[今日の絵] 7月前半

[今日の絵] 7月前半

1 Leonardo da Vinci :肖像? 1472

ダ・ヴィンチ1452~1519のもっとも初期の絵と言われているが、疑う美術史家もいるようだ、ゆたかな髭が印象的で、顔が生き生きとしている、帽子、髭、衣服、背景の落ち着いた色彩のバランスの中で顔が輝いている

 

2 デューラー : 父の肖像1494

画家1471~1528の父、描いたデューラーは若いが、父はやや姿勢が悪く、肩も痩せている、しかし息子をじっと見つめる眼など、顔の表情はまさに父のそれ、人間の内面が深く描かれている

 

3 ラファエロ : 男の肖像 1503頃

ラファエロ1483~1520の若いときの作品、やや痩せ顔の厳しい表情だが、視線の鋭さといい、この男性の力感や強さが見事に表現されている

 

4 Hans Holbein : ケルンの商人ヴェディク1533

ホルバイン1497~1543はドイツ人、トマス・モア、ヘンリー八世、大使たちの肖像などで有名、どれもその職にある者の威信というか充実した存在感がある、この絵は若い商人か、商店は繁盛しているのだろう、表情は自信に満ちて明るい

 

5 Lucas Cranach(父) : 皇帝カール5世の肖像 1533

同名の子もいる、父クラナッハ1472~1553はルターの友人でルターも描いた、カール5世はもともとはスペイン王カルロス1世で、最後の神聖ローマ皇帝カール5世でもあった、絵を見ると顔の長い人だが、このクラナッハの絵が一番極端だ、少しひしゃげた感じもする

 

6 Lucas Cranach(子) : 77歳の父Lucas Cranach 1550

父ルーカス・クラナッハも、同名の子1515~83も画家、子は父の工房を受け継ぎ、父と似たような絵を描いている、この絵では77歳だが老いた感じがしない

 

7 van Dyck : Portrait of a man 1628

ヴァン・ダイク1599~1641はフランドルの画家、王や貴族の肖像画で名高い、この絵は、画家の友人である画家ピーター・サウトマンであると最近判明、モデルが画家である場合、どのような表情が一番よいか自分でよく分っており、描き手と呼吸が合っている

 

8 Velázquez :ファン・デ・パレーハの肖像1650

ベラスケスが二度目のイタリア旅行中に描いたもので、在世中から特に名作とされた作品、ファン・デ・パレーハ・は混血のムーア人で、ベラスケスの奴隷であり工房の助手であった人、これを描いた直後に奴隷から解放された、ベラスケスの愛弟子として深く信頼されていたのだろう

 

9レンブラント :二つの円と自画像1665-1669

レンブラント1606~69の最晩年の作品、背景にある二つの円の意味は解明されていない、レンブラントの表情は少し疲れているように見える、死を意識していたのか

 

11 Degas : フェルト帽をかぶったドガ 1857

ドガ1834~1917が23歳の時で、最初期の絵、彼は画家になった当初たくさん自画像を描いたが31歳でやめた、一生自画像を描き続けたレンブラントとは違う、なぜその後50年以上も一度も描かなかったのか

 

12 Gogh : Self-Portrait with Pipe, 1886

中年の顔だが、この時ゴッホ1853~90は33歳、もう少し若々しくてもよいと思うが、やはり病的なまでに神経質な表情が老けて見えさせるのか、25歳前後には牧師を志したが挫折、それでも伝道活動をした人だ、苦しみの多い人生だったことが、この絵からも分る

 

13 ゴーギャン : ルイ・ロイの肖像1893

1893年タヒチからパリに戻ったゴーギャンは、熱烈に歓迎されることを期待していたが、そうはならなかった、主要な画家たちは彼の絵に否定的で、ゴーギャンは孤独だった、この絵のルイ・ロイはゴーギャンの友人の画家、彼の理解者だったのか

 

14 Lesser Ury : 自画像 1921

レッサー・ユリィ1861~1931はドイツの印象派画家、ベルリンの街の絵などで名高い、街を描いても人を描いても、やや寂しげで暗めなのが魅力だが、本人は人づきあいが苦手で猜疑心の強い人だったらしい、この自画像からもそれが見て取れる

 

15 Modigliani : Doctor Devaraigne 1917

ドゥヴァレーヌ博士という人物がモディリアーニ1884~1920とどういう関係なのかは分からない、軍服だが医師なのかもしれない。彼の眼差しが丁寧に描かれており、視線は優しい