[今日の絵] 1月前半

[今日の絵] 1月前半

1 Vermeer : ギターを弾く少女 1672

音楽する人は、絵に多く描かれた主題、人の感情に特有なものが体勢や表情に現れるからだろう、フェルメールの描く少女は曖昧な表情が多いがこれは違う、とても嬉しそうで明るく、恋人が横にいるのかも、彼女の指や視線からも音が鳴っているのが分る

 

2 Rose Adélaïde Ducreux : Self-Portrait with a Harp 1791

ローズ・アデレード・デュクルー1761-1802は、マリー・アントワネット肖像画家だったジョセフ・デュクルーの娘、画家でも音楽家でもあった、これは明るく自信にみちた自画像、「どう、私は絵も描けるし楽器も弾けるのよ」と表情が言っている

 

3 Jean-Antoine Watteau : 愛の賛歌 1717

アントワーヌ・ヴァトー1684-1721はフランスのロココ時代の画家、音楽をしている絵も多い、この絵もタイトルから分るように、音楽は恋と関係がある、恋した女性の窓の下で男性が「セレナーデを歌う」ように、音楽はまず恋とともにある

 

4 Nicolás Megía Márquez : サラマンカ出身の18世紀の学生1880

ニコラス・メギア・マルケス1845-1917はスペインの画家、折衷的なリアリズムといわれている、この絵は「18世紀の学生」だから画家と同時代ではない、本もあまりなく勉強家ではないのか、私は『ファウスト』の学生酒場に集まる学生やメフィストを想い出した

 

5 Richard Bergh : After the Pose 1884

リッカルド・ベリ1858-1919はスウェーデンの画家、パリ万国博1889のスウェーデン展示の部でグランプリを得た、この「休憩が済んで」は親子あるいは先生/生徒であろう、娘が踊り子で父がヴァイオリンを弾くのか、練習はたぶん厳しい、娘は疲れたような表情と体勢だ

 

6 Balthasar Denner ;:チェロを弾く若い女

バルタザール・デンナー1685-1749はドイツの画家、チェロは楽器が大きいので、自分の体で抱きかかえるようにして保持する、それが演奏者に独特の体勢と表情を生み出す、この女性は背筋を反らして、やや遠くを見ている

 

7 Modigliani : The Cellist 1909

チェロを弾く時、楽器の弦の太く長い線が縦方向に流れ、水平に大きく弓がクロスし、さらに腕、肩、顔の線が大きな弧を描いて、全体が美し幾何学的な構成になる、この絵ではさらに顔の瞑想的な表情がいい

 

8 Sir John Lavery : The Cello Player 1929

ジョン・レイヴリー卿1856-1941は英国の画家、肖像画が多いが戦争の絵も描いた、この絵は、ぐんと伸ばした腕と踏ん張った足に力が入っており、こちらを向いた視線も鋭く、全体に力感が溢れて、アスリートのような美しさがある、これもチェロ奏者ゆえ

 

9 Robert Bereny : Woman Playing Cello1928

ロベール・ベレニー1887-1953はハンガリーの画家、ハンガリー表現主義キュビズムを導入した、これは彼の二番目の妻イータ、サンダルからして自宅か、赤いドレスがいい、チェロを抱え込んで下を向き、夢中で弾いている、弦や弓を持つ指先が緊張し、幾何学的に拡がる身体が美しい

 

10 Nils Landmark Solberg : Ann with cello 1955

ニルス・ランドマーク・ソルベルク1920-55はノールウェー系の南アフリカの画家、34歳で亡くなったが、すぐれた人物画を残した、このアン1925~は彼の妻と思われる、体をか傾けてエンドピン(脚棒)を直している、人の身体だけでなく楽器そのものも美しい

 

11 Lilla Cabot Perry : The Beginner (Margaret Perry) 1886

ペリー1848-1933はアメリカの画家、ピサロ、モネ等の友人でもあり、日本にも滞在、三人の娘など家族をたくさん描いた、これは9歳の長女のマーガレット、「初心者」というタイトルのように、緊張している感じ、子供にはヴァイオリンはかなり大きい

 

12 Wandalin Strzałecki : Violinista 1874 ヴァンダリン・ストツァウェツキ1855 -1917はポーランドの画家、人物画などを描いたが、1885には精神疾患と診断され、施設に収容されて一生を終えた、この絵は19歳の時だが、代表作かもしれない、少年は悲しげで音楽する喜びはまったく感じられない、犬も猫も辛そう

 

13 Munch : Girl at the Piano 1886

服装からして、ピアノを弾いている女性は上流階級かもしれない、だがムンクの多くの絵と同様、全体の雰囲気が暗い、ピアノを弾くことは彼女にとって喜びではなく苦悩なのかもしれない

 

14 Boldini : Woman at a Piano 1879

ボルディーニの絵はどれも身体の動性がすごいが、これもそう、彼女は弾きながら歌い、身体だけでなく、ピアノの上の崩れ落ちそうな本、歪んだ楽譜、散乱した衣服、絨毯の花模様など、音が鳴り響きながらあらゆるものに動きがある

 

15 Joseph-Marius Avy : The Ladies' Ball 1903

ジョセフ-マリウス エィヴィ1871-1939はフランスの画家、優美な女性たちをたくさん描いた、この舞踏会は女性だけ、そういう舞踏会があるのか、それとも部屋からするとリハーサルなのか、踊っている女性、ピアノを弾いている女性、どちらも動きと表情がいい

 

16 Harriet Backer : 我が家 1887

ハリエット・バッケル1845-1932はノルウェーを代表する女性画家、落ち着いた室内の人物などを描いた、この女性はピアノもヴァイオリンも弾くのだろうか、人間やピアノだけでなく、光の当たり方など部屋全体が美しい

 

17 Ernst Ludwig Kirchner : 月夜の音楽家1924

キルヒナー1880-1938はドイツ表現主義の画家、勢いのある裸婦画などを描いた、ナチスの退廃芸術展に自分が32点も出展され、ショックで自殺、彼の画はどれも特有の色彩感が魅力で、この「月夜」も夜にしては明るい

 

18 Picasso : L’ Aubade 1965

Aubadeとは、朝、家の前で行われる「表敬奏楽」のこと、これは朝、夫が妻の前で管楽器を吹いているのだろう、妻の気持ちよさそうな表情がいい、愛のある夫婦、83歳のピカソはこんなに瑞々しい絵を描くのだ

 

19 Damian Lechoszest : Melody

ダミアン・レチョスト1976~は現代ポーランドの画家、少女を実に生き生きと描く、この「メロディー」も、わずか3歳くらいの少女が、鍵盤を指で一つ一つ押しながら、おそるおそるポツポツ、音が繋がるメロディーを「作っている」

 

20 An He

アン・へ1957~は中国に生まれ、1985年に米国に移住、優美な女性を描く、この絵は、古い鍵盤楽器を弾いている女性、身体全体の体勢、白いドレス、腕から横に伸ばした手と指、顔の向きと表情がよくバランスし、こげ茶色のドアと楽器の線型、右上の灯りという全体が静かに均衡している