[今日の絵] 3月前半
1 de Vinci : ラ・ベル・フェロニエール1490
「フェロニエール」とは、額に着けられている金細工の飾り、ミラノのルドヴィコ・スフォルザ公の恋人であるルクレツィア・クリベリか、若々しくて生き生きとしており、とりわけ眼差しが美しい
2 Dürer : 若いヴェネチアの女性の肖像 1505
デューラーの二回目のイタリア旅行で描かれた、上流階級の若い女性と思われるが、上品な顔立ちといい、昨日のダ・ヴィンチの「ラ・ベル・フェロニール」と同様に眼差しの美しさなど、古典的で模範的な肖像画
3 Raffaello : ヴェールをかぶる女1516
モデルは、ラファエロの晩年の愛人「フォルナリーナ(パン屋の女)」といわれている、彼女には品位ある豊穣さがあり、そこが特に美しい
4 Tiziano : 美しき女1537
代表作「ウルビーノのヴィーナス」と同一女性らしく、彼は何枚も彼女を描いているが誰だか分っていない、ラファエロといいティツィアーノといいモデルを選び抜いている
5 Rubnes : シュザンヌ・フールマンの肖像 1623
アントワープの商人ダニエル・フールマンの娘、彼女の妹がルーベンスの二度目の妻、全体が明るく、美しい帽子が似合う、後にエリザベート・ルブランはこの絵を「その大きな効果はシンプルな日中の明るさと太陽のまぶしさを与える2つの異なる光にある」と激賞
6 Velázquez : The Lady with a Fan 1640
ベラスケス絵画では誰なのか特定されていない珍しい絵、フランスから亡命してきたシュヴルーズ公爵夫人という説もある、胸元が開いたドレスはスペインでは稀、右下の懐中時計はフランスで流行した等、ファッションがフランス風らしい
7 Rembrandt : ヘンドリキエ・ストッフェルス 1654
レンブラント家の家政婦ヘンドリキエは1648年から彼と同棲するようになった、彼より20歳年下で結婚はしなかったが、晩年の画家を支え続けた優しい女性、地味系の顔だが、微かな笑みと眼差しが優しい
8 Murillo : Saint Rufina 1665
ムリーリョは風俗画ふうの女性が多いが、これは聖人、でもモデルは実在の女性だろう、ルフィーナは古代ローマのセビリアの陶器商の娘で殉教、セビリアの守護聖人の一人だった、静かな気品が美しい
9 Ingres : アングル夫人の肖像1815
柔らかい表情が美しく、眼差しが優しい、夫に対する彼女の愛情が感じられる、ただ手や袖などは描き方が故意に粗いのか、アングルの描く女性はこの絵と似た顔が多い、というより彼の好みのタイプを妻にしたか
10 K.P.Bryullov : M. A.ベックの肖像 1840
カール・パヴロヴィチ・ブリューロフ1799-1852はロシアの画家、新古典主義からロマン主義への移行の中心人物で、プーシキン、ゴーゴリ、トルストイ等が彼を激賞、この婦人の肖像も、アングルのような新古典主義的でもあり、それ以降のロマン主義的でもある
11ブグロー:漁師の娘1872
ブグロー1825~1905はフランスの画家、マネ以降の印象派等に組せず、あくまで新古典主義を継承したアカデミー絵画の中心人物、この絵でもそうだが、「漁師の娘」ならもう少し質実、武骨でありそうなものだが、どこまでも<優美>なのがブグロー
12 イリヤ・レーピン : 秋の花束 ヴェラ・レピナの肖像1892
レーピン1844-1930はロシアの画家、トルストイなどの深みのある肖像画で名高いが、これは妻、それほど若くはないと思うが、どこかお嬢さんの雰囲気があって、妻への画家の愛が感じられる
13 Makovsky : Portrait of a young woman
マコフスキー1839-1915はロシアの画家、「若い女性の肖像」をたくさん描いており、どれも、やや斜めの角度から描かれる顔の耀きが美しい、眼差しに特有の力があって、それが人物の存在感を高めている
14 Hans Deiters:Magdalena Deiters
ハンス・デイタース1868-1922はドイツの画家、三美神など神話的な女性をたくさん描いた、それらは写実という感じではないが、これは妻だろうか、写実的だ、年齢は若く、よく見ると顔はまだ少女のように初々しい
15 Vladimir Volegov : Tea on the balcon
ヴォレゴフは旧ソ連生まれで、スペインで活動する現代画家、女性をたくさん描いているが、どれも体勢に非常な工夫がある、この絵も、この構図の中でのこの体勢がいい