[演劇] テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』 ヴァン・ホーヴェ演出

[演劇] テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』 ヴァン・ホーヴェ演出 新国 9月28日 (写真↓はアマンダ[イザベル・ユペール]とローラ[ジュスティーヌ・バシュレ]、そしてトム[アントワーヌ・レナール]、ローラはトムの姉だが妹のように可愛い) 『ガラスの…

今日のうた(137) 9月ぶん

今日のうた(137) 9月ぶん 粧はぬ清き匂ひのかすかにて相病む夜毎メルヘンに寄る (相良宏『相良宏歌集』1956、相良宏1925~55は若くして結核で死去、短歌仲間の福田節子という若い女性もおそらく同じ療養所に入院して亡くなった、思いは告げなかったが彼は彼…

[今日の絵] 9月後半

[今日の絵] 9月後半 16 Dürer : 13歳の自画像1484 当時、自分一人を描く「自画像」は非常に珍しかった中で、堂々と自分だけを描いたのがデューラーと言われる、彼は28歳の時自分をキリストになぞらえた自画像を描いているが、これはそれより15年前、それにし…

[演劇] シェイクスピア『ヘンリー八世』 さいたま芸術劇場 9月21日

[演劇] シェイクスピア『ヘンリー八世』 吉田鋼太郎演出 さいたま芸術劇場 9月21日 (写真↓は終幕、右側の新王妃アン・ブリン[山谷花純]が抱いている赤ん坊が後のエリザベス一世、中央がヘンリー八世[阿部寛]) シェイクスピア最後の作品で(1613年初演)、戯曲…

[今日の絵] 9月前半

[今日の絵] 9月前半 1ヒエロニムス・ボス : 卵のコンサート1475-1480 今日からは「音楽」、絵は音を出さないが、音楽は絵に描かれる、音楽は最初は神話や宗教と結びついていたのか、この絵も悪魔など聖書の寓話性を感じさせる、ボス1450頃~1516は初期フラン…

[演劇] デュレンマット『加担者』

[演劇] デュレンマット『加担者』 下北沢・駅前劇場 9月2日 (写真↓は舞台、倉庫の地下5階で、死体を溶解して下水に流す作業が行われている、事実上の主人公の3人は、左から、(マフィアの)「ボス」、警察幹部の「コップ」、生物学者の「ドク」(=ドクター…

[演劇] マゾッホ原作『毛皮のヴィーナス』

[演劇] マゾッホ原作『毛皮のヴィーナス』 シアター・トラム 8月31日 (写真↓は終幕、ワンダ(高岡早紀)とゼヴェーリン(溝端淳平)) マゾッホ原作の小説を、アメリカのD.アイヴズ1950~が演劇化2011したもの。性倒錯を表わすとされる「マゾ」や「サド」の名称は…

[今日の絵] 8月後半

[今日の絵] 8月後半 20 フランツ・ヴィンターハルター : 大公女オリガ・ニコラエヴナ1856 今日からは「花と女性」、女性の肖像画には花も描かれていることが多い、互いに引き立てあうのか、この絵ではバラが手前に突き出すように保たれている、モデルは皇帝…

今日のうた(136)  8月ぶん

今日のうた(136) 8月ぶん みんな詩を書くのがすきでわがままでみんな蛍を見たことがない (湯島はじめ「東京新聞歌壇」7月31日、東直子選、小学生だろうか、誰も蛍を見たことがないけれど、「蛍」の詩をじゃんじゃん書いている、ちっとも悪いことじゃない、江…

折々の言葉(4)  7,8月ぶん

折々の言葉(4) 7,8月ぶん 愛はとどまろうとする時、錆びた一本の釘に変る。(野田秀樹『パンドラの鐘』) 7.11 スパルタにおいては、犯罪が罰せられるのではなく、不手際が罰せられる (ルソー『新エロイーズ』) 15 男の人に「愛してる」なんて言われるより、私…

[今日の絵] 8月前半

[今日の絵] 8月前半 1 de Vinci : Portrait of Ginevra de' Benci 1474 ジネーヴラ・デ・ベンチはフィレンツェの貴族で、有名な美女だった、彼女の16歳の時の結婚を記念して描かれたと言われている、ダ・ヴィンチの描く人物はとても美しいが、どこか冷たさの…

[今日の絵] 7月

[今日の絵] 7月 11 Velázquez : 侍女たち 1656 フーコー『言葉と物』によれば、これはルネサンス期から古典主義時代への移行を示す画期的な絵。本来くっきりと描かなければならないモデルの国王夫妻は、中央の鏡の中にぼんやりと描かれ、存在感がなく、まっ…

今日のうた(135) 7月ぶん

今日のうた(135) 7月ぶん 炎帝や宇宙由来の吾のゐる (加藤草児「朝日俳壇」7月10日、小林貴子選、「リュウグウの砂からアミノ酸が見つかった。我々地球の生命も宇宙から来たのか」と選者評。夏の太陽の輝きと、ハヤブサ2が持ち帰った小惑星リュウグウのアミ…

[今日の絵] 6月後半

[今日の絵] 6月後半 15 Modigliani : Madame Georges van Muyden, 1917 「ジョルジュ・ヴァン・ミュイデン夫人」はモディリアーニの知人なのか、彼の描く女性の美しさは、ある種のきわだった簡潔さに由来するのかもしれない、シンプルな顔、二次元平面的なド…

今日のうた(134) 6月ぶん

今日のうた(134) 6月ぶん 衣更(ころもがえ)駅白波となりにけり (綾部仁喜、6月1日は「衣更え」、女子高校生の紺色の制服が、夏の白色の上衣に変る、一人だとどうということもないけれど、駅のホームに大勢いると、「駅白波になりにけり」) 1 生きかはり死に…

