[今日の絵] 12月後半

[今日の絵] 12月後半

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19 島村信之 : レッスン 2008

島村信之1965~は写実の画家、人物画に優れたものが多い、この絵は彼の5才の娘がヴァイオリンを習い始めてすぐの頃という、ヴァイオリンや弓の持ち方、指の握り方、肩への当て方、姿勢、表情など、まさに初心者のそれで、とても瑞々しい

 

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20 中山忠彦: 壁掛けのある部屋 2002

モデルは夫人、19世紀フランスの衣裳をつけて、ドレスの質感も見事に描き出されている、中山は「衣服は着用する女性のいのちと連動してその魅力を高める、19世紀の西洋の衣服は、もっとも女性を美しく装う」と述べている

 

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21 森本草介 : 写真集 2003

森本草介(1937~2015)は写実の画家、彼の女性画には正面の姿はなく、斜め、横、後方などの姿である、この絵は「写真集」を眺めている女性だが、全体が透き通るような光の中にあって、静かな落ち着きをかもしだしている

 

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22 塩谷亮 : 久遠 2010

塩谷亮1975~は写実の画家、この絵について、「時間の経った壁に身体を寄せることで、悠久の時に思いを馳せる・・・、何かを見詰める目ではなく、モデル自身の内面に向かう表情になるように苦心した」と自註

 

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23 綿抜亮 : 計測と記述

綿抜亮1981~は写実の画家、彼によれば、人間の身体はいかなる部分も密接に繋がり、特に手や指は脳と直接に繋がっている、この絵も、「手はつねに何かを測り、それを書く」というのがタイトルの意味だろう

 

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24 生島浩 : Card 2005

生島浩1958~は写実の画家、ヨーロッパ留学でフェルメールの模写などをした、生島は、「古典絵画の絵具感は、絵具の塊が宝石のようだった」と述べている、この絵も、黒を背景とする中、肌が輝くように美しく、髪の毛も光っている、そして生島の特徴である茶色が美しい

 

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25 廣戸絵美 : 存在に関わる問題’11, 2011

廣戸絵美1981~は若手の写実画家、野田弘志に師事し、北海道でともに制作活動をする、廣戸のほとんどの絵は灰色を基調としており、この絵も、灰色の広い背景があればこそ、衣服や肌とシルエットがうまく調和している、そしてタイトルがユニークだ

 

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26 小磯良平 : D嬢の像 1962

小磯良平(1903~88)は東京芸大教授をつとめた洋画家、群像で名高いが少女の絵もたくさん描いている、この絵も、目の周りの表情がすばらしく、少女という存在のこのうえない美しさが描かれている

 

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27 五味文彦 : YOUKO Ⅳ 2016

五味文彦1953~は写実の画家、人物だけでなく動物や静物の描写にも優れた人、たとえばドガやボルディーニの描く人物にはすべて動性があるが、五味の描く人物は、静謐で端正な趣がある

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28 高橋和正 : Evening Scene 2011

高橋和正1982~は写実の画家、白日会展、ホキ美術館などで発表、女性画を多く描く、この絵は、窓際で光をほぼ真横から受け、淡い夕陽に照らされて輝く顔が美しい

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31 木原和敏 : 感 2014

木原和敏1958~は写実の画家、第87回白日会展で総理大臣賞、日展審査員も務める、女性画も多いが、どれも何か仕草をしていて、その仕草がとてもいい、この少女も後頭部に髪の感触を「感」じながら、ピンを止める位置を探っているのだろう、表情からもそれが分る