[折々の写真] 5,6月ぶん

[折々の写真]

5.5トリュフォー突然炎のごとく』、主人公のカトリーヌ(ジャンヌ・モロー)が男たちをからかうために右側のセーヌ川に飛び込む。予定されたスタントマンが怖気づいてしまい、「じゃ、私がやるわよ!」とJM本人が飛び込んだ、「瞬間よ止まれ!汝はかくも美しい!」(ゲーテファウスト』)、「永遠の今」が現出 

 

10『突然炎のごとく』、トリュフォー映画は、「女は男の夢である」(ボーヴォワール)を完璧に映像化した、男は誰もが「理想の女」を表象する。これはマジックで髭を描いたカトリーヌが陸橋を駆け抜けるシーン、男たちが追うが捕まらない、自由な女、最高の女!

 

17 『突然炎のごとく』、男たちを臣下のように従え、ミューズのように自転車で先頭を疾走するジャンヌ・モロー、彼女は「ヒロイン」と呼ばれることはなく(フランス映画の)「ミューズ」と呼ばれる、男がミューズに出逢ったら所有の欲望は雲散霧消、ひたすらオマージュを捧げるのか

 

24 西洋映画最高の女優がジャンヌ・モローだとすれば、日本映画では高峰秀子だろう。成瀬巳喜男浮雲』1955は日本映画の最高傑作だと私は思う、小津は「俺にできないシャシンは溝口の『祇園の姉妹』と成瀬の『浮雲』だけだ」と激賞。『浮雲』は高峰と森雅之の生涯の代表作となった

 

31高峰秀子木下恵介二十四の瞳』1954にも主演、『浮雲』の高峰は、女性性が凛と輝いているが、『二十四の瞳』では女性性に母性がオーバーラップする美しさが輝いている、小学校の新任の女教師・大石先生が、子どもたちや村民の前を自転車で駆け抜けるシーンは二度と忘れられない

 

6.7トリュフォーピアニストを撃て』1960はピアニスト役にシャルル・アズナブールが出演、彼の恋人役はマリー・デュボア1937~2014、終幕、撃たれた彼女は、雪の斜面を丸太のように回転しながら転げ落ちて死ぬ、映画史に残る名シーン

 

 

6.14 濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』2021、チェホフ『ワーニャ叔父さん』のソーニャを演じるパク・ユリム、ワーニャ[西島秀俊]を「さあ私たち、生きていきましょう」と励ます、これは「永遠に女性的なるもの我らを引きて往かしむ」(ゲーテ)といえよう、ソーニャとエレーナの和解シーンも

 

6.21 クラウディア・カルディナーレ1938~は、ヴィスコンティ若者のすべて』1960では21歳、『山猫』1963では貴族の娘、1時間続く大舞踏会が素晴らしい、『熊座の淡き星影』1965ではエレクトラ役、そしてコメンチーニ『ブーベの恋人』1964

 

6.28 『秋刀魚の味』1962、岩下志麻演じる路子(みちこ)が、片想いだった兄の部下が婚約したと兄に聞かされた瞬間、小津が百回撮り直したと言われるシーン、この後、二階の自室に上がるとき涙を弟に見られる、そして一晩中青いスタンドの横で苦しむ、そして路子は家族といるときが一番美しい