[演劇] アリストファネス (ペーター・ハックス翻案)『平和』 うずめ劇場 シアターX 10.19 (写真↑、左上から時計回りに、トリュガイオス、ヘルメス、コロスのリーダー?、そして右の腹の大きい人物が聖職者ヒエロクレス) アリストファネスの原作を、ブレヒト…
[今日の絵] 10月前半 1 島村信之 : アトリエ・春1993 ホキ美術館展で、島村信之1965-2024が昨年亡くなったのを知った。今月の前半は、追悼を込めて、彼の絵を鑑賞したい。これは島村27歳の作品、モデルはたぶん2年前に結婚した妻、色彩も豊かで、<白>を基…
[今日のうた] 9月 素見物(すけんぶつ)見て居る顔をあげられる (『誹風柳多留』、「素見物」とは、吉原など遊郭で、並ぶ遊女を見るだけの客。「あの娘、いい女だなあ」とうっとり眺めていたら、さっそく別の客に指名されてしまった。あるべくしてあることだろ…
[今日の絵] 9月後半 16 Kristian Zahrtmann : ユバルとその家族 今日から「音楽」の絵。旧約『創世記』に登場する「ユバル」は音楽の発明者とされている人物。音楽には、弾く、歌う/聴く(さらには踊る)という人と人との関係が含まれ、人と人とのよい関係性…
[オペラ] R.シュトラウス《サロメ》Metライブ 東劇 9.24 クラウス・グート演出、2025.5.17 Met上演。グート演出は、通常の《サロメ》とは違い、王女サロメの少女性を徹底的に前景化する面白いものだった。サロメは成熟した女性というよりは、いつまでも少女…
[オペラ] ショスタコーヴィッチ《鼻》Metライブ 東劇 9.16 2013.10.26のMet上演。W.ケントリッジ演出、P.スメルコフ指揮 (写真上↑)原作のゴーゴリ『鼻』1836は、下級官吏の八等官コワリョフがある朝起きてみると、鼻がなくなっており、新聞広告を出してそれ…
[オペラ] プッチーニ《蝶々夫人》ロバート・ウィルソン演出 パリオペラ座イン・シネマ 東宝シネマズ日本橋 9.13 (写真↓は、舞台、左側はピンカートン、そしてエレオノーラ・ブラット演じる蝶々夫人) 2024年9月30日 パリ・オペラ座上演の映画版。前衛演出家ウ…
[今日の絵] 9月前半 1 François Boucher : La Petite Laitière 1769 タイトルは「ミルク運びの少女」。今日から「立ち姿」を見てゆく。重いものを運んでいる時、身体の各部分に重力の複雑な均衡が割り当てられるが、そうでない時でも、身体は自分の各部分と…
[オペラ] モーツァルト《魔笛》Metライブ、東劇 9.8 (↓キャラクターの「鳥」性を強調した演出。パパゲーナも「鳥」) 2017年10月14日のMet上演の映像、ジェイムズ・レヴァイン指揮。《魔笛》なのだから、音楽も歌手も申し分ないが、演出家ジュリー・ティモア…
[オペラ] ワーグナー《ワルキューレ》 ROHライブ 東宝シネマズ日本橋 9.5 (↓ワルキューレたち、後方の焼け焦げたトネリコの樹、下に並んでいる戦士たちの遺体は焼け焦げたトネリコの枝。写真下はジークリンデの家に来たジークムント、焼け焦げたトネリコの木…
[オペラ] モーツアルト《コジ・ファン・トゥッテ》 Metライブ 東劇 9.2 (写真↓は、ドラベッラ(イザベル・レナード)とフィオルディリージ(スザンナ・フィリップス)) 2014年4月26日のMet上演。指揮ジェイムズ・レヴァイン、演出レスリー・ケーニッヒ。場所は「…
[オペラ] モーツァルト《フィガロの結婚》 Metライブ 東劇 8.26 [写真↓は舞台。フィガロを黒人の男性歌手(マイケル・スムエル)にしたのが珍しい] 2025.4.26 Met上演、リチャード・エア演出、指揮は女性のヨアナ・マルヴィッツ。私は、《フィガロ》は実演だけ…
[今日の絵] 8月後半 17 十八世紀の舞踏会の様子を描いた石版画 今日から、ヨーロッパ絵画でたくさん描かれた「社交」が主題。「社交」=societyは、集団お見合いのような場でもある。ジェイン・オースティン『高慢と偏見』からも分るように、ヨーロッパは社…
[今日のうた] 8月 かりそめの恋のごと夕菅(ゆうすげ)の色 (津久井延子「朝日俳壇」8.3 小林貴子選、淡い黄色のユウスゲの花は、夕べに開いて朝方にしぼむ、その色の淡さといい、開花時間の短さといい、切ない恋のよう) 8.4 卦体糞通じぬ部下と飲むビール (近…
[オペラ] 細川俊夫・多和田葉子《ナターシャ》 新国立劇場 8.13 (写真↑は舞台) 二人の男女がナターシャとアラト。ひょっとして人類終焉時のアダムとイブなのか。しかしアラトはメゾソプラノ(山下裕賀)が歌うから、男性というより中性的。細川のオペラ《松風…
