[今日の絵] 6月前半

[今日の絵] 6月前半

1 Rembrandt : A Man in a Room, 1630

窓はよく絵の対象になる。その理由は、窓の外は明るく、その明るさの落差が人間の心の開かれ方に作用して、それが様々な外観の差になるからだろう、「窓」は、その画家にしか見えていないものを描ける題材なのだ

 

2 画家不明 : 錬金術

いつの絵か、画家名も不明だが、18世紀以前だろう、錬金術師の仕事場だが、このステンドグラスの窓が、いかにもな雰囲気を作り出している、窓が透明なガラスで外が普通に見えていたら、魔術的な秘密の雰囲気がなくなり錬金術師の工房らしくない

 

3 Pierre Edouartd Frere : Preparando la Cena 1858

フレール1819-1886はフランスの画家、庶民の生活をたくさん描いた、これは農家の台所だが、この小さな窓は、部屋にとってもこの絵にとっても必須だろう、この大きさの部屋にとって相対的に僅かな光で人は生活している

 

4 Augustus Egg : The Travelling Companions 1862

列車内の光景だが、この窓は風景も含めてこの絵に不可欠だろう、窓は、壁に掛けられた絵のようでもある、オーガスタス・エッグ1816-63は英国の画家、ヴィクトリア朝中産階級の絵をたくさん描いた

 

5 Hans Heyerdahl : Girl on a balcony 1881

ヘイエルダール1857-1913はノルウェイの画家。窓のそばいる人間は、いずれも何か特有の表情と体勢・姿勢がある、画家はそれを描きたいのだろう、この女性は遠くを見て考え込んでいる

 

6 Vincenzo Irolli : Woman looking out a window 1900

「窓」は内から外を見るためのものであり、外から内を見るためのものではない(ジンメル『橋と扉』)。「窓」は我々の生の在り方に深く関わる親密環境の一つで、絵画に繰り返し描かれてきた。この絵は、手指の動きが心の動きに対応しているのかヴィンチェンツィオ・イローリ1860-1942はイタリアの画家

 

7 Mary.E.Harding : 領主様の御到着

窓は、ドアとは役割が違うが、家の中の人間と外の人間をある一定の関係性にもたらす、それが窓である。この絵の女性たちは、外の人をじっと観察している、メアリ―・ハーディング1880-1938は英国の女性画家

 

8 Vilhelm Hammershøi:ストランド通り30 番地の室内1900

デンマークの画家ハマースホイ1864-1916は室内をたくさん描いた画家、「ストランド通り30番地」はコペンハーゲンの彼の家、この絵では、室内に家具がなく、まさに「窓」が主題になっている

 

9 William Orpen : The Studio 1910

ウィリアム・オーペン1878-1931はアイルランド出身の画家で、製図も得意とした、この絵など、窓の升目が壁に投影されており、いかにも製図的空間だ、絵を描いているのは本人だろう

 

10 Alfred Broge :  Two Women in Conversation by a Window 1914

ブローゲ1870-1955はデンマークの画家、内⇔外という出入りの双方向性を持つドアに対して、窓は内⇒外を見るという一方向性だ、だから窓を挟んで話し合うのは原則、親しい人に限られる

 

11 Egon Schiele : House with Drying Laundry

シーレは家の絵をたくさん描いているが、内と外の境界である「窓」を意識し、強調している。この絵では、二階の右端に、老人が二人、窓から体を出して話している

 

12 Nikolai Bogdanov-Belsky : Symphony 1920

ボクダノフ=ベルスキー1868-1945はロシア生まれの画家、農民の子供たちの絵などで名高い、西欧では、レコードやラジオ普及以前は家庭で音楽が演奏されていた、この絵では、蝋燭の灯の一部が窓に映っているのが美しい、十分にSymphonyだ

 

13 Edward Hopper : New York Office 1962

ホッパーの描く都市の家や建物には、どれも大きな窓がある、アメリカだからかもしれないが、本当にこんなに大きな窓があるのかと思うことも多い

 

14 Antonio Lopez Garcia

窓は部屋の中の光の量を決める。光があまり存在しない部屋では、人はあまり心が開かれない。この絵はそういうことだろう。アントニオ・ロペス・ガルシア1936~はスペインの画家。街を描いても人を描いても、深みがある

 

15 Armando Sendin

アルマンド・センディン1928~はブラジルの画家、港など海辺をよく描く人、この絵はどこか南米のリゾート地か、白い石の家と明るい陽光、気持ちよくくつろいでいるときは、手足が伸びる、この女性は、足が特にいい

 

16 Steve Hanks :

ティーブ・ホークス1949-2015はアメリカの画家、水彩画家として有名で、女性の美しい体勢を描く人、この絵も、窓辺で気持ちよくくつろいでいる、昨日と同様、彼女の足に存在感があり、窓の外が海だけなのもいい