[今日の絵 12月後半]

[今日の絵 12月後半]

13 Rogier van der Weyden : Portrait of a Young Woman (or Lady Wearing a Gauze Headdress) 1437

優れた人物画は、たとえそれが行きずりに出合った誰かであっても、当人の内面や「人となり」が十分に表現されている、作者1400~60は初期フランドル派の画家、肖像画に名画が多い

 

14 Juan de Flandes : Catherine of Aragon at age 11. 1496

ファン・デ・フランデス1465-1519はベルギーの初期フランドル派の画家、スペインで活躍した、スペインのアラゴン王女キャサリンは英国のヘンリー八世の最初の妻となった、この絵では11歳だが、普通の少女と違って威厳と風格がある

 

15 Biagio d’Antonio : 赤い帽子と青いチュニックの若い男の肖像 1480頃

ビアージョ・ダントニオ1446-1516はルネサンス期のイタリアの画家、フィリッポ・リッピの影響を受けた画風、青年の絵も何枚かあるが、いずれも眼をくっきりと見開いた若々しい顔で、キリっとした表情に険しさがない

 

16 Jan van Scorel : Wonderful portrait of an old man1530

ヤン・ファン・スコーレル1495-1562はオランダの画家、イタリアルネサンスをオランダに紹介した、ある美術史家によれば、ここに描かれた絵の男性は「考え深く、真面目で、世界について静かに探究しているが断固としている」

 

17 Isaack Luttichuys:Young man in a lot of shirt 1661

アイザック・ルッティチュイス1616-73はロンドン生まれだがオランダで活躍、この青年は、タイトルにもある「シャツ」が素敵で、よく似合う、おしゃれな青年なのだろう、なかなかイケメンだ

 

18 Jean-Étienne Liotard : 7才のマリア・フレデリーケ1755

ジャン=エティエンヌ・リオタール1702-89はスイス生まれの画家、18世紀のヨーロッパでは子どもの肖像も多く描かれるようになった、これはオランダの貴族フレデリーケの娘マリア、落ち着いた考え深そうな眼差しは、抱いた犬のそれと対照的

 

19 Renoir : The Ingenue 1877

タイトルは「無邪気な人」という意味か、この顔には既視感があり、ルノワールが何度か描いた女性かもしれない、とすれば、彼女の顔の表情、手指などの仕草などから、人柄の「無邪気さ」を描いたのか

 

20 Marie Bashkirtseff : 傘をさした孤児1883

マリー・バシュキルツェフ1858-84はウクライナ出身の女性画家、25歳で夭折したが天才と讃えられた人、貧民街の子どもなどを描いたが、作品の大半はナチスによって破棄された、この絵は「孤児」だが、こちらを見詰める視線は鋭い

 

21 Pissarro : Self-Portrait 1903

ピサロ1830-1903は街や郊外の絵で名高いが、人物像や自画像も描いている、これは彼の没年の自画像、実に深みのある自画像だ

 

22 Bertha Wegmann : 本を持つ女性

ベルタ・ヴェーグマン1847–1926はドイツ系のデンマークの女性画家、女性を多く描いており、「読む」あるいは「考える」姿も多く、どれも人物の内面に奥行きと深みを感じさせる

 

23 Picasso : ガートルード・スタインの肖像 1906

ガートルード・スタイン1874~1946はピカソの絵に惹かれて彼の絵を収集したアメリカ人、富豪の娘で、パリで芸術家を集めたサロンを主宰した、彼女はこの絵がとても気に入り、「これは私の唯一の肖像画であり、そうあり続けるだろう」と言った

 

24 Serebriakova : Marvelous portrait of Lola Braz 1910

セレブリャコワ1884-1967が描いたのは、ほとんどが彼女の家族や友人、この絵もたぶん友人だが、こちらを見詰める凛とした眼差しなど、とても魅力的に描かれている、仲良しなのだろう、彼女の絵はどれも描かれた対象への愛が感じられる

 

25 Modigliani : Portrait of Raymond Radiguet 1915

モディリアーニ1884-1920の描いたレイモン・ラディゲ1903-23、ラディゲは14歳から詩を書いていたが、この年だと12歳の少年、だが少年といえばたしかに少年の顔だ、写真の方の年齢は分らないが、画家は人物の本質をズバリと描いている

 

26 Benjamin Vautier :

バンジャマン・ボーティエ1829-98はスイスの画家、日常の農民など人物画、風景画を描いた、女性の絵もたくさんあるが、どれも何か考え込んでいる顔だ、この絵もごく普通の庶民の女性だろうが、鋭さのある表情に深みがあって美しい

 

27 Harold Gilman: Mrs Mounter1916

ハロルド・ギルマン1876-1919は英国の画家、ポスト印象派と言われる、彼の描く室内の人物画は、服や背景の色が濃く、顔の色は薄い、しかしそれが顔の特徴や存在感をうまく捉えている、この「マウンター夫人」も

 

28 Chaïm Soutine : ホテルのボーイ1927

シャイム・スーティン1893-1943はロシア生まれのフランス画家、絵も売れず貧困で、精神的に不安定だった、モディリアーニに助けられ、藤田嗣治とも親交があった、描く人物はどれも歪んだ形態をしているが、この絵など、ズバリ人物の本質を掴み取っている

 

29 Max Kaus : Woman at the tableⅠ1931

マックス・カウス1891-1977はドイツの表現主義の画家、ナチス時代は絵が排斥された、描かれた人物は険しい表情が多く、人間の苦しみや痛みの感情が伝わってくる、この女性は静かで思索的だが、よく見ると表情は厳しい

 

30 Fausto Pirandello : Luigi Pirandello の肖像1933

描かれたルイジ・ピランデルロ1867-1936はイタリアのノーベル賞受賞作家、多くの戯曲で名高い。描いた画家1899-1975はその息子、人物画をたくさん描いたが、茶系統の色の使い方が上手い、この絵も僅かな数の色を実に巧みに用いている

 

31 Cuno Amiet : Portrait of Miss Jöhr 1938

クーノ・アミエット1883-1966はスイスの画家、彫刻家、ジャコメッテイと親交があった、四千以上の絵を描き、自画像も千枚以上ある、大きめの点描で輝かしい色彩の絵が多く、この絵も、しっかりした顔立ちの女性の花柄?の服が美しい