[今日の絵] 10月後半
17 Velázquez : Head of Child 1650
子どもが絵の主題になるのは、大人と違う美しさをもっているからだ。だが子供を描くのは、大人以上に難しい。おとなしく座っていないし、類型化されない「その子だけの美しさ」は、大人の美以上に捉えるのが難しい。この絵は子どもを描いた超名画、目が素晴らしい
18 Dürer : The Christ Child Holding the Orb 1493
「球を握る子キリスト」だが、実在の子供がモデルだろう、水彩画、親しみを感じさせる顔で、斜めの視線がいい、そこらへんに居そうな可愛い坊やだが、よく見ると大人のような知的な表情でもある
19 Rubens : Portrait of a married couple with child ca. 1610 部分
結婚している知人夫婦と一緒にいる子、ルーベンスの描く男の子はどれも、おっとりしたお坊ちゃまだ、服といい、とても裕福な家なのだろう、幸福そうだ
20 Hals : Child with soap bubble 1625~49
「しゃぼん玉」で遊んでいる少年、やんちゃな男の子なのだろう、ハルスの描く人物は、子ども、大人関係なく、生き生きした表情をしている、子どもの笑顔はいつ見てもいい
21 Thomas Gainsborough : Cottage Girl with Dog and Pitcher 1785
トマス・ゲインズバラ1727~88はイギリスの肖像画家、現在では彼の肖像画は高く評価されている、この絵はたぶん、彼が泊まった「田舎小屋の少女」、でもこの少女は美しく可愛らしい、しかも強さもある、ぼろ服だが魅力的な田舎の少女
22 Henry Le Jeune : Early Sorrow 1869
アンリ・ルジューヌ1819~1904は英国の画家で子どもや家族を描いた、タイトルからすると、少女が悲しんでいるが、おそらく大人に叱られたのではなく、恋の悩みやペットの死など、愛の喪失を初めて経験したのではないか
23 Gaspare Diomede della Bruna : Seated Girl with Jug 1882
作者1839-1915はイタリアの画家、ブグローや、昨日のゲインズバラなど、18~19世紀に描かれた少女はよく水瓶を持っている、井戸から水を汲み、室内の様々な場所に運び、容器に入れるのは、上流階級は別として少女の仕事だったのか、この少女も、楽しそうではないが、瓶は手慣れた感じ
24 Renoir : Child with a Whip1885
少女のように見えるが、グージョン博士の末息子で当時5歳、18世紀頃の上流階級では、小さな男の子にスカートをはかせることがあったそうだが、この絵もその流れか、たしかに可愛い、だが「鞭を持っている」のはなぜだろう
25 James Hayllar : A pause from reading1890
ジェイムズ・ヘイラー1829-1920は英国の画家、少女や家族をたくさん描いた、小さな子どもは読書に長時間の集中はできない、しばしば「お休み」が必要、この少女の手にあるのは絵本ではなく、文字の詰まった革表紙の本のようだ、聡明な少女なのか
26 Cezanne : Child in a Straw Hat 1896
セザンヌの描く人物の眼は、遠くを見ているようでもあり、近くを見ているようでもある、子どももそうなので、「赤いチョッキの少年」もこの少年も、どこか大人のような瞑想的な印象を受ける
27 Picasso : Child Seated in an Armchair 1901
ピカソの「青の時代」1901~4の絵は、人物の表情が静的で少し悲しげにみえる、この子も、子どもにしては、手の置き方、座り方など落ち着いて、顔の表情もやや大人びている、他の画家の子どもの絵と比べると、あまり子どもらしくないとも言える
28 Valentin Serov : マルガリータ・モロゾワの息子ミカ1901
作者1865~1911はロシアの画家で、肖像画の評価が高い、この絵も、行儀の悪い座り方、活発な表情など、昨日のピカソの絵とはちがって、いかにも子どもらしい、椅子の後ろに袋が掛けてあるが、奥行きの深いこのような子ども用の椅子があったのだろう
29 Philip de László:His son Stephen 1912
作者1869~1937はハンガリーの画家、王族や上流階級の肖像画で名高い、これは彼の5人の息子の一人で三男のステファン、当時8歳、いかにも上流階級のお坊ちゃまに描かれているが、カップをこぼしそうで、行儀作法はまだ子どもか
30 Mogdiliani : The Blue-eyed Boy 1916
モディリアーニは、ごく僅かの線と色彩で、その人物の個性を完全に表現する、この絵も、この少年の繊細な美しさが印象的だ
31 Grant Wood : チェックのセーター 1931
グラント・ウッド1891~1942はアメリカの画家、身体の造形力に定評がある、この絵は少年の表情がすごくいい、誇らしげで強そう