[今日の絵] 9月前半

[今日の絵] 9月前半

1 Andrea Mantegna:聖マルコ1448

マンテーニャ1431~1506はイタリア・ルネサンス期に、パドーヴァで活躍した画家、この絵は残された絵で一番若い時のもの、窓の欄干に左肘をついており、親指は顎を押さえている、「聖人」にしては意外な姿勢で、顔も面白いオジサンという感じだ

 

2 Adriaen Isenbrandt : ロザリオを持つ青年

アドリアン・イーゼンブラント1490頃~1551はオランダの画家、宗教画や肖像画を描いた、この絵は代表作の一つだが、かすかに不安を感じているような表情が、繊細に描かれている

 

5 レンブラント:自画像1650

レンブラント1606~69は生涯に自画像をたくさん描いているが、若いときのものを除くとどれも、深い<疲れ>のようなものを感じさせる、画家である自分を懐疑しているのか、最後まで、画家である自己に百パーセントの自己肯定感を持てなかったのか

 

6 Orest Kiprensky : Newspaper Readers in Naples 1831

オレスト・キプレンスキー1782~1836はロシアの肖像画家、プーシキンの絵など有名、イタリアにも滞在、この絵は、左側の男が新聞を読み上げ、他の三人が熱心に聞いているが視線はバラバラ、重大事件なのか、彼らはナポリ在住のポーランド人らしく、政治的事件なのだろう

 

7ゴッホ : ウジェーヌ・ボックの肖像(別名「詩人」)1888

ウジェーヌ・ボック1855~1941はベルギーの裕福な実業家の出身で、画家・詩人。ゴッホを経済的に援助した友人。ゴッホはボックを「ダンテを思わせるような風貌の持ち主で、オラニエ公ウィレム1世時代のフランドルの紳士貴族を連想させる」 と評したとか

 

8 Cezanne : Peasant 1891

セザンヌの人物画はどれも表情に深みがあるように感じられる、線よりは色彩で「形態」を表現しているからだろうか、この絵も「農夫」だが、「素朴」「朴訥」という感じではなく、その表情に深い「精神性」のようなものが感じられる

 

9 Picasso : The suicide (Casagemas) 1901

ピカソが19歳のとき、友人のカルロス・カサヘマスは失恋の悲しみで自殺、その額にはピストルの痕があるが、顔は眠っているようにも見える、意図的にそのように描いたのだろう

 

10 Thomas Eakins : Selfportrait 1902

エイキンズ1844~1916はアメリカの画家、彫刻家、写真家で、写実を追究し「アメリカ近代美術の父」と呼ばれることも、解剖を描いた「グロス・クリニック」が代表作、この絵も、自分を美化することなく「ありのまま」を描いたのだろう

 

11 Serebriakova : Portrait of a son Alexander 1925

セレブリァコワ1884~1967はウクライナ生まれのロシアの画家、家族をたくさん描き、どの絵も描かれた人物への愛情に溢れている、これは息子のアレクサンドル、まだ十代だろう、当時彼女は、夫の亡きあと4人の子供を必死で育てていた

 

12 Balthus:Self portrait 1940

バルテュス1908~2001といえば少女の絵ばかり有名だが、これは自画像、対象を見詰める鋭い視線、絵筆や布を握る手など、絵を描くまさにそのときの画家の様子がみごとに表現されている