[演劇] 歌舞伎『桜姫東文章(上の巻)』

[演劇] 歌舞伎『桜姫東文章(上の巻)』 歌舞伎座 4月21日 (写真は、序幕第二場「桜谷草庵の場」、権助(仁左衛門)と桜姫(玉三郎)の濡れ場は本当に凄い) 『桜姫』は、2009年に現代演劇版とコクーン歌舞伎版で二回観たが(清玄=中村勘三郎、白菊丸=七之助)、…

今日の絵(6) 4月前半

[今日の絵6] 4月前半 4.1 Jan van Eyck : Self Portrait, 1433 ファン・エイク(c.1395~1441)は初期フランドル派の画家で、15世紀ヨーロッパで最も重要な画家の一人。テンペラ技法から油絵技法への転換を果たし、絵画の表現力を飛躍的に高めた。この絵は彼の…

[演劇] 文学座『岸田國士恋愛短編集』

[演劇] 文学座『岸田國士恋愛短編集』 信濃町・文学座アトリエ 4月12日 岸田の初期の作品、「恋愛恐怖病」(1926)、「チロルの秋」(1924)、「命を弄ぶ男ふたり」(1925)の三本立て。いずれも40分の作品で、文学座の若手俳優と演出家で上演。どれも面白く、役者…

[哲学] 書評・入不二基義『現実性の問題』 

入不二基義氏の『現実性の問題』(筑摩書房、2020年)について、私は、日本時間学会誌『時間学研究・第11号』に書評を書きました。学会誌はすでに発行されていますが、学会員以外の方には読めないので、 私の書評を、下に貼っておきます。

[演劇] 三好十郎『斬られの仙太』

[演劇] 三好十郎『斬られの仙太』 新国立劇場 4月7日 (写真↓は、百姓の仙太郎(伊達暁)と、水戸天狗党の武士、加多源治郎(小泉将臣)、この二人が劇の最重要人物) 三好十郎を見るのは、『殺意―ストリップショウ』『地熱』に続いて、これが三作目。どれも主人公…

[オペラ] 《夜鳴きうぐいす》 《イオランタ》

[オペラ] ストラヴィンスキー《夜鳴きうぐいす》 チャイコフスキー《イオランタ》 新国立劇場 4月6日 (写真は、《イオランタ》の舞台) 《イオランタ》は1892年、《夜鳴きうぐいす》は1914年の初演、どちらもメルヘンを基にしたオペラで、前者は95分、後者は5…

[読書]山口つばさ『ブルーピリオド』

山口つばさ『ブルーピリオド』(講談社) 絵画表現の意味をめぐる苦闘を描く 絵を描くことの素晴らしさに目覚めた高校生が、東京藝大を受験する物語。油画科は競争率20倍強なので、「受験絵画」は技術の習得がメインになるのだが、高校美術部の佐伯先生と予備…

[哲学] E.ブレイク『最小の結婚』 論点メモ

(本書は、アマゾンにもレヴューを書きましたが、以下は、読書会用に作った論点メモです) E.ブレイク『最小の結婚』論点メモ 植村恒一郎 [以下、頁数は本書ページ、Bは著者エリザベス・ブレイクの略] 第Ⅰ部(1~4章) 結婚を脱道徳化する議論 Ⅰ「序」結婚と哲学…

今日のうた(119)

[今日のうた] 3月ぶん (写真は、紫式部[土佐光起画]) 生くるとは愛にこころを砕くこと嘴(はし)合す鳩は日向をあゆむ (上田三四二1963『雉』、早春の公園の陽だまりに鳩が嘴を合せてむつんでいる、そして作者は、鳩のこうした姿を祝福し、そこに人間を重ね合…

今日の絵(5)  3月後半

[今日の絵5] 3月後半 16 Hans Holbein : Unknown Young Man at his Office Desk, 1541 ホルバイン(1497~1543)はドイツ生まれだがイングランドで宮廷画家となる。エラスムス、トマス・モア、ヘンリー8世の肖像や「大使たち」などで名高い。これは普通の市民…

