[今日の絵] 2月後半

[今日の絵] 2月後半

 

15 Rembrandt Peale : 自画像 1828

レンブラント・ピール1778–1860はアメリカの画家、ワシントンやジェファーソンの肖像画が有名、奇妙な名前だが、父が画家だったので子供をそう名付けた、子供も画家になったのだから、この名前は負担だったのでは、自画像はそう言っているような気がする

 

16 John Peter Russell:ゴッホの肖像1886

ジョン・ピーター・ラッセル1858~1930はオーストラリア出身、フランスで活動した画家、ゴッホマティスと親交があった、ゴッホは自画像がたくさんあるが、このゴッホは少し感じが違う、このときゴッホは33歳、意外に端正で神経質な感じに描かれている

 

17ゴッホ : ガシェ医師1890年6月

ガシェは精神科医で、同年5月にパリ近郊のオーヴェールにゴッホを招いた。ガシェ一家と親しくなったゴッホは、それから2か月間に80枚もの絵を描いた。そして7月29日に拳銃で自殺。ゴッホはガシェをとても信頼しており、ガシェ自身も憂鬱気質だったといわれる

 

18セザンヌ:Joachim Gasquet 1897

ジョワシャン・ガスケ1873~1921はセザンヌと同郷の詩人で、晩年のセザンヌと親交があり、回想録も書いている。セザンヌの人物画は姿勢に安定感があるが、この絵は珍しくバランスがやや不安定、しかしガスケという人がどんな感じか一目で分る肖像画の傑作だ

 

19 Serebriakova : Portrait of Boris Serebryakov 1913

ジナイーダ・セレブリャコワ1884~1967はウクライナ出身の画家、1910年に従兄弟と結婚、だからこれは夫、しかし夫は1919年に病没、彼女は貧困に苦しみつつ4人の子を育てた、セレブリャコワの多くの人物画と同様、この絵も目はしっかり鑑賞者を見ている

 

20 Modigliani : Viking Eggeling 1916

描かれているヴィキング・エッゲリング1880~1925は、スウェーデン出身の映画作家でパリでモディリアーニと知り合った、写真を見ると鼻が高いが、この絵でも顔の特徴が見事に描かれている

 

21 Vasily Tropinin : Girl with a candle 1840

「少女」は数多く絵画に描かれた主題だが、画家には、大人の女性よりも描くのが難しい、少女は子どもと大人の中間の存在だからだろう、ヴァシリー・トロピニン1776~1857はロシアの画家、最初はモルコフ伯爵家の農奴だったが菓子職人になり、絵を多く描いた、人物画に優れている

 

22 Makovsky : Girl with Jug 1880

コンスタンティン・マコフスキー1839~1915はロシアの印象主義の画家だが、もっとも優れた人物画家の一人だと思う、この「水差しをもつ少女」も、顔の表情はもちろん手つきまで、少女らしさが見事に表現されている

 

23 Pissarro : 小枝を持つ少女1881

風景画に比べるとピサロの人物画は少ないが、これは農村の少女、ぼんやりとつまらなそうな表情だ、一般に少女の画は幸福そうに描かれることが多いが、これは違う、ピサロの描く女性はきつい表情が多く、ルノワールと違って、あまり幸福そうには見えない

 

24 Renoir : Portrait of a Young Girl 1887

油絵ではなく紙にパステル画、少女に限らずルノワールの描く女性は、みなふっくらしている、現実には痩せた女性も多くいるはずだが描かれない、これはルノワールの美意識なのか、ファッションモデルにツイッギーが登場したように、画家も鑑賞者も美意識は時代に依るのだろう

 

25 Bouguereau : The dressmaker 1898

ブグローの描く女性は、どこか神話的で夢想的な美しさがあるが、この「服を縫う人」と題された裸足の少女は、現実世界にいそうな少女だ、だが顔は端正で農村の娘という感じではないし、裸足なのに全体としてあまり生活の匂いがしない

 

26 Daniel F. Gerhartz : 窓辺の読書

ダニエル・ゲルハルツ1965~はアメリカの画家、印象派の影響を受けた画風で、少女をたくさん描いている、体温あるいは暖かさを感じさせる独特の重厚さが美しい、これは少女のもつ生命感の美しさなのかもしれない

 

27 William Oxer

ウィリアム・オクサー1973~は現代イギリスの画家、女性画が多く、シャープな性的美しさを前景化する絵が多い、この絵も、おそらく少女だが、その視線などに、少女というよりは大人の女性の凛とした美しさを感じさせる

 

28河野桂一郎:NAZUNA No.2 白日会会員選抜展 2021年6月

河野桂一郎1966~は写実の画家、モデルは自分の娘が多いように思われるが、少女という存在に固有の、内側から輝くような生命感が表現されている