[今日の絵] 6月後半

[今日の絵] 6月後半

15 Modigliani : Madame Georges van Muyden, 1917

「ジョルジュ・ヴァン・ミュイデン夫人」はモディリアーニの知人なのか、彼の描く女性の美しさは、ある種のきわだった簡潔さに由来するのかもしれない、シンプルな顔、二次元平面的なドレスと、その紺色の美しい拡がり、そして肩から腕への優雅で流暢な輪郭線、それらがやや硬質で凛とした調和を生み出している

 

16 Matisse : スコットランド格子縞のコートを着たマティス嬢 1918

マティスは娘マルグリット1894~1982を何枚も描いた(大原美術館の絵は茶色のコート)、彼の妻メアリとの子ではないがメアリは大切に育てた、メアリもマルグリットも第二次大戦中レジスタンス活動に参加、マルグリットはゲシュタポに捕まったが強制収容所に送られる列車から逃亡した

 

17 Serebriakova : Portrait of N. Geydenreyh in Blue, 1923

ジナイーダ・セレブリャコワ1884~1967は、家族や友人、知人、働く農婦など、女性をたくさん描いた、娘をモデルにしたヌード画も多い、この絵はたぶん友人と思われる、セレブリャコワの描く人物はどれも眼が非常に魅力的で、そのため誰もが、生き生きとして美しい

 

18 George Spencer Watson : Woman in a Camisole 1932

ワトソン1869~1934は英国の画家、家族や知人など人物画が多い、この画も家族か、キャミソールは本来は下着だが、室内着にもなっていたようだ、ちょうど胸から上に見えている部分がバランス的に美しいので画家はこの絵を描いたのか、だが表情に生気がないのが気になる

 

19 Balthus

バルテュス1908-2001の描く女性は、「夢見るテレーズ」のように脚を開いているものが多い、そこが批判されるわけだが、この絵の女性は脚を閉じている、しかし脚を目一杯伸ばして椅子に座っている全体の体勢はとても印象的だ、女性のこうした体勢が美しいと感じているのか

 

21 Alfred Pellan : Jeune fille aux anemones 1932

ぺラン1906 – 88はカナダの画家、この「アネモネを持つ若い娘」は彼の若い時の作品、マティスの影響があるのか、身体のバランスと全体の色彩の配置がとても美しい

 

22 David Teniers:酒を飲む王様1638

食事の光景は画の大きな主題、誰と、どんな風に食事をするのかは、その人の人となりを表現しているからだ、ダフィット・テニールス(子、1610~90)はフランドルの画家、大衆の生活を描いた、これは、主人か客が「王様気取り」で飲んでいる楽しい食卓

 

23 Jacob Jordaens : 豆の王様の祝宴1642

ヤコブ・ヨルダーンス1593~1678はフランドルの画家、「豆の王様」とは、切り分けたケーキの中に一粒だけ豆が入れてあり、それに当たった人が王様役に(右端)、王様は疑似宮廷を主宰し「乾杯!」を繰り返す役目、民衆はキリスト教の行事にかこつけて宴会を大いに楽しんだ

 

24 Monet :  Le Déjeuner 1868

モネには「昼食」と題された絵が二枚あり、この絵は1870年の官展に出されたが、日常生活のプライベートな光景を描いたのが「急進的すぎる」として落選、正面の女性は2年後に結婚するカミーユ、右は二人の子ジャン1歳、手前空席がモネの席、左窓にもたれている女性は冷たい表情

 

25James Tissot :レストランの画家の妻 1885

昨日のモネ『昼食』は物語を感じさせたが、ティソ1836~1902の絵はどれも物語を感じさせる、この絵は「レストランの画家の妻」だが、画家とはティソなのか、それともティソ以外の画家か、振り向いている女性は誰の妻なのか、そこに同席している男性は誰なのか

 

26 Leonard John Fuller : Under the Verandah 1940.

フラー1891~1973は英国の画家、人物画や風景画を描いた、この絵は、お金持ちの大きな館で、二階のベランダの下がテラスになっている、そこでお茶している三人の女性、母親と娘二人だろうか、でも三人とも表情がさえない、何か物語がありそう

 

27 Grandma Moses :キルティング・ビー 1950

通称「モーゼスお婆ちゃん」ことメアリー・モーゼス1860~1961はアメリカの農婦で、70歳過ぎから絵を始めた、これは90歳の時の絵で、タイトルは「キルトを作る共同作業」、村人たちが集まって食事の用意もしながら作業やおしゃべりをしている、子どもや男性もいて、楽しそう

 

28 Sally Storch : タイトル不明

サリー・ストーチ1952~はアメリカ・カリフォルニアの画家、彼女は街の風景、室内、食堂、厨房などの人をたくさん描いているが、光景はどれも1950年代のアメリカのように見える、この絵も、その頃のレストランではないだろうか(「今日の絵」明日から半月ほど休みます)