[今日の絵] 8月前半

[今日の絵] 8月前半

8.1 7月29日に「マティス展」に行ったので、特に気に入った絵を何枚か。「座るバラ色の裸婦」1935、「眠る女性」1942、「オレンジのあるヌード」1953、マティスは、色彩のバランスもよいが、何といっても「形態」が卓越している

 

2 昨日に続き「マティス展」から、「夢」1935、「窓辺のヴァイオリン奏者」1918、「ヴァンス礼拝堂、ファサード円形装飾《聖母子》」1951、最後など、きわめて単純な「聖母子」の身体が美しい

 

3 Michael Ancher : 海辺の散歩1896

ミカエル・アンカー1849~1927はデンマークの画家、これは代表作の一つ、海を背景に人間が描かれた絵は多い、海の前に立つとき、人間は美しいからだろう、今日からはそうした絵を見てゆく

 

4 Abbott Fuller Graves : 1890年代

グレイブズ1859-1936はアメリカの画家、花に溢れた庭園画を得意とするが、もちろん人間も描く、それも帽子をかぶった女性が多い、たとえばこの絵、大きな客船の船橋に立つこの体勢、この服装の女性は、ただそれだけで美しい

 

5 Gauguin : Fatata te Miti 1892

「ファタタ・テ・ミティ」とはタヒチ語で「海沿い」の意らしい、ゴーギャンは1891年6月に初めてタヒチに旅行した、この絵は実景にもとづいてゴーギャンのファンタジーも加わったもの、海に飛び込む二人の女性の先には漁をする青年、手前の波には美しい葉が浮かんでいる

 

6ホアキン・ソローリャ : 海岸の散歩1909

ソローリャ1863~1923はスペインの画家、肖像や風景を描いたが、とりわけ太陽に照らされた水の近辺にいる大人や子どもが生き生きとしている、この絵も、スックと背筋を伸ばした女性が海辺をさっそうと歩く姿が美しい

 

7 Monet : Garden at Sainte Adresse 1867

まだ無名のモネ27歳の作、細部をくっきりと描く画風の頃、サントゥ=アドレッスはノルマンジー地方の海岸、手前に座っているのはモネの父、その隣の背中の女性は叔母、中央の立つ女性は従妹、幸福な家族を祝福するかのように、遠景の海には、たくさんの船が浮かんで賑わっている

 

8 Laura Knight : At the Edge of the Cliff 1917

海を背景にする場合、水平線の上に空も描くことが多いが、この絵は海面のみで、その様々な青色が特徴的、深みのある海の青色に、スックと立つ若い女性が映える、ローラ・ナイト1877 – 1970は英国の女性画家

 

9 Eustace Pain Elliott Nash : Bathers at Swanage

ナッシュ1886 - 1969は英国の画家、スワネージはイギリス海峡に面した海岸地域、服からして第二次大戦前か、カップル文化の欧州でも、海辺の絵には女子会っぽいのが多い、女子だけの方が男性の視線を気にせずにくつろげるのか

 

11 Paul Gustave Fischer :

フィッシャー1860~1934はデンマークの画家、画家の似たような絵は幾つもあるので海辺の「水浴び」なのだろう、女性だけでひっそりと舟の蔭で休んでいるが、ヌードが美しい、寒い国なので、夏には大切な楽しみなのだろう

 

12 Raoul du Gardier : Larguer les amarres

ラウル・デュ・ガルディエ1871-1952はフランスの画家、海上の船の絵をたくさん描いた、タイトルは「もやい綱を解く」、ふつう海面は均一なので遠近法的には描きにくいが、この絵はヨットのへさきを水平線に向けているので、空間を切り開く力感がある

 

13 Picasso : Portrait of young girl 1936

女性の体の各部分を分離して灰色の螺旋などで表現した、そして、灰色に近いがそれぞれ異なる薄青い海と空、三者のバランスがすばらしい、抽象的でシックなyoung girl

 

14 Branko Dimitrijevic : Breakfast by the Sea

ブランコ・ディミトリエヴィッチ1956~はセルビア生れの風景画家、港が特に好きでたくさん描いた、この絵は海水浴場のホテルのロビーだろう、海を眺めながらの朝食は快適だ、一人で朝食を摂っているこの若い女性は、単独行あるいはお独り様なのか

 

15 Gunin Alexander : 嵐

アレクサンダー・グニン1969~はロシア生まれの画家、女性の絵をたくさん描く、どちらかというと横姿や後ろ姿が多い、この絵も、海の嵐に立ち向かうかのように、スックと立つ女性が美しい