[今日の絵] 1月後半

[今日の絵] 1月後半

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21 da Vinci : レダと白鳥(模写)

原画は失われたが多くの模写が残存、白鳥に化けたゼウスがスパルタ王妃レダと交わったという主題を最初に絵にしたのがダ・ヴィンチ、以降、現代のフェミニズム絵画まで多くこの主題が描かれた、左下は生まれた子、レダの腰から足へ白鳥の羽が平行し、曲線の絡みが面白い この女性、顔がモナリザに似ていない?

 

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22 Michelangelo : レダと白鳥(模写) 原作1530

ミケランジェロの場合は、ソファーにもたれたレダに白鳥(ゼウス)が口づけしようとしている、「レダと白鳥」を多くの画家が描くのは、美しい鳥である白鳥と美しい人間の女性を絡ませるという構図の魅力か、レダの腰と足、白鳥の羽と首、それぞれの曲線が並行し、かつ絡む

 

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23 Correggio : レダと白鳥(模写)1531

アントニオ・コレッジョ(1489~1534)の「レダと白鳥」は、中央がレダと白鳥(ゼウス)の交わり、右端が両者の出逢い、その中間は交わりが終って飛び去る白鳥を見送るレダ、と時間差で三場面が描かれている、中央の曲線の絡みが美しい、左は楽器を奏でるキューピッドたち

 

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24 Boucher : レダと白鳥1742

フランソワ・ブーシェ(1703~1770)はフランスのロココを代表する画家、ルイ15世付き筆頭画家、ブーシェらしい優美な絵だが、もう一人の女性は誰だろう、ひょっとしてレダと白鳥(ゼウス)の間に生まれたヘレナなのか(ダヴィンチでも生まれた子供が一緒に描かれていた)、ネットを見た限りでは分らなかった

 

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25 Cézanne : レダと白鳥1882

セザンヌの場合、レダは神話的ではなく、いかにも普通の女性で、ベッドも質素、自分の掌を白鳥に甘噛みさせて、ペットと戯れているような感じがいい、白鳥がゼウスだと彼女は分かっているのだろうか、「レダと白鳥」は、ダ・ヴィンチミケランジェロ以来たくさん描かれてきたが、レダを受動的ではない自由な女、媚びない女として描いた点で、これが一番の名画だと思う

 

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26 Boldini : レダと白鳥

ボルディーニ(1842~1931)らしく身体に動性があり、文字通り「交わり」の場面、レダはイク寸前のようだし、太ももを押さえる白鳥の足や嘴での愛撫など、なかなかにエロい、線を明確に描かず全体をぼかしたのは、交わりの生々しさを押さえるためか

 

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27 イエジー・ヒュレヴィッチ : レダと白鳥1928

ヒュレヴィッチ(1886~1941)はポーランドの画家、この絵では、レダも白鳥も曲線がまったくなく、すべて直線で描かれている、木の板の散乱する屋根裏部屋だろうか、レダとゼウスの交わりの場所としては奇妙だが、全体の直線的・幾何学的構成がとても美しい

 

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28 : ヴァルデマー・アレクソン : レダと白鳥 2021

アレクソンは現代アメリカの男性画家、この絵には#MeTooとあるから、レダは「私もされた!」と怒っている、しかしレダは、襲ってくる白鳥(ゼウス)の首を、輪に締め上げて逆襲、好色なゼウスの無残な敗北

 

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29 Bazille :自画像 1866

フレデリック・バジール(1841~70)はフランス印象派の画家、普仏戦争に志願し28歳で戦死、代表作『家族の集い』は既に紹介したが、これは自画像、画家の自画像はどれも眼が命で、これもしかり

 

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30 Gogh自画像1888

ゴッホは3年半のうちに37点の自画像を描いた、描こうとする対象を見詰めるゴッホの眼差し、多くの画家の自画像の眼差しには「きつい」ものが感じられるが、このゴッホの眼差しは、凝視ではあるけれど、どこか優しい

 

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31 Martiros Saryan : 自画像 1942

マトリオス・サリャン(1880~1972)はアルメニアの画家、絵はゴーギャンマティスの影響を受けたといわれる、この自画像も、左と右の背景の縦縞やパレットの絵具の広がりが、ややマティス的か、眼は鋭く対象を見詰め、手に持つ筆は対象の大きさを目測した直後だろう