[今日の絵] 5月後半

[今日の絵] 5月後半

15 children riding a dromedary (Arabian camel)

今日から「子どもたち」の絵を、まずイスタンブールの大宮殿モザイク博物館にある、6世紀のモザイク画、アラブのラクダに乗っている子どもたち、子どもは黒い鳥を抱えているし、どこかこわばった顔で、可愛くない、遊んでいるのではなく働いているのか

 

16 Velázquez:バルタサール・カルロス皇太子と小人 1631

右側のカルロス皇太子は2歳、左側は子どもではなく小人(フランシスコ・レスカーノ?)、皇太子の遊び相手もつとめたのだろうか、体の大きさは小さくても、そして服は似ていても、小人の表情は子どもの表情とは違う何かがある

 

17 Rubens : ジェルビエ卿の妻デボラ・キップとその子どもたち1630

有能な外交官でもあったルーベンスは、スペインやイギリスに派遣された、ジェルビエ卿はロンドンでのルーベンスの友人、4人の子供たちは上流階級の気品がある、一人一人の特徴がよく描かれており、ルーベンスの描く子どもは可愛い

 

18 Murillo :メロンとブドウを食べる少年たち1650

ムリーリョ1617~82はバロック期のスペイン画家、子どもや女性を含めて人物を生き生きと描いた、本作は服装からしストリートチルドレンらしい、メロンを頬張った感じ、ブドウを口に入れる嬉しそうな表情など、久々においしいものを手に入れたのか

 

19 William-Mosman : マクドナルド卿兄弟1749

ウィリアム・モスマン1700~70は英国の画家、王侯貴族の絵を描いた、貴族マグドナルド卿の子ども、左は4歳、右は8歳の兄弟、昨日のムリーリョの絵と比べても分るが、上流階級の子どもたちには落ち着いた雰囲気がある、厳然とした階級社会

 

20 David Allan :ジョン・ハルケット卿とその家族1781

デビッド・アラン1744~96はスコットランドの画家、風俗画や肖像画を描いた、ハルケット卿は子だくさんで幸せそう、二家族くらい一緒なのか

 

21 Honoré Daumier : Woman and Child on a Bridge 1848

オノレ・ドーミエ1808~79はフランスの版画家にして油彩画家、生前は油絵はほとんど公開されなかったが、パリの庶民の生活をたくさん描いている、列車内や洗濯女など有名だが、全体に暗めの絵が多い、この絵も影が濃い

 

22 Pierre-Edouard Frère : La Petite Cuisinière 1858

フレール1819~1886はフランスの画家、村の日常生活の中の子どもたちをたくさん描いた、この「小さな料理人」のように、子どもは子どもとして学んだり遊んだりするよりは、大人と同じように仕事をする時間が長かったのだろう、現代の子どもたちとは違う

 

23 Seymour Joseph Guy : Danger Consciousness 1865

子どもには、大人にはない快活さがある、崖っぷちに近づき過ぎた男の子に対して、後ろから、「ねぇ、ちょっと、危ないわよ」と止めているのか、深刻さがないのが子どものいいところ、シーモア・ジョセフ・ガイ1824~1910は、子どもの絵をたくさん描いたアメリカ画家

 

24 Virginie Demont-Breton : オレンジの木の下で

ヴィルジニー・ドゥモン=ブルトン1859~1935はフランスの女性画家、子どもたちや力強いイメージの母親を描いた、この絵も、オレンジを剥く少女や、しっかりオレンジを手にしている乳児が生き生きと描かれている、地上と枝のオレンジもみずみずしい

 

25 Renoir : 二人の姉妹1881 (détail)

ルノワールの絵でも人気作品、パリ郊外のレストラン、フルネーズで描かれた、いかにもルノワールらしい子どもたちだが、実際の姉妹ではなく、左は、18歳のモデルのジャンヌ・ダルロでその後女優になった、右は、誰か不明だが実際の姉妹ではない幼女らしい

 

26 Gogh : Two Children 1890

ゴッホは89年に耳切り事件で精神病院に入院、この絵は1890年6月にオーヴェルで描かれた、そして7月29日に自殺、ほぼ最後の作品群の一つ、年少の子どもなのだろうが、「子ども」という存在の存在感が極限まで描かれて、力がみなぎり、「可愛いらしさ」とは違う凄みがある

 

27 Vigo Johansen : 春の草花を描く子供たち1894

ヴィゴ・ヨハンスン1851~1935はデンマークの画家、暖かみのある家庭の室内画をたくさん描いた、どの絵にも子どもたちがいる、この絵では、どの子どもも真剣に描いている

 

28 Rudolf Epp : Peeling Pears

ルドルフ・エップ1834-1910はドイツの写実主義の画家、家族の画が多い、これは貧しい家庭なのだろう、同様の、幼い姉妹に母親らしい人が「リンゴの皮を剥く」絵もあるので、これも、「梨の皮を剥いて」渡すのは母親だろう、妹が手を伸ばすのを見詰める姉と母の視線が優しい

 

29 Munch : The Four Sons of Dr. Linde, 1903

セザンヌが言ったように、人間の顔や身体にはその人の過去が一杯詰まっている、子どもは、その過去の量が少ないのだろう、だから明るく快活に見える、ほぼ例外なく苦悩を描くムンクでも、子どもには苦悩がほとんど見えない

 

30 F.W.Benson : Calm Morning 1904

ベンソン1862~1951はアメリカの印象派の画家、家族を描いた、この絵はメイン州ノースヘブン島、釣りをする三人の子、左が長女エレノア、中央がジョージ、右がエリザベート、太陽の光で明るく輝くボートと子どもたち、冷たそうな青い海、ボートの緑色の影など色彩が美しい

 

31 Paul Charles Chocarne-Moreau : Choirboys playing croquet

ショカルヌ=モロー1855-1931はフランスの画家、遊んでいる子どもたちをたくさん描いた、とりわけ教会内を描き、祈っているのではなく遊んでいる子どもたちの生き生きした姿が印象的だ、これはクローケーというゲーム、クリケットcricketではない