[今日の絵] 12月後半

[今日の絵] 12月後半

14 Jean-Marc Nattier : Portrait of a lady 1750 

フランス革命以前のロココ時代の絵、ナティエ1685-1766はルイ15世時代の肖像画第一人者、この顔はほとんど真正面で、描くのが難しいのだが、ナティエは真正面の画が多く、どの表情も凛とした上品さが美しい

 

15 Élisabeth Vigée-Lebrun : Porträt der Luise von Preußen (1770-1836), Ehefrau von Anton Radziwiłł (1775-1833)1802、ルブランはマリー・アントワネット付きの女性画家、フランス革命後も貴族の肖像を描いた、この女性はプロイセンの貴族だろう、32歳だが若々しく瑞々しい

 

16 Natale Schiavoni : La Bellezza 1842

タイトルは「美」あるいは「美女」、斜めからぴたりと「目が合い」、鑑賞者はしっかり彼女に見つめられている、この視線が魅力の源泉か、ナターレ・スキアヴォーニ1777-1858はイタリアの肖像画

 

17 Lars Hansen : The Dean’s daughter

タイトルは「長老(村長)の娘」か、ずっしりと木の枝を背負っているから田舎だろう、彼女はある種の<強さ>を感じさせて美しい。ラース・ハンセン1813-72はデンマークの画家

 

18 Anton Einsle : Female Portrait 1847

名前はないが、<気位>を感じさせるこの女性はおそらく貴族、シラーの<優美と品位>という観点からは、やや<品位>寄りか。アインスル1801-71はオーストリアの画家で宮廷や貴族を描いた

 

19 Jozef Van Lerius : Girl from Dalarne 19Ce

「ダラルナ」はスウェーデンの地方名、レリウス1823-1876はベルギーの画家で、この女性は北欧系のクールビューティ、大きくはないが澄んだ眼には端正な美しさがある

 

20 Henry Guillaume Schlesinger : the Girl by the Window

アンリ・ギヨーム・シュレジンジャー1814–93はドイツ生まれのフランスの画家、表情豊かな女性画をたくさん描いた

 

21 William-Adolphe Bouguereau : 1879

真正面の顔を描くのは難しいのだが、ブグローの女性画は真正面が多い、眼差しの中心点が光り、視線が鑑賞者を貫く感じがある

 

22 Lord Frederic Leighton : Biondina 1879

イタリア語のBiondina は「金髪の少女」という意味、サー・フレデリック・レイトン1830-1896は貴族でもあったイギリスの画家、官能的な女性画が多いが、これは少女らしい端正さがある

 

23 Jean-François Portaels:The women in oriental dress

タイトルからすると複数の女性が描かれているのか、この女性は、鑑賞者を見る鋭い視線、逞しい腕、ヘッドラップ、耳・首・腕の飾り、服の色彩など、上半身の動性的均衡が美しい。ポルタエルス1818-95はベルギーの風俗画家、異国風の女性を描いた

 

24 Sophie Anderson : Woman with necklace

素朴な「ネックレス」だから庶民の女性だろう、たぶん十代か、やや遠くを見ている眼が美しい。ソフィー・アンダーソン1823-1903はフランス生まれの英国の女性画家、眼の美しい少女の絵をたくさん描いた

 

25 Gabriel von Max : Portrait of a Nun 1915

修道女の、斜め上をぐっと見詰め、神に向かう視線の強さが美しい、強い信仰を感じさせる。マックス1840–1915はプラハ生まれのオーストリアの画家、人や猿を描き、斜め上をキッと見詰めている女性も多く描かれている

 

26 Ivan Olinsky :

顔はやや横向きだが視線はストレートに鑑賞者を見ている、顔、肩、左手と斜め下に真っすぐ伸びた直線性など、身体全体の凛とした三角形の体勢が美しい、オリンスキー1878-1962はウクライナ生まれでアメリカの画家、描く女性はすべて凛としている

 

27 Albert Lynch : Portrait of a woman

誰の近所にも普通にいるような女の子を描いたのかもしれない、それがこんなに瑞々しく美しい。アルベール・リンチ1861-1950はフランスとベルギーで活動した画家、女性をたくさん描いた

 

28 Cesar Santos : 親密な衣服 2010

やや斜めからの視線でじっと見つめる表情が美しい、衣服の紐や左肩が傾いているが、上半身の中央にまっすぐな軸があって、直線が貫く体勢が快い。セザール・サントス1982~はキューバ系のアメリカ人画家、女性画が多い

 

29 Ken Hamilton :

ケン・ハミルトン1956~はアイルランドの画家、女性の顔のアップをたくさん描く人、顔や視線の傾きがこの絵と同様の絵が多く、おそらく彼にとって、それが女性の一番美しい表情なのだろう

 

30 Piotr Topolski :

ピョートル・トポルスキー1960~はポーランドの画家、古典的な手法で描く人で、女性の顔のアップをたくさん描いている、端正で瑞々しく美しい

 

31 Damian Lechoszest :

ダミアン・レチョセスト1976~はポーランドの画家、「ヨハネ・パウロ2世の肖像」の他に、少女もたくさん描いている、斜め下から照らすランプや蝋燭の光が、シャープな表情をつくり出す