[演劇] マキノノゾミ『昭和虞美人草』

[演劇] マキノノゾミ『昭和虞美人草』 文学座アトリエ 3月18日 (写真は舞台、甲野家の立派な書斎、しかし息子たちは遊び人タイプで、ヒッピーのような格好をし、まじめな就職もせず、手作りのロック雑誌を刊行している) マキノノゾミが漱石の『虞美人草』を…

[演劇] ケストナー『雪の中の三人』

[演劇] ケストナー『雪の中の三人』 小山ゆうな演出 俳優座稽古場 3月16日 俳優座公演、台本は演出の小山が新しく新訳・構成。ドイツ語の三つの台本を比較しつつ、原作に近いものにしたという。ケストナーは二年前に田中麻衣子演出『どうぶつ会議』を見たが…

今日の絵(4) 3月前半

[今日の絵4] 3月前半 3.1 Sandro Botticelli : Self Portrait, 1475 大きな絵の一部だが、ボッティチェリ(c.1445~1510)の自画像と言われている、30歳前の美しい青年だ、眼など強いものを感じさせる 2 Raffaello : Self Portrait, c.1505 ラファエロ(1483~15…

[演劇] 井上ひさし『日本人のへそ』

[演劇] 井上ひさし『日本人のへそ』 こまつ座、紀伊國屋サザンH 3月10日 (写真↓は第2幕、純粋の演劇の部分、ミュージカル構成による第1幕の劇中劇を受けて、その劇中の物語が実在世界へと転換している、代議士宅の応接間) 『ひょっこりひょうたん島』で放送…

今日のうた(118)

[今日のうた] 2月ぶん (写真は窪田空穂1877~1967、日常生活の情景を詠み「境涯詠」と言われた、国文学者であり早大教授をつとめた) 冬山のふかき襞かなこころの翳 (飯田龍太1949、作者は山梨県の山村に居住している、この「冬山」は、家からすぐ見えていて…

今日の絵(3) 2月後半

[今日の絵3] 2月後半 2.17 Quentin Matsys : Portrait of Erasmus, 1517 エラスムスの研ぎ澄まされた知性が感じられる、クエンティン・マサイス(1466–1530)はフランドル地方の画家 18 Lucas Cranach : Martin Luther, 1526 これは“恐れを知らぬ革命家の顔”で…

[演劇] 秋元松代 『マニラ瑞穂記』

[演劇] 秋元松代『マニラ瑞穂記』 新国立劇場・小H 2月24日 (写真↓上は、東南アジアに娼婦として売られていった若い日本人女性たち、いわゆる「からゆきさん」、写真下、左は実在の人物村岡伊平治をモデルにした女衒[娼婦の人身売買業者]の秋岡、中央はマニ…

[オペラ] ワーグナー《タンホイザー》

[オペラ] ワーグナー《タンホイザー》 二期会 東京文化会館 2月21日 (写真↓は第2幕、中央がエリーザベト、以下の写真は、元の上演であるフランス国立ラン歌劇場(2013)のものも含む) キース・ウォーナー演出で、舞台の空間性の鮮やかな構成がとても見事だった…

[文楽] 近松門左衛門『冥途の飛脚』

[文楽] 近松門左衛門『冥途の飛脚』 国立劇場 2月17日 (写真↓はすべて2017年国立劇場の舞台から、最初は中段の越後家、左から飛脚屋の忠兵衛、遊女の梅川、忠兵衛の友人の八右衛門、後方は遊女たち) 上中は近松の原作通りだが、下の段はまったく違い、野澤松…

今日の絵(2) 2月前半

[今日の絵2] 2月前半 2.1Jan van Eyck: Adam and Eva, 1429 van Eyckはテンペラから油彩画へと西洋絵画を転換させた人、しかしまだ、このアダムとイヴは、Dürer やRubensなどと違って、非常な美男/美女というわけではない、人間の肉体がまだ「原罪」から解…

