[今日の絵] 3月後半

[今日の絵] 3月後半

16 Sofonisba Anguissola : 本人を描く師のベルナディノ・カンピ1559

ソフォニスバ・アングイッソラ1532-1625はイタリアの女性画家、若くしてスペイン宮廷に招かれた、この絵は、先生が自分を描いているシーンを自分が描いた面白い絵、顔や手に光が当たり浮かび上がる

 

17 Georges de la Tour : 新生児 1640年代

ラ・トゥール1593-1652はフランスの画家、蝋燭などの光が当たるとても印象的な絵を描いた、これは代表作の一つで、神秘的な雰囲気が醸し出されている、非常に高度な技術で描かれているらしい

 

18 Rembrandt : 夜警1642

人は必ず一定の背景の中にあるから、全体の光の量とそれをモノにどう配分するかがポイント、有名なこの絵は、実は昼間の光景で「夜警」ではない、絵の表面が茶色に変色したので暗く見えるだけ

 

19 Thomas Wilmer Dewing : Lady with a Lute 1886

デューイング1851-1938はアメリカの画家、上流階級の女性をたくさん描き、どれも優美でありながら落ち着いている、これも暗い背景に深緑色の服、そして顔、首、胸、手指に当る穏やかな光が絶妙

 

20 Ivan Pili : バレリーナ

イヴァン・ピリ1976~は現代イタリアの画家、具象的な写実の立場、この絵は光の当て方がうまい、それによって、しゃがんだ体の手、足、背中に美しい動性が

 

21 Jules Bastien-Lepage:小さな煙突掃除人 1883

バスティアン・ルパージュ1848-1884は緻密な技法で描くフランスの画家、人物が自由で生き生きしている、この絵は、顔の一部、椅子のへり、パン、猫などに光が当たり、暗い服を着た煙突掃除の少年の生命感が溢れる名作

 

22 Hopper : Nighthawks, 1942

光の中でこそ、人は生き生きとして見える、光も、直線方向にだけ光が進む「放射光」よりは、水中のモノを水が取り囲むような「包囲光」の方が多い、ホッパーの「夜更かしする人」も、包囲光の中で「夜更かし」している

 

23 Genevieve Dael : よろい戸

ジュヌヴィエーヴ・ダール1947~はフランスの女性画家、窓から光が少し差し込む室内の女性をたくさん描いている、そういう状況の女性が一番美しいと感じるからだろう、これは「よろい戸」、光はわずかしか差し込んでいない

 

24 Gregorio Catarino

グレゴリオ・カタリーノは現代の画家、人間は、光が当たらない影絵だけでもこれだけ見事に描ける、「今」こんな状態という瞬間の在り方が、むしろ影からよく分る

 

25 ベラスケス : 聖トマス1620

この絵は光の当て方が鋭く、ほとんど放射光のように見える、まだ電気のない時代、蝋燭を束ねると光は広がって包囲光に近くなるから、かなり工夫が必要だったはず

 

26 Wilhelm Kotarbiński : Italian woman with a dove 1880

コタルビンスキー1848-1921はポーランドの画家、神話的でロマンティックな画を描く人で、人の傍らによく鳩がいる、この絵も写実というよりは童話的だが、光が当たった色が美しい

 

27 ルノワール:アリスとエリザベス1881

ルノワールの描く少女はどれも、柔らかい光に包まれた体が浮かび上がる感じがあり、影はほとんどなく全体が優しい、この絵も、体から光そのものが発散しているかのようだ

 

28 Marcel Rieder : Lady in an Interior

マルセル・リーダー1852-1942はフランスの画家、シュバイツァーとも親交があった、室内の女性をたくさん描いているが、どれも光の当て方に特徴がある、この絵は、スタンドの光が女性の胸部を明るく照らし、周囲の壁をぼんやりと浮かび上がらせる

 

29 Frederic Childe Hassam : July Night 1898

チャイルドハッサム1859-1935はアメリカの画家、色彩の美しい絵が多い、この「7月の夜」も、後方のちょうちん?のような灯りが、幻想的な夏の夜の雰囲気を醸し出し、後方から照らす柔らかい明りが人物の輪郭として光っている

 

30 Peter Ilsted : Sunshine in the Living Room 1909

ペーター・イルステッド1861-1933はデンマークの画家、室内の女性を多く描いており、窓から差し込む光を好む、この絵も窓から室内に差し込む光が印象的で、全体の構図を決定している

 

31 Vladimir Volegov

これは室内ではないが、光の配分と当て方が実に巧みで、女性の腰、帽子、木漏れ日、水面の反射など、光の分散が構図を生み出している、ヴォレゴフは旧ソ連出身でスペインで活動する現代画家