[今日の絵] 7月後半

[今日の絵] 7月後半

17 Élisabeth Vigée-Lebrun : Lady Hamilton as the Persian Sibyl 1792

ルブランはマリー・アントワネット付きの宮廷女性画家、この絵はフランス革命後、描かれているのは貴族ハミルトン卿の妻エマ1765-1815、「古代ペルシャの巫女」の恰好をしている、独特の上目遣いもやや巫女的で神秘的

 

18 Carl Peter Goebel (父) : Rosalia Klieber, the wife of the sculptor Josef Klieber 1819

ゲーベル(父)1791-1823はオーストリアの画家、同じオーストリアの彫刻家ヨゼフ・クリーバーの妻を描いた、彫刻家の妻は若くて美しい、顔の輝きと澄んだ眼差し

 

19 Peter Fendi : Damenporträt 1830

フェンディ1796-1842はオーストリアの画家、これは上流階級の若い女性だろう、やや遠くを見つめる眼差しと顔の調和が美しい

 

20 Ary Scheffer:Portrait of a woman

アリ・シェフェール1795-1858はオランダ出身のフランスの画家、「冷たい古典主義」と呼ばれるスタイルで知られる、この絵は、額、瞳、鼻先、唇など、光の当たり方が絶妙

 

21 William Bouguereau : Tricoteuse Bretonne 1871

「編み物をするブルターニュの女性」、遠方に半島と海と舟が見えている、ブグローの描く女性はみな同じような顔をしており、一目でブグローと分る、実在の女性の忠実な写実ではなく、つねに彼にとって理想化された女性を描いているのだろう

 

22 Ilya Repin : Portrait of Chuguev resident S.L. Lyubitskaya 1877

この女性はウクライナハリコフ州「チュフイフ在住」なのだろう、レーピン1844-1930も同じくチュフイフ出身の画家、彼の描く人物画はどれも、当の人間個人を深く正確に捉えている

 

23 Ilya Repin : The blonde woman (portrait of Tevashova) 1898

レーピンの人物画はどれも素晴らしいので、昨日に続いてもう一枚、21年後だが、二枚を比べると画家自身の「円熟」を感じさせる、髪、顔、衣服、ショール、ソファーの質感・調和・存在感、人間とは何と美しい!

 

24 Gustave Jean Jacquet : Woman in a Black Beret

ジャケ1846-1909はフランスの画家で、ブグローの弟子、ブグローと同様、繊細で美しい女性画を描いた、この「黒いベレー帽の女性」は上流階級の女性だろう、帽子と服装のバランス、知的で深みのある表情が美しい

 

25 Alfred Guillou : La bonne du Finistère

タイトルは「(フランス・ブルターニュ地方)フィニステール県の女中」、可愛い少女だ、ブルターニュ風の[たぶん]服装がよく似合う、アルフレッド・ギュー1844-1926はフィニステール県の港町コンカルノー生れの画家、郷土の人々をたくさん描いた

 

26 Eugen von Blaas : Portrait einer jungen Frau 1932以前

フォン・ブラース1843-1931はイタリア生まれのオーストリアの画家、庶民の女性たちの生き生きした姿をたくさん描いた、この女性は気品があり、たぶん中産階級以上だろう

 

27 Tosca Barteau Olinsky : A Young Lady

トスカ・オリンスキー1909-84はアメリカの女性画家、彼女の父も画家で、父娘とも、キュビズムや精密技法などさまざまな表現様式を摂取し総合した、この絵は写実的で、いかにもアメリカ人らしい若い女性の、凛とした表情が美しい

 

28 Fabian Perez : The Muse (部分)

ペレス1967~はアルゼンチン生まれの現代画家、わざわざ「ミューズ」と題されたこの絵、描かれるのは普通のいかにも現代女性だが、画家はそこに理想の女性美を見ているのか

 

29 Daniel Gerhartz :  

ダニエル・ゲルハルツ1965~は現代アメリカの画家、女性の美しい体勢を描く人、この絵は顔中心だが、ほんのわずかに下向きな視線、顔の左右非対称性、絶妙な陰影、リボン、服、花との調和が美しい

 

30 Iman Maleki :

イマン・マレキ1976~は現代イランの写実画家、この少女はまぎれもなくイラン人の顔、へジャブがややルースなのは彼が近代主義者だからか、それともこの程度は髪を見せるのが普通なのか

31 Damián Lechoszest : Aisha 2020 

ダミアン・レチョスト1976~はポーランド生まれの写実画家、肖像画がすばらしく、やや下方からの光による陰影は、絶妙に美しい