[演劇] 三好十郎『地熱』 劇団・民藝

[演劇] 三好十郎『地熱』 劇団・民藝 紀伊國屋サザンシアター 2月8日 (写真↓は舞台、戦前の佐賀県の小さな飲み屋、中央は信州から流れてきた「渡り人夫」の留吉(神敏将)と、右端は飲み屋で働く香代(飯野遠)、香代の留吉に対する片思いに留吉は気づかない) 三…

[演劇] 平田オリザ 『眠れない夜なんてない』

[演劇] 平田オリザ 『眠れない夜なんてない』 吉祥寺シアター 2月1日 (写真↓はポスター、劇の本質をよく象徴している。昔のうらぶれた銭湯のようなところの靴箱だろうか、でもよく見るとパスポートと札束があり、ごく普通の人の人生にも、それぞれ違った過去…

[演劇] エンダ・ウォルシュ 『アーリントン』

[演劇] エンダ・ウォルシュ 『アーリントン』 KAAT 1月30日 (写真↓はポスター、部屋に散乱している服は、アウシュビッツ収容所でガス室に送られた人々が最後に脱ぎ捨てた衣服の隠喩だろう、人類の文明が滅び、二人の男女は人類の最後に生き残った二人だと、…

今日のうた(117)

[今日のうた] 1月ぶん (写真は高柳重信1923~83、多行書きの俳句を提唱し、金子兜太とともに戦後の前衛俳句の指導的な一人) 雪けつて屋根うつりせり初鴉 (森婆羅1877~1970、作者は高知県の俳人でホトトギス派、「初鴉」とは、「元旦に鳴き声を聞いたり、姿…

今日の絵(1) 1月ぶん

[今日の絵1] 1月ぶん ほぼ毎日、FBとツイッターに投稿している「今日の絵」をまとめて、適宜ブログに貼ることにします。 私は、10年前から、「今日のうた」で自分のアンソロジーを作ってきましたが、好きな「絵」のアンソロジーもほしくなったので。1月ぶん…

[映画] ヘルムート・ニュートンと12人の女たち

[映画] ヘルムート・ニュートンと12人の女たち 渋谷Bunkamuraル・シネマ 1月4日 (写真下は↓、彼の代表作の一つ、4人の女性が衣服と裸体で同じ姿勢を取る、その裸体は、筋肉の動きが透けて見えるような、力のみなぎった運動感がすばらしい、その下も↓、ワーグ…

今日のうた(116)

[今日のうた] 12月ぶん (写真は長谷川櫂、朝日俳壇選者をつとめる) 冬の日の白堊かがやく灯台を十年(ととせ)へて今日見つる親しさ (上田三四二1970『湧井』、三浦半島の観音崎にて、灯台というのは独特の趣があるが、それは海という自然の中に人工物が突出し…

[美術展] 第45回・白日会会員選抜展

[美術展] 第45回・白日会会員選抜展 日本橋三越・美術特選画廊 12月25日 (写真↓は、河野桂一郎1966~「My No.6」と、伊勢田理沙1988~「ひだまり」) ホキ美術館で写実の絵に惹かれたので、今日は、やはり「写実の絵」を標榜している美術団体「白日会」の会員…

[美術展] ホキ美術館ベストコレクション展

[美術展] ホキ美術館ベストコレクション展 千葉・ホキ美術館 12月21日 (写真↓は、渡抜亮「照らされた影」2010) キケロは「人間にとって人間以上に美しく見えるものはない」(『神々の本性について』)と言った。ホキ美術館の絵を見るのは今年の6月以来、これが…

[演劇] ニコラス・ライト 『ミセス・クライン』

[演劇] ニコラス・ライト『ミセス・クライン』 シアター風姿花伝 12月19日 (舞台↓は、左からポーラ、メラニー・クライン(那須佐代子)、メリッタ、3人とも実在の女性、その下の写真は、メラニー・クラインと娘のメリッタ、息子のハンス) 1934年のロンドン、ド…