[今日の絵] 8月前半 8.1 Alfred Emile Stevens : The Milky Way 1885 タイトルは「天の川」、月明かりもあり、北欧の夏の海は明るい、スティーブンス1823-1906はベルギーの画家 2 Will Ashton : Evening Along the Seine タイトルは「セーヌ川川辺の夕べ」…
[今日の絵] 7月後半 19 Ippolito Caffi : The solar eclipse in Venice on July 8, 1842 転居後、ネット環境も再構築できたので、今日から「今日の絵」を再開します。梅雨も明けたので、テーマは「夏」。俳句に季語があるように、絵画も暗黙裡に季節がありま…
[今日の絵] 6月後半 16 van Eyck : The Virgin Reading 15Ce 今日から「読書」。読書とは他者の言葉に耳を傾けることであり、他者と自分のコンテクストを共有することでもある。だから特有の表情や姿勢になる。この「読書する聖母」は彼女の知性が強調されて…
[今日のうた] 6月 契りしを違(たが)ふべしやはいつくしき疎忌(あらいみ)真忌(まいみ)きよまはるとも (和泉式部の恋人『家集』、「和泉が、「今は身を清めていなければならないのよ」と、やって来た恋人を追い返したら、翌朝「精進潔斎の最中だからって、約束…
[今日の絵] 6月前半 1 Francesco Bergamini : Vida de Pueblo 今日からは裏町の光景。裏町は生活感に溢れている。この絵のタイトルは「村(町)の生活」、どこの国か分からないが、大都市ではなく田舎の小さな町だろう、人々は貧しそうだが、明るい活気を感じ…
[演劇] 岸田理生 『リア』劇団うつり座 上野ストアハウス 6.1 岸田理生1974-2003は初見だが、『リア』はユニークな作品だと思う。シェイクスピア『リア王』の、長女ゴネリルが父リアを激しく憎むという、その一点だけを借用して主題にしており、娘が父を倒し…
[今日のうた] 5月 母のこと「オーイ」と呼ぶな名を呼べと彼氏のできた娘の小言 (重親峡人「読売歌壇」4.28 栗木京子選、「交際中の相手と父親をつい比べてしまう娘。もし自分が「オーイ」と呼ばれたら嫌だ、と気付いたのだ。一方、作者のほうは小言をもらっ…
[今日の絵・5月後半] 16 Flemish School : The Mater Dolorosa 16世紀頃のベルギー、フランドル派の画家による「悲しみの聖母」、神話に託しているが、画家はこの美女を描きたかったのだろう、顔は悲しんでいる感じでもない 17 Tiziano : Woman with a mirro…
[今日の絵] 5月前半 1 Renoir : The Café 1874 カフェは酒を飲むからだろうか、人間くさい場所だ、教会と違って超越界と繋がっていない、ヨーロッパがカップル文化であることもよく分かる、そして何よりもカフェでは人間の欲望がよく見える 2 マネ:カフェに…
[演劇] 藤田貴大・マームとジプシー「Curain Call」新宿 LUMINE0 5.9 (写真↑は舞台、上演を前に俳優が練習をしている、後方は衣装部屋。畑めろんた氏のXから借用) 「マームとジプシー」は久しぶりだが、本作は、きわめて前衛的な作品で、とても面白かった。…
[折々のモーツァルト] 3.4月ぶん 3.1 《フィガロ》「そよ風の二重唱」ルチア・ポップのスザンナとヤノヴィッツの伯爵夫人、1980年、パリ・オペラ座、ストレーレル演出の伝説的名演 https://www.youtube.com/watch?v=wd5nFd3utLg 8《後宮からの誘拐》モーツア…
「今日のうた」 4月 花に舞ハで帰(かへる)さにくし白拍子 (蕪村、「あっ、花見客の中に、あの白拍子の女性がいる、彼女は今日はあくまで花を観賞する客だから、周囲の人に媚びもせず、舞を舞うこともせず、さっと立って帰ってしまった、にくいほど凛として素…
[美術展] 原美術館ARC 伊香保 4.28 久しぶりに伊香保の原美術館ARCに。八重桜と新緑とタンポポが美しく、ジャネット・カーディフ「40声のモテット」が素晴らしかった。40個のスピーカーから、5声からなる8つの合唱団の声が聞こえる。自分が、アインシュタ…
[今日の絵] 4月後半 15 Jules Trayer : Un Umbral Soleado 1875 今日からは「子ども」それも「兄弟姉妹」の絵、昔は兄妹の数が多いから上の子が下の子の面倒をみる等、今とはやや兄妹関係が違う。この絵のタイトルは「晴れの敷居」、若い母か年長の姉、トレ…
[能] 『定家』 渋谷・セルリアンタワー能楽堂 4.26 (絵↓は、『能楽図帖』「定家」より、墓の中にいる式子内親王、上に絡み付いている植物が蔦蔓で、定家の妄執を示す。昔の上演舞台の絵) 『定家』は世阿弥の娘婿・金春禅竹の作。今回のシテ=式子内親王は友…