団昴公演、台本翻訳は吉田美枝、演出は文学座の上村聡史1979〜) RSCの演出家として名高いジョン・バートンが、ギリシア悲劇を10本の劇に再構成したもの。私…
[今日のうた] 7月1日〜31日 (写真は飯田龍太1920~2007、飯田蛇笏の四男、父の跡を継いで俳誌『雲母』を主宰、格調の高い句を詠む) ・ 抱く吾子(あこ)も梅雨の重みといふべしや (飯田龍太1951、梅雨の頃だろう、生まれたばかりの女の赤ちゃんを抱いている30歳…
[読書] 内田樹 :『困難な結婚』 (7月4日刊) 久しぶりに、内田樹氏の本を読みました。面白かったのですが、結婚についての歴史的、社会学的考察がやや不足しているので、「結婚はした方がいいよ」というたんなるお説教に終わっているのが残念です。下記に簡…
[演劇] 平田オリザ『ニッポン・サポート・センター』 吉祥寺シアター (写真右はポスター、スタッフが一緒に風呂に入っているのは「親密圏」のパロディーだろう、写真下は、左側の女性がセンターの所長、右側の二人は民間ボランティアのスタッフ、そして下の…
[オペラ] 團伊玖磨「夕鶴」 新国立劇場・大ホール (写真右は、つうを歌う澤畑恵美、下は、機織り部屋前のつうと与ひょう(小原啓楼)、そして子供たち、舞台はシンプルで美しい) 『夕鶴』は山本安英が演じる演劇版を、中学生の頃に見た記憶があるが、オペラ版…
[今日のうた] 6月 (写真は佐藤文香1985〜、早稲田大学俳句研究会出身、句集『君に目があり見開かれ』2014などがあり、若々しい感覚の句を詠む人) ・ 柚子の花君に目があり見開かれ (佐藤文香『君に目があり見開かれ』2014、恋の句だろう、季語としてはユズの…
[ミュージカル] わらび座「げんない」 有楽町・国際フォーラムC (写真右はポスター、下は、平賀源内が長崎のオランダ人から買ったと言われる軽気球、そして舞台より[右端が源内]) わらび座は、日本のオリジナルミュージカルを創作上演する劇団。私が見るのは…
[映画] パヴェウ・パヴリコフスキ『イーダ』(2013、ポーランド)。 DVDですが、素晴らしい映画だったので、感想を。 ロベール・ブレッソンの映画がそうであったように、本作も、科白が極端に少なく、映像そのものによって表現するという、映画の王道をゆく作…
[オペラ] MET シュトラウス『エレクトラ』 2016.6.5 銀座の東劇 (写真右は舞台全景[ただしこれのみは2014年スカラ座]、写真下はすべて今回のもの、エレクトラを歌うニーナ・ステンメとクリュタイメストラを歌うヴァルトラウト・マイヤー) 初めてMETライブ・…
[演劇] 木ノ下歌舞伎『義経千本桜 ― 渡海屋・大物浦』 2016.6.4 池袋・東京芸術劇場シアター・イースト(写真右はポスター、下は女官と安徳天皇(右)、その下は平知盛) 木ノ下歌舞伎を見るのは初めてだが、とても面白かった。江戸時代の歌舞伎原作を現代のコン…
[今日のうた] 5月1日〜31日 (挿絵は[上畳本三十六歌仙絵]、大伴家持718頃〜785、『万葉集』の編者、収録歌は『万葉集』の1割を超えている、優美な歌を詠んだ歌人で、茂吉などはあまり評価しなかった) ・ 藤波(ふぢなみ)の影なす海の底清み沈着(しづ)く石をも…
[演劇] カンバーバッチ主演『ハムレット』(映画版) 2016.5.25 シネリーブル池袋 (写真右はハムレットを演じるカンバーバッチ、下はオーフィーリア、ガートルード、ホレーシオ、レアティーズ[左]) 昨年、ロンドンのバービカン劇場で上演されたリンゼイ・タ…
[演劇] 蓬莱竜太作・演出『嗚呼いま、だから愛。』 池袋・シアターイースト 2016.5.1 (写真右はポスター、下は舞台、美人の姉(中央)に惹かれる夫(左)に、妹である妻の多喜子は嫉妬する(奥)) モダンスイマーズは男5人女1人の小さな劇団。蓬莱竜太作・演出に…
[今日のうた] 4月1日〜30日 (写真は加藤楸邨1905〜93、はじめは水原秋櫻子に師事、のち俳誌『寒雷』を主宰、朝日俳壇選者、「人間探究派」と呼ばれた) ・ 咲き満ちてこぼるゝ花もなかりけり (虚子、1928年4月、鎌倉・妙本寺での句会の折に詠んだもの、満開に…
[オペラ] ジョルダーノ『アンドレア・シェニエ』 新国立劇場 2016.4.17 (写真右は、終幕の場面、白が美しい舞台、建物などの「斜め」の角度はギロチンの刃を象徴している、写真下は、詩人シェニエと伯爵令嬢マッダレーナ、そしてジャコバン派革命政府による…