[今日の絵] 8月前半
1 de Vinci : Portrait of Ginevra de' Benci 1474
ジネーヴラ・デ・ベンチはフィレンツェの貴族で、有名な美女だった、彼女の16歳の時の結婚を記念して描かれたと言われている、ダ・ヴィンチの描く人物はとても美しいが、どこか冷たさのようなものも感じられる、観賞者の好みの問題かもしれないが
2 Rembrandt : The Laughing Man, 1630
「笑う男」、レンブラントの描くどの人物も、その人が「生きている!」という強い感じを伴っている、それも動物的エネルギーではなく、内面が深く描かれているので、その人の人格としての「生きている感」が凄い、この絵も然り
3 Franz Winterhalter : サビーン山の少女1834
フランツ・ヴィンターハルター1805~1873はドイツの画家、王侯貴族の優美な肖像画で名高い、ヴィクトリア女王など各国の王妃、王、王子、王女などほとんどが有名人だが、描かれた人物の「親しみやすさ」に人気があった、この絵は誰だか不明だがやはり上流の令嬢だろう
4 Renoir : Claude Monet (The Reader) 1874
ルノワールは友人モネの絵を何枚も描いているが、これは「読書する人」モネ、モネは画家だが非常に思索的な人だったのだろう、たった一枚のこの絵からそれがよく分る、それにしてもモネの内面が深く描かれている素晴らしい肖像画
5 Gogh : Portrait of a Woman 1885
これはチョークとクレヨンの絵、ゴッホには女性の絵がたくさんあるが、どれも「ごつい」感じがする、ごつい女性がたまたまモデルになったのか、それとも男女を問わず人間の「ごつい」ところに彼は魅力を感じていたのか、たぶん後者だろう
6 František Kupka : Lipstick 1908
フランティセック・クプカ1871~1957はチェコの画家で、現代抽象画の創始者の一人、この絵は特別に抽象的ではないが、表情や姿勢など単純化しているので、結果として非常にリアルな絵になった
7 Valentin Serov : Portrait of Helena Ivanovna Roerich, 1909
ヴァレンティン・セロフ1865~1911はロシアの画家、描かれているヘレナ・レーリッヒ1879~1955はロシアの神智学者で、インドやチベットなど中央アジアの秘境の宗教・文化を調査研究した、この肖像は若い時だが、たしかに個性的な学者の風貌だ
8 Matisse : Marguerite with Black Velvet Ribbon, 1916
マルグリット・エミリエンヌ・マティス1894~1982は、マティスのガールフレンドでモデルだったカロリーヌ・ジョブローとマティスとの間に生まれた、マティスの最初の子、単純な線と面で描かれているが、顔の造形が卓越しており、強い存在感がある
9葛飾北斎 : 千絵の海 下総登戸 1833頃
今日からは「海と人」、海辺あるいは海上では、人は内陸部とはやや違った姿をしている。北斎の絵では、人々は静かな湾内で潮干狩りをしている、女や子供もいて、人々の動きが生き生きしている
10 Monet : アムステルダムの港1874
モネは海の絵もたくさん描いている、海の「眺め」は何と言っても魅力的なテーマなのだろう、これは港だが、休日なのか、遊びでボートに乗っている人もいて、のどかな感じ
11ムンク : 夏の夜、人魚1893
「人魚」というからには海なのだろう、だが右端の女性には足があるから「人魚」ではない? 手前の岩のようなものが不気味なのと、「人魚」の表情がとても暗いのがムンクらしい
12 Johan Tiren : Summer Idyll 1900
ヨハン・ティレン1853~1911はスウェーデンの画家、ラップランドの人々をたくさん描いた、北欧の短い夏の海遊びはとても貴重なものだったのだろう、子供たちはまさに「夏の風景」だ、海遊びの歓びが画全体に溢れている
13 Felix Elie Tobeen : Bathers
フェリックス・トビーン1880~1938はフランスの画家、1910年代にピカソやブラックらと一緒に活動した、この絵は、水着の大きさからして、第一次大戦前だろうか、海水浴だけれど、もの静かな感じで、海岸も寂しげ、「芋を洗う」という感じはない、高級リゾートに来ているお嬢様たちか
14 Edward Henry Potthast : Beach Scene c.1920
エドワード・ヘンリー・ポタースト1857~1927はアメリカの画家、フランスで学んだ、海辺に集う人たちの絵をたくさん描いた、この絵は昨日と違って庶民の若者だろう、恋が始まりかけて、すこしピリピリしているのか
15 Hopper : Ground Swell, 1939
タイトルは「大きなうねり」、描いた画家も、描かれている人々も、いかにもアメリカ人とすぐ分かる絵だ、ホッパーの絵はすべてそういう感じ