[私の百人一首] その2

[私の百人一首] その2 34 楽しみは妻子(めこ)睦まじくうちつどひ頭(かしら)並べてものを食ふ時 (橘曙覧(あけみ)「独楽吟」、作者1812-68は幕末の歌人、国学者、平易な歌を詠んだ、この歌も家族愛がほほえましい) 35 君とわがたゞ身二つのかくれ里かくれはつ…

[哲学] 植村恒一郎:「人生よ、自由な遊びであれ ― 『ラモーの甥』から『推し、燃ゆ』まで」

[哲学] 植村恒一郎:「人生よ、自由な遊びであれ ― 『ラモーの甥』から『推し、燃ゆ』まで」 (『ひとおもい』第5号、2023年7月) 序 ディドロ『ラモーの甥』は、彼の死後、たまたま原稿を読んだゲーテが感動し、自分でドイツ語に訳して出版したことによって日…

[折々の写真] 1、2月

[折々の写真] 1、2月 1.3 カトリーヌ・ドヌーブ1943~、『シェルブールの雨傘』1964 ドヌーブは、本作とトリュフォー『終電車』1980が、代表作と思われるが、顔の美しさもさることながら、全身に溢れるエレガンスこそ彼女の魅力、4分間の動画 「シェルブール…

[折々の言葉] 1、2月ぶん

[折々の言葉] 1、2月ぶん 哲学(=知を愛すること)は、その名前を、一方では、愛から、つまりあまねき恍惚という原理から、他方では、その本来の目的である根源的な知から、得ている。(シェリング『自由論』) 1.1 愛というのは単純に肯定し合うことではなく、…

[今日の絵] 2月後半

[今日の絵] 2月後半 16 ラファエロ : 聖家族1506 「聖家族」は西洋絵画の長く続く深い主題、聖母マリアと幼子のイエスは、母が子を生み人類は続いてゆくことを象徴するか、父のヨセフはいることもあり、いないこともあり、子どもの洗礼者ヨハネがいることも…

[哲学] 谷口一平:「マイナス内包」としての性自認の構成

[哲学] 谷口一平:「マイナス内包」としての性自認の構成 『情況』2024冬号 大変に面白い優れた哲学論文。ただし、植村はその主張内容は誤っていると思うので、その部分のみを「反論」として以下に箇条書きにする。(引用数字は『情況』の頁数) (1) 「「性自…

[演劇] 寺山修司『不思議な国のエロス』

[演劇] 寺山修司『不思議な国のエロス』 新国 2月19日 (写真↓は舞台) 寺山修司が1965年に、浅利慶太の要請で日生劇場のために、アリストパネス『女の平和』をミュージカル化したものらしい(日生劇場では上演されず、2014年にSpace早稲田で初演? 正確には知…

[演劇] T・ウィリアムズ『欲望という名の電車』 鄭義信演出

[演劇] T・ウィリアムズ『欲望という名の電車』 鄭義信演出 新国立劇場 2月15日 (写真↓は、ブランチ[沢尻エリカ]、スタン[伊藤英明]、ステラ[清水葉月]、ともに名演) 鄭義信演出が非常にいい。笑わせる滑稽な部分を強調するが、チェホフと同様、笑いが深けれ…

[演劇] 女歌舞伎『小栗判官と照手姫』 Project Nyx

[演劇] 女歌舞伎『小栗判官と照手姫』 Project Nyx 下北沢 ザ・スズナリ 2月13日 (写真↓は舞台、雰囲気が明るくて楽しい) 「女歌舞伎」というのがいい。出雲のお国が歌舞伎を創始した江戸の初期は、「女歌舞伎」だったのだから。とにかく素晴らしい舞台だ。…

[今日の絵] 2月前半

[今日の絵] 2月前半 1 ダヴィンチ : モナリザ1505頃 写真を撮るとき、よく「はい、チーズ」とか言いますね。すこし<笑む>感じの顔が、人間、いちばん<いい顔>なのだろうか。女性の人物画は、「かすかに微笑んでいる」「少し笑っている」顔が多いような…