折々の言葉(3)  5,6月ぶん

折々の言葉 5月 他のどんな人が取り組んでも、それを始めた当人ほどにはうまく完成されないような仕事がこの世にある。(デカルト『方法序説』) 2 歩いて旅をすること、それはタレス、プラトン、ピタゴラスのように旅をすること。哲学者たる者がどうして他の…

[演劇] 野田秀樹『パンドラの鐘』 杉原邦生演出

[演劇] 野田秀樹『パンドラの鐘』 杉原邦生演出 コクーン 6月24日 (写真は↓終幕近く、パンドラの鐘の下に立つミズオ(成田凌)とヒメ女(葵わかな)、この直後、ヒメ女は自らの意志で鐘の中に閉じ込められ、死ぬ) 1999年に世田谷パブリックシアターで、野田秀樹…

[演劇] 宮本研『美しきものの伝説』

[演劇] 宮本研『美しきものの伝説』 俳優座劇場 6月17日 (写真↑は、左から堺利彦、伊藤野枝、荒畑寒村) 実演を観るのは、この鵜山仁演出が二度目。。今回は科白をじっくり味わうことができた。終幕直前の大杉栄の言葉が素晴らしい。「花で飾った一本の杭を立…

[今日の絵] 6月前半

[今日の絵] 6月前半 1 Anthony van Dyck : Self-Portrait, ca.1620 ヴァン・ダイク1599~1641はバロック期のフランドルの画家、1620年にイギリスに滞在しジェームズⅠ世を描くなど宮廷画家として卓越していた、この瑞々しい自画像もその頃だが、彼はまだ20~2…

[演劇] デュレンマット『貴婦人の来訪』 

[演劇] デュレンマット『貴婦人の来訪』 新国立劇場 6月1日 (写真↓は、主人公の二人、クレールを演じた秋山菜津子と、イルを演じた相島一之、ともに素晴らしい名演) デュレンマットの原作の重要場面を、音楽を加味するなどメリハリを付けて前景化し、全体と…

能『道成寺』 友枝雄人

能『道成寺』 友枝雄人 国立能楽堂 5月29日 『道成寺』を実演で見るのは初めてだが、衝撃的な体験だった。<能>という芸術は、結局、<舞い>という身体表現を核に成り立っていることがよく分かった。特に今回は、上演前の能学者によるレクチャーが充実して…

今日のうた(133) 5月ぶん

今日のうた(133) 5月ぶん てのひらは扉をひらき出入りするたびに違った表情をもつ (尾崎まゆみ『女性とジェンダーと短歌』2022、上司の部屋の「扉」なのか、それとも自宅の「扉」なのか、普通は自分の「てのひら」には注意しないが、たしかに「扉をひらく」…

[今日の絵] 5月後半

[今日の絵] 5月後半 17 野田弘志:聖なるもの THE-1, 2009 「本来の僕の絵は、全部「存在論」です。だから存在するとはどういうことかを中心に考えて描いているわけで・・・、人が生まれて生きて死んでいく、それを美しいと思って見つめているわけです」(自註…

[今日の絵] 5月前半

[今日の絵] 5月前半 1 Caravaggio : トランプ詐欺師 1594 「トランプ」は西洋絵画でたくさん描かれている主題、ゲームを楽しむだけではなく、占い、賭けなどもある、カラヴァッジオのこの絵では、右側の男が詐欺師らしいが、中央の男も仲間かもしれない 2 Ja…

[今日の絵] 4月後半

[今日の絵] 4月後半 21 Mosaic detailing a Roman slave (ルーブル美術館) 人間を描いた絵の中でも、「労働」や「働く姿」は、描くに値する重要な主題だ、近代以降の絵に多いが、しかし古い絵にももちろんある、これはローマの奴隷、モザイクの大きな絵の一…

今日のうた(132) 4月ぶん

今日のうた(132) 4月ぶん 春の花の色によそへし面影のむなしき波のしたにくちぬる (建礼門院右京大夫、「春の桜の色のように美しかった平維盛さまは、ああ、熊野灘の海底で朽ちておしまいになった」、作者と親交のあった平氏の貴公子、平維盛は、一ノ谷の戦…

折々の言葉(2) 3,4月ぶん

折々の言葉(2) 3,4月ぶん 生きることの目的は、生きることそれ自体にあります。(ゲーテ「J.H.マイヤー宛書簡」) 3.4 生きているということは誰かに借りをつくること、生きてゆくということはその借りを返してゆくこと。(永六輔) 3.7 風立ちぬ、いざ生きめ…

[オペラ] R.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》

[オペラ] R.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》Metライブ Movixさいたま (写真上↓は本幕の舞台、視覚的に美しく、三人の妖精が中空から歌うのはとてもよかった、下の写真は序幕、ギリシア悲劇由来のオペラとイタリア喜劇を同時に混ぜてやれという伯爵命…

[今日の絵] 4月前半

[今日の絵] 4月前半 1 カリアティードの乙女 アクロポリス神殿 「カリアティードCaryatid」とは建築の支えとなる柱の彫刻のこと、頭にはバスケットがあり、アテナやアルテミスの神聖な饗宴に供するものを容れたとされる、カリアティードはやはり、アクロポリ…

今日のうた(131)  3月ぶん

今日のうた(131) 3月ぶん 少し狂って少し毀れてラジオ体操 (加藤久子『矩形の沼』、音楽+掛け声とともに行われるラジオ体操には、どこか不自然な感じがある、教師と大勢の者との「教練」関係が含まれるからだろう、このようにラジオ体操への批判的な視点は…