[今日の絵] 6月後半

[今日の絵] 6月後半

16 Victor Gabriel Gilbert : Elegance on a rainy day

都市は絵によく描かれる主題だが、雨の光景も多い、光の反射などで人も街も美しいからだろう、ヴィクトール・ジルベール1847~1933はフランスの画家、生涯をパリで過ごしパリの人々をたくさん描いた、これは19世紀末と思われるが、傘をさして歩く女性もエレガント

 

17 Victor Gilbert : La Marchande des quatre-saisons, rue Mouffetard (Paris)

パリのよい絵が多いので、昨日と同じヴィクトール・ジルベールを、タイトルは「パリ、ムフタール通りの野菜売り」、少し坂になっており、雨が上がったばかりか、野菜は新鮮なのだろう、色美しく手前に浮き出して見える

 

18 Lesser Ury : Tiergartenstraße, Berlin 1927

レッサー・ユリィ1861~1931はドイツの印象派画家、パリで学んだが1887年以降は終生ベルリンで活動、内向的で猜疑心の強い人だったと言われる、これはベルリンの「ティーガルテンシュトラーセ(=動物園通り)」、人も車も多く、美しい通りだが、どこか寂しい

 

19 Edouard Cortes : Rue de Lyon

エドゥアール・コルテス1882~1969はスペイン人だがパリをたくさん描いた人、「リヨン通り」はパリのリヨン駅からバスティーユ広場に向かう通り、右側の女性たちなど、パリを歩いているというだけで美しい、傘もさしている人は少なく大雨でないとささないのか

 

20 Steve Hanks : Waiting in the Rain

ティーブ・ハンクス1949~2015はアメリカの画家、女性の絵をたくさん描いている、自分の立場を「感情的リアリズム」と呼んでいる、この絵も、水たまりの雨滴が印象的で、「雨の中で待っている」女性はどこか悲しげ、彼氏が来ないのだろうか

 

21ピーター・ブラウン : 雨のバース寺院

ブラウンは、1967生まれのイギリスの印象派画家、バースはイギリスのブリストル市に近い町で温泉で有名、この絵は、古い町の建物、左側の店の大きなショーウィンドウ、雨に濡れた路面、そして行き交う人々の配置がとても美しい

 

22 ドミトリ・デニッシュ:夕方のヴェネチア

画家1966~はウクライナの生れ、都市の絵をたくさん描いており、ヴェネチアは特に好きなのだろう、あの狭い通路を挟んで両側のアパートにびっしり人が住んでいるのは、独特の雰囲気があり、雨の夕方に小さな店の光が灯ると、何ともいえず愛おしい

 

23 Howard Roberts

ハワード・ロバーツ1922~2001はイギリスの画家、町や家の絵を描いた人、自動車の形からして現代の街だ、ひょっとして彼が生まれ過ごしたウェールズの都市カーディフ

 

24 Marten van Cleve : Kitchen Interior 1565

今日からは「台所の料理シーン」、マルテン・ファン・クリーフ1527-1581はオランダの画家、興味深いことに18世紀以前の「台所の料理シーン」の絵は教会に飾った為か、イエス・キリストと関連付けられるのが多い、この絵では左側のドア奥が、ルカ伝の「マルタとマリアの家のキリスト」

 

25 Joachim Beuckelaer : The Four Elements: Fire. A Kitchen Scene with Christ in the House of Martha and Mary in the Background 1570

ヨアヒム・ブーケラー1533~75はフランドルの画家で、市場やキッチンシーンをたくさん描いた、この絵も生き生きしたキッチンシーンだが、左ドアの奥にキリストが

 

26 Velázquez : Kitchen Scene with Christ in the House of Martha and Mary 1618

ベラスケス1599-1660のキッチンシーンの絵には、料理する若い娘と指示する老婆の他に、たぶん鏡だろうか、キリストとマルタとマリアが映っている、あるいはこちらは絵かもしれない

 

27 Jehan Georges Vibert : The Marvelous Sauce 1890

ジャン・ジョルジュ・ジベール1840–1902はフランスの画家、几帳面な写実画を描いた、この時代のキッチン・シーンにはもはやキリストはいない、むしろこの絵は枢機卿を茶化している、普段は料理などしない枢機卿が張り切って料理したが「とんでもない味のソース」ができた?

 

28 Laurits Andersen Ring : Food Distibution 1887

ラウリッツ・アンデルセン・リング1854~1933はデンマーク象徴主義の画家、労働者や農民の仕事や生活などを描いた、「食料の分配」を受ける人々がドアのところに並んでいる、貧しい人々なのだろう、表情も険しい

 

29 Léon Frédéric : The Three Sisters 1896

レオン・フレデリック1865~1940はベルギーの象徴主義の画家、農民、労働者、子どもの絵をたくさん描いた、料理人などいない普通の家庭では、ジャガイモの皮むきなどは子どもの仕事だったのか、この庶民の三姉妹は、衣服も仕事ぶりも生き生きとして可愛い

 

30 Stéphanie Lavanan : Kitchen 3

ステファニー・ラヴァナン1975~は現代フランスの画家、人物を個性的に描く人、これはパリのレストランのキッチンだろうか、よく整理されていて清潔な感じだ、そして働く人の表情がよく分る、右側の女性は黒人か、現代フランスは白人だけの国ではない