[今日の絵] 11月後半
17 Contrapposto / Kandinsky : On the dances of Palucca 1926
上の「コントラポスト」は、古代ギリシア彫刻以来、人間の最も美しいとされる姿勢、下は、カンディンスキーによるダンス振付けのポーズ集。今日から、人物画を「ポーズ」「姿勢」「体勢」「仕草」の視点から見ていく、「顔の表情」と同様に「体全体の表情」がある
18 Edgar Degas : Little Dancer Aged Fourteen 1880
ドガはダンスをしている踊り子のさまざまなポーズをたくさん絵に描いているが、これは彫刻、この姿勢・体勢の美しさが彼を魅了したからだろう、足の向きが違うのがコントラポスト
19 Artemisia Gentileschi : Allegoria dell'Inclinazione 1615
タイトルは「傾きの寓意」、当時22歳のアルテミジア・ジェンティレスキが、ミケランジェロの孫から依頼されて描いたとされ、絵の若い女性はアルテミジア本人だと言われる、この女性は芸術の象徴と思われるが、動性のあるポーズと表情が美しい
20 Boldini : Mademoiselle de Demidoff 1908
ボルディーニの人物画は、ドガのそれと同様、いつも身体に動性が感じられる、この絵も、右手の指はショール?を手放した瞬間のように大きく開いている、左手指も動き、上衣は肩からずり落ちそう
21 Georges Clairin : オフィーリア1898
ジョルジュ・クレラン1843~1919はフランスの画家、女優のサラ・ベルナールをモデルに描いた、この「オフィーリア」もそうかも、正面を向いているが、両足は揃えずに方向をずらしているはず、それは服の下部の大きな斜めの線から分かる、両手も微妙に非対称で、これがコントラポスト
22 Klimt : Portrait of Emilie Flöge 1902
エミーリエ・フローゲは、クリムトより12歳下で、兄の妻の妹、クリムトの描く女性は独特の雰囲気があって美しい、それは色彩の見事さのみでなく、この絵のように、すらりとした長身とその姿勢の美しさもある、腕や手は、身体の縦方向のベクトルに巧みに掉差す
23 Jean-Louis Forain : 綱渡り1885
綱渡りは、サーカスのそれも含めて、よく描かれた主題、綱の上の身体の均衡が美しいからだろう、この女性は左右対称であろうが、それが斜めから描かれる、ジャン=ルイ・フォラン1852~1931はフランスの画家、若い頃ヴェルレーヌ、ランボー、ドガ、マネ等と知り合った
24 Delphin Enjorlas : 気に入った本
デルファン・アンジォルラス1857-1945はフランスの画家、室内でランプに照らされた女性をたくさん描いた、この女性は、ちょっと覗いた本が面白てく、本棚の前に座り込んだまま、熱心に読みふけっている、横から見えるその姿勢はとても美しい
25 Picasso:扇子を持つ女性1905
誰かと別れるとき、彼女は手を振っている、冷たい感じの表情だ、ピカソの「青の時代」は1901~4年と言われるが、これも含めていいだろう、頭にあるのは枯葉かリボンか分からないが、横から見た身体の造形性と色のバランスが卓越している
26 Winold Reiss : Woman in Black Hat with Cigarette 1917
ウィノルド・ライス1986~1953は、ドイツ生まれのアメリカの画家、ネイティブアメリカンや黒人の肖像をたくさん描いた、少ない色数で身体の造形性が際立つ、この絵の身体も、視線や表情や背景を含め、各方向に伸びる力強いベクトルによって描かれている
27鳥居言人 : 紅葉1933
鳥居言人(ことんど)1900~76は大正から昭和期の浮世絵師、手の位置に特徴があり、この絵も、この姿勢が女性の身体を美しいものにしている、肌と着物とが均衡的に調和するからだろう
28 Matisse : Dancer in Repose 1940
「ダンサー」の女性が休憩している、まだ息も荒く、ぜえぜえしている、スリットスカートからは突き破るように両足が投げ出されている、でもこのドーンと投げ出されている両足は力が漲っていて美しい、周囲に見えるもろもろの物も含めてマチスの「建築的均衡」が絶妙に実現
29 ゲオルギー・クラソフ:[キュービズム・アート]
ゲオルギー・クラソフ1958~はロシアの画家、この絵のタイトルは分からないが、彼の描く人物画はすべて、円筒、円錐、球、円、直線などの幾何学的形象の組み合わせから成り、それが人間身体の体勢と動性を作り出している
30 ダフィー・シェリダン : [タイトル不明]
ダフィー・シェリダン1947~は現代アメリカの画家、写実的な具象画を描く、[ペルシャの宗教]バハイ教徒といわれる、くっきりとした身体の女性の絵が多く、この絵も、その体勢と、海の明るい光の浴び方が美しい