[オペラ] ダニエル・カターン≪アマゾンのフロレンシア≫ Metライブ

[オペラ] ダニエル・カターン≪アマゾンのフロレンシア≫ Metライブ Movixさいたま 2月7日 (舞台↓、台本は、ガルシア・マルケスの弟子のマルセラ・フエンテス=ベレン、なるほどマジック・リアリズムに溢れている) メキシコ人作曲家によるスペイン語のオペラで…

[演劇] シェイクスピア『オセロー』 こまばアゴラ劇場

[演劇] シェイクスピア『オセロー』 こまばアゴラ劇場 2月2日 (↑オセロ[佐藤滋]とデズデモーナ[伊東沙保]) 何よりもデズデモーナが伊東沙保なので観劇したが、彼女が一人二役でイアゴーも演じているのに驚愕。下記も、みな共役で、三人がそれぞれ、キャシオ…

[オペラ] アンソニー・デイヴィス ≪マルコムX≫ Metライブ

[オペラ] アンソニー・デイヴィス ≪マルコムX≫ Metライブ 東劇 1月29日 (写真は舞台、ニューヨークの空に宇宙船が現れ、そこからマルコムXが降りてくる) このように難しい主題がオペラで表現されることに驚かされた。1986年初演で人気を博したが、2001年の貿…

[私の百人一首] その1

[私の百人一首] その1 1 春の苑(その)紅(くれなゐ)にほふ桃の花下照(したで)る道に出(い)で立つ乙女 (大伴家持『万葉集』巻19、明けましておめでとうございます。今日からは、これまでの「今日のうた」の中から選んだ「私の百人一首」を毎日一つ投稿します) …

[今日の絵] 1月後半

[今日の絵] 1月後半 21 Pieter Bruegel the Elder : 鳥の罠のある冬の風景1565 戸外にいる人間を描く場合、人間の周囲の空間に、道、家、空、木々、畑、山、川などあって、奥行きが全く違う。この絵は右上右下に烏がたくさんいて、右下の板の「罠」が何か可…

[今日の絵] 1月前半

[今日の絵] 1月前半 1 Vermeer : ギターを弾く少女 1672 音楽する人は、絵に多く描かれた主題、人の感情に特有なものが体勢や表情に現れるからだろう、フェルメールの描く少女は曖昧な表情が多いがこれは違う、とても嬉しそうで明るく、恋人が横にいるのか…

[演劇] ホフマンスタール/宮城聡『ばらの騎士』 SPAC

[演劇] ホフマンスタール/宮城聡『ばらの騎士』 SPAC 1月7日 (↑左から、ゾフィー[宮城嶋遥加]、オクタヴィアン[山本美幸]) R.シュトラウスの有名なオペラだが、ストレートプレイにしたのはたぶん世界初。根本卓也の作曲した音楽が少し付いているが、シュト…

 [今日の絵 12月後半]

[今日の絵 12月後半] 13 Rogier van der Weyden : Portrait of a Young Woman (or Lady Wearing a Gauze Headdress) 1437 優れた人物画は、たとえそれが行きずりに出合った誰かであっても、当人の内面や「人となり」が十分に表現されている、作者1400~60は…

[折々の写真] 11・12月

[折々の写真] 11、12月 11.1 吉永小百合『キューポラのある街』1962『続・キューポラのある街』1965、戦後最大のアイドルはやはり吉永小百合1945~、私が小学5年生の時、日本中が「いつでも夢を」を歌っていたのが懐かしい、Youtubeを https://www.youtube.c…

[折々の言葉]  11、12月ぶん

[折々の言葉] 11、12月ぶん 崇高においては、感性的な無限が真の無限によって克服される。一方、美においては、有限は無限と根源的な形で融和されている。・・ある像が美としてあるための、その限定が少なければ少ないほど、それは崇高へ近づくが、だからと…

