[今日の絵 4月前半]
1 Bottichelli : 春 1482
「わが世の春」「青春」「春画」など、「春」は俳句の季語だけでなく、絵画でも普遍的主題、「春」は我々にとって何よりもまず「喜び」の季節だろう、女にとっても男にとっても
2 Albert-Emile Artigue : 春の花々1900
これも「春」が主題、でも昨日のボッティチェリとは違い、女子会だ、ヨーロッパはカップル社会というけれど、やはり女子会は楽しい、アルベール=エミ-ル・アルティーグ1850-1927はアルゼンチン生れのフランス画家
3 Monet : セーヌ川べりの春 1875
どれか特定のものが「春」を表現しているのではなく、全体の空気そのもの、光それ自体が、「春」を顕わにしている、いかにもモネらしい
4 María Bashkirtseff : Primavera
マリア・バシュキルツェフ1858–1884はウクライナ生まれの女性画家、25歳で夭折、子どもの絵などで名高いが、これは「春」、枝集めの女性がいかにも気持ちよさそうに眠っている、白い小さな花をつけた樹が、いかにも春
5 Munch : 春1889
ムンクといえば苦悩が描かれることが多いが、この『春』は全体が何か明るい、窓辺にある鉢の花が春なのだ、作者を伏せたらムンクと分らないかも、でも中央の女性の表情は明るくないようだ
6 Paul Seignac : The spring garland
タイトルは「春の花冠」、ちょうど咲いた花で冠を作るから、冠が「春」なのだ、ポール・セニャック1826-1904はフランスの画家、小さな子どもたちの絵をたくさん描いているが、どれも子どもたちがかわいい
7 印藤真楯:夜桜1897
印藤真楯1864-1914は日本の初期の洋画を担った一人、これは代表作で、京都の丸山公園の花見の光景
棚町1971~は現代の日本画家、ただし描かれる光景は「今」とは限らない、これはバスのように見えるがおそらくディーゼル車だろう、満開の桜と車体と登校する子どもたち、春のいい構図だ
9 Marianne Stokes : April
マリアンヌ・ストークス1855-1927はオーストリア生れの英国の女性画家、どこか中世的な絵を描いた、この絵も、「春」を主題にした名作だ、白樺の幹と、白い小さな花の樹々、おそらくそれで作った花冠、そして女性の優美な身体
10 Hovhannes Zardarian : Springtime 1956
ホバネス・ザルダリアン1918-1992はアルメニアの画家、この絵は切手にもなった、アルメニアの山地に春が来た、スカートが春風に膨らんで、飛ばされそうな帽子をキュッと押さえて立つ娘が、美しい
今の遠足はバスのことが多いが、当時は、電車+歩きだった。これは春の遠足ならではの、のどかな光景
12 吉間春樹 : 葉の影が落ちる白い部屋 大宥美術賞 富田温一郎賞 2022
今日からは最近の日本人画家を、モデルの女性は、やや重めの本を抱えているのに、肩に力が入っておらず、凛とした体勢が美しい、視線は、見る者をじっと見つめている。作者1994~は若手の写実画家、白日会会員
13 行晃司 : 薄明かり2024 ギャラリー・アルトン
光の当て方とバランスがいい、後方の鏡に窓が薄く映っているが、感じられるのは朝の空気。作者1991~は若手の写実画家
14小林宏至 : 静寂に包まれて2021 第10回トレ展
小林~1988は若手の写実画家、主体美術協会会員、描かれた女性はそれぞれに違った姿勢・体勢をとっている、この女性は、体全体で考え込んでいる
15 安原 優 : blue 2024 三越画廊
安原1990~は若手の写実画家、描かれる現代の少女はどれも「強さ」を感じさせる、この絵は、スマホを手にして何かを考えている、ややきつい真剣な表情、彼女にとって何か重大なことが問題になっているのか
16 佐藤孝洋 : 夢と記憶・冬の近く 2011
佐藤孝洋1973~は岡山県で活動する写実画家、どの絵も、身体の存在感に深みがある
17 木原和敏 : 午後 2022
木原和敏1958~は写実の画家、白日会展内閣総理大臣賞など受賞、作品は、やや斜め上から描く女性が非常に美しい