[今日の絵] 4月後半
18 Michelangelo : Sistine Chapel (detail)
人物画で顔が重要なのは、そこに人格が表れるから、つまり人間の内面が一番表れるのが顔、角度や向き、質感、影の付き方、視線の鑑賞者との衝突の有無など、すべて関係する。ミケランジェロのこの絵は部分だが、ふっくらとした優しい感じが見事に描かれている
19 デユーラー(またはその弟子) : 紳士の肖像
この顔は、ほんの僅か上方を見ている目が素晴らしい、おそらく、相手の顔をじっと見ている眼差しだ、「相手にじっと見詰められると、その視線に耐えられず、落ち着かなくなる」(ヘッセ『デミアン』)、そういう視線
20 Vasily Tropinin : 画家の息子 1818
トロピニン1776-1857はロシアのロマン派の画家、40歳過ぎに農奴から自由になり、これはその直後、息子を画家が見守っている感じ、息子に対する深い愛情が読み取れる
21 Edward Davis : Innocence
エドワード・デイヴィス1833-1867はイギリスの画家、若死にしたが子ども等の生き生きした絵を描いた、これは、うつむき加減で上目遣いだが、内向的で人見知りしそうな少女なのだろう
22 Edgar Degas : Head of a Woman 1873
ドガの描く人物はたいがいは不機嫌な感じだ、この絵はわざと視線が分らないように描いている
23 ルノワール : 青い帽子の少女1881
ルノワールの描く少女は、目に特徴があって、知的な印象を受けるものが多い、たんに可愛いというのでもなく、大人の女性のように官能的でもない
24 Pierre Auguste Cot : Female Portrait
コット1837-1883はフランスのアカデミズム派の画家、どの絵も、描く女性の、内側から柔らかに膨らんでくる優美な肉体性が美しい、この絵も、顔、首、胸がとても優美で、眼差しも遠過ぎず近過ぎず、適度な距離を見ている
25 Franz von Stuck : Frau Feez 1900
フォン・シュトゥック1863 – 1928はドイツの画家、彫刻や建築もなした、メリハリの効いた絵を描く人で、この普通の人物画も、全体があっさりした筆致の中で、目を強調しているので、それが生き生きした表情を生み出している
26 アンリ・ルソー : 自画像1903
アンリ・ルソー1844-1910は49歳まで薄給の税官吏で、日曜画家だった、誰からも絵を習わず自己流の人、幻想的で不思議感のある絵がアンデパンダン展以降に認めら、やがてピカソなどに激賞された、遠近感・立体感がないが、人間や動物がどれも「面白い」顔だ
27 Modigliani : Young Girl with Blue Eyes 1917
モディリアーニの描く人物は、単純な線と面と色彩だけなのに、なぜこんなに美しいのだろう、顔の形と目との調和が魅力的で、光の方向は微妙だが、この女性がどういう人であるのかがよく分る
28 Picasso : Marie-Therese leaning 1939
マリー・テレーズはピカソの7人目の女、1927年、17歳のとき(写真)45歳のピカソの愛人になったが、妻オリガがいたので、関係は最初は秘密だった、1935年に彼女はピカソの娘マヤを生み、この絵の時点では母になっている、静かで落ち着いた母の顔
29 Heinrich Zernack : The Artist's Wife, Isa
ゼルナック1899 – 1945はドイツの画家、どの人物画も目が鑑賞者をじっと見詰めている、これは妻、目は小さく、どちらかというと地味系の顔かもしれないが、少女のような可憐さがある
30 Chagall: Self Portrait 1914
シャガールの絵はメルヒェンぽいものが多いが、さすがに自画像はそうではない。この絵の彼は27歳、視線がとても鋭く、鑑賞者を睨むかのようだ