今日のうた(152) 12月ぶん

今日のうた(152) 12月ぶん 透かしみるレントゲン写真の影のやうなつめたい月が窓にはりつく (睦月都『Dance with the invisibles』2023、胸の中を映すレントゲン写真は、黒い闇に骨が白く浮かびあがる、窓に重なって見える細い月をレントゲン写真に見立てる…

[オペラ] ジェイク・ヘギー≪デッドマン・ウォーキング≫ Metライブ

[オペラ] ジェイク・ヘギー ≪デッドマン・ウォーキング≫ Metライブ Movixさいたま 12月11日 Met上演2023年10月21日 (写真↓は舞台、死刑囚収容刑務所の暴力的雰囲気の中で立ち尽くす修道女ヘレン、そしてヘレンと愛で結ばれる死刑囚ジョセフ) 21世紀の今日、7…

[今日の絵 12月前半]

[今日の絵 12月前半] 1 森本草介 : 若いヌード(習作) 2009 ルネサンス以降の西洋画では女性のヌード絵は多数描かれているが、体勢はさまざまで、後ろ姿も多い、もっとも美しい女性画を描く一人である森本草介1937-2015にも多数の後ろ姿がある、滑らかさと曲…

[オペラ] ラモー≪レ・ボレアード≫ 寺神戸亮企画・指揮

[オペラ] ラモー≪レ・ボレアード≫ 寺神戸亮企画・指揮 北とぴあ 12月8日 (写真↑は舞台、右から3、4、8、12番目が4人のバロックダンサー[ケンプカ、ジャンカーキ、ドレ、松本]、中央2人が、寺神戸と演出のロマナ・アニエル) バロックダンスが全体の3割を占め…

今日のうた(151) 11月ぶん

今日のうた(151) 11月ぶん 郷里(ふるさと)に住む人の無く天の川 (宮田隆雄「朝日俳壇」10月29日、大串章選、「過疎化が進み住む人の居なくなった故郷。同郷の人たちはいま何処(どこ)で如何(どう)しているのだろう。「天の川」が効果的」と選評) 1 雲梯(うん…

[今日の絵]  11月後半

[今日の絵] 11月後半 19 Pieter Bruegel : 農民のダンス 1568 西洋絵画には広義の「社交」がたくさん描かれている、お祭り、舞踏会、各種祝宴、食事会、お茶会、学会など、人々が集まり出逢う機会は重要だった、西洋のカップル文化も、こうした社交の長い歴…

[今日の絵] 11月前半

[今日の絵] 11月前半 1 Cranach : Saint Elizabeth 1514 何かを「読む」とき、人は特有の美しい表情になる、他者の声に心を開くからだろう、古くは聖書を読む聖人から、近代では小説を読む女性まで、「読む人」は繰り返し絵に描かれた、この聖エリザベスが読…

[今日の絵] 10月後半

[今日の絵] 10月後半 17 Velázquez : Head of Child 1650 子どもが絵の主題になるのは、大人と違う美しさをもっているからだ。だが子供を描くのは、大人以上に難しい。おとなしく座っていないし、類型化されない「その子だけの美しさ」は、大人の美以上に捉…

今日のうた(150)  10月ぶん

今日のうた(150) 10月ぶん 太陽がうまく見えないこの部屋でわたしたちだけの神話を記す (奥山いずみ「東京新聞歌壇」10月1日、東直子選、「太陽の当たらない部屋と神話の組み合わせは、「古事記」の天岩戸を彷彿させる。暗い部屋での「わたしたち」の特別な…

[演劇] ムヌーシュキン 太陽劇団『金夢島』

[演劇] ムヌーシュキン 太陽劇団『金夢島』 東京芸術劇場 10月24日 ムヌーシュキンは、映画『モリエール』、『堤防の上の鼓手』2001新国の二つしか見たことないが、今回、83歳になる彼女の最新作を観られた。宮崎駿『君たちはどう生きるか』が、この